第8話
それから私は用事がない限り、計留の家へ毎週行った。
もちろん迷惑をかけたくなかったから、帰る前に来週のいつに行くかを伝えてから帰った。
学校から帰って荷物を置いて、ジャージに着替えてから彼の家に行くという習慣が身についてしまったほど、私は毎週彼の家に通っていた。そして、彼の家に行って帰ってきたら、今日どこを探したのかをダイアリーに書くというのも身についた習慣の一つだ。彼が今まで行った場所に行ったりもして、手紙の欠片を探し続けていた。
今は、計留の家に行って帰ってきたところだ。今日の分の日記を書こうとページをパラパラとめくる。
すると、今まで見つけてきた手紙の欠片について書かれてるページを見つけた。
九月二十九日
「お前なんて、嫌いだ」
私の部屋にある机の上
十一月二十二日
「時萌へ」
計留の部屋にあるベッドの下
一月十五日
「九.二十九.水.計留」
計留のクローゼットの中
三月四日
「なんて、いつも言ってたよね」
計留の部屋にある机の引き出しの中
五月九日
「でも、俺の気持ちはこの真逆」
祖父母の家の計留の部屋にある本棚の裏側
六月二十一日
「俺はいつも時萌のことをそう想ってる」
隣市の別荘の計留の部屋にある机の下
八月十九日
「好きだよ」
他県の別荘のリビングにある机の上
そして今日見つけた最後の手紙の欠片。
十月一日
「じゃあ、三年後の十月二日にいつもの時間、いつもの場所で待ってる」
計留のお母さんが持っていた計留のダイアリーのポケットの中
最後の手紙の欠片に書かれていた日付を見ると明日だった。
いつもの時間、いつもの場所でか。もう、そうなったらあそこしか思い浮かばない。早く明日になれと思いながら、ベッドに潜り、そのまま眠りについた。
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