04 無才の冒険者 その4

 「エメヒチカ」村の隣り町(つっても100km程歩かないと辿り着けないけど)である「ニノコマナミエタ」町に到着したラハク。

 町に着いてから冒険者ギルドに向かい……ようやく冒険者の登録まで漕ぎつけたのはいいが、受付のおっさんがギルドマスターという事実に混乱し、登録の為の試験の準備が終わるまで呆けていたのだった……ナゼw

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──試験って?……冒険者として最低限の生きて行けるかの資格を見る為よ?──


「……はっ!?」


 気付くと、ラハクは受付の前ではなく……何処どこか広い場所に立っていた。


「……って、えっと?」


 わけがわからんと周囲をキョロキョロと見回す。


 ハタと気付くと……木剣と小さい木の盾を持たされている。


「に……荷物はっ!?」


 確か背に背負い袋を背負ってた筈だが……と気付くと受付嬢さんらしい女の人が広場の端で背負い袋を手に持ち、心配そうな表情でこちらを見ていた。


 少し離れた場所には冒険者の格好をした女性がいた……。細マッチョな体躯で軽装戦士のような背格好で、ぐっぐっ……と屈伸運動をしていた。彼女の手前にこちらが持っているのと同じ、木の装備が突き刺さっていた(身長に合わせたのか、ラハクの物より少し大きいが)……


「ふっふっ……よし、準備はおーけーだ」


 といってから木剣と木の盾を地面から引き抜くと装備する。


「お前はいいのか?……さっきから茫然と突っ立ってるだけだがよ?」


 口調は乱暴そのもの……やっぱり冒険者って口が悪い人ばかりなんだろうか……?


「なっ!?」


 無言で佇んでお姉さんを見詰めてたら、いきなり接近して木剣が振り抜かれる!(勿論避けた……そのまま呆けてたら頭を横から木剣で殴られてたよ……)


「ジロジロ見てんじゃねーよ……視姦しかんしてるだけならぶっ殺すぞ!?」


 いやいやいや……ぶっ殺すとか物騒なこといわれてんのだけど!?


「あの……」


「何だっ!?」


「今、ぼk……俺ってどんな状況に立たされてるんでしょう?」


「あぁ?……どんなって……冒険者登録しに来たんだろ?」


「えぇ……まぁ……」


 はぁ……と溜息を吐いた彼女は、


「だから、冒険者に相応ふさわしいか……俺さまが試験テストしてやってるって寸法だ……わかったか?……わかったなら構えろ!」


 そして問答無用で駆け出す俺さま女冒険者……そして木剣を構えて袈裟切りに振り下ろす!


 だが……その木剣は僕に当たることはなかった……


がぎっ……


「ふぅ……」


「て、手前テメー……やる、な?」


 ずばっ!……と一気に後方へ小ジャンプして後退あとずさる女冒険者。そして木剣を持った右腕をさすっている……尚、機動力を生かしたい為か、後退った時に盾は捨てている。


 擦っているのは右腕の下腕の手首と肘の中間辺り。ラハクが木剣を当てたことにより赤く腫れている訳だが……


(剣を落とすつもりで打ち込んだのに……流石に試験官を任される程の冒険者だけはあるってことかな?)


 実は、手首を狙ったんだけど……余りに速い突進で打つ場所がずれた。ので、剣を取り落とすどころか……


(警戒させちゃったかぁー……)


 そして盾を捨てたことで……突進力はより素早く、こちらを狙い易くなったと思う。重しが無ければ、それだけ機動力が上がる訳で……


 なぁーんて思いつつ警戒をしているとじりじりと時間だけが進む。まぁ……互いの隙を狙いながら広場を時計回りに回っている訳だけど……


「いつまでやってるんだ?」


 と、間の抜けた声が響き……その声を合図に両者……女冒険者と僕が突進を始める!


「だあああああっ!!!」


「やあああああっ!!!」


 そして激突……!


がぎぃぃんんっっ!!!


 真正面から激突し……片や剣を槍に見立てた突進技で。片や掬い上げる形の逆袈裟切りで……槍となって突進した木剣が半ばから断ち割られて飛んだ……


ぱしぃっ!


「はぁ……そこまで熱くなることか?……あー……これは……カレンのか」


「はっはっはっ……おう、そう、だ……後、カレン……いうなっ……」


「じゃあ勝者は……ラハクつったか?……冒険者の登録試験は合格とする」


「はぁー……良かっ……ア、ヤベ……」


どさっ……


 何故か勝った筈のラハクが練習場に倒れ伏す……それもそうだろう。三徹して歩き通しの後に激しい運動を強いられたせいだ。飲まず食わずではなく、携行保存食を食べていたし水も飲んでいたが……休憩らしい休憩を取ってなかったのだ。トドメに緊張感あふれる真剣試合をやったようなものだ……普通の人間なら最初の一撃で倒れてただろう!


「あー……医務室に放り込んでおけ。起きたら受付に呼んでおけ……じゃあ解散!」


 ギルドマスターの鶴の一声で解散、或いは後片付けに奔走する職員たちとギルド員たち。そして、冒険者にもなってない少年に打ちのめされた女冒険者は何か運命めいたものを感じ……彼を抱き上げて医務室へと向かうのだった……


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受付嬢 「あ、荷物お持ちしますね!」

女冒険者「あ、あぁ……すまない」

※受付嬢が荷物を医務室に置いた後は、女冒険者と2人っきりで数時間を看病に充てるのだった……

※特にエロいイベントは起きませぬw

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