03 無才の冒険者 その3
家に居ても
1人称は「僕」だったが、冒険者ともなれば舐められないように色々と変える部分がある……「僕」と自身を呼ぶのは止め、「俺」と変えた……その他にも丁寧語は止めて少し荒っぽい言葉使いに変えて行くことにした……
(まぁ、旅の間においおい変えていけばいいだろ……ボロが出ない程度に慣れる頃には隣町の「ニノコマナミエタ」に付くだろう)
……と思ってたんだけど、まさか100kmもあるのに平坦な道しか無いとは思わなかった。たったの4日で到着してしまったのだ……うーん……山道と違って楽過ぎる、よなぁ……ゆっくり目に歩いたのに……
※村の皆が皆、そのペースで歩ける訳じゃないけどラハクは割と体力脚力はあるようですな!……お陰で休憩や野営に用意されたスペースは外しまくり(通常の旅程で昼や夜に到着する辺りに用意されている)で、仕方なく休憩も野営もしないで半ば寝ながら歩いてたとか……お前、本当に人間?って……(フラグ)
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──アクビをした村人は、今……隣町に到着する!──
「ふわぁー……あふ。流石に三徹はキツかったな……っと、ようやく見えたなっ!」
何がか?……それは「ニノコマナミエタ」の町だ。「エメヒチカ」村から歩くこと3日で到着した訳だが……
通常は乗合馬車で4ー5日。徒歩なら1週間弱だろう。生き物は不眠不休で24時間活動することは困難なのだ……ずっと歩いたとしても4日(3日徹夜)は驚異的な踏破時間だ。
やろうとすれば馬を潰す覚悟で早馬を合間合間で用意しておいて乗り継ぐしかない……ラハクの異常な体力と精神力でしか成し遂げられないだろう!
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「おう!坊主!……
「あー……こんにちわ。エメヒチカ村だ!」
(うーん……いまいち
「おお、あそこか。随分と追い所から来たな!」
「あ、はい……」
「ニノコマナミエタには何しに来たんだ?」
「冒険者になりに来たんだ!」
「おお、そうか……一応決まりなんでな……身分証とかあるか?」
「あー、これかな?」
と、懐に仕舞っていた木の札を出す。それは紐で結ばれて首から掛けていた物だ。
「あー……エメヒチカ村のドゥンとこのラハクだな。確認した……行っていいぞ?」
ちなみに村人には家名なんて無い……だから、確認する時は村の名前+親の名前+当人の名前で照合することとなっている。両親健在なら父親を。片親なら生存してる親の名前が称号される……という訳だ。余り例が無いが、祖父や祖母が生きていたらその名前も含まれることもある。
※生存率が悪いので孫を見ることなく亡くなる世界特有の事情の為。栄養状態が悪いのもあるが、元々平均寿命も短い訳だ(貴族階級なら栄養状態は良いので祖父母が生きてる間に孫が生まれること
ま、それはさておき……
「ありがとうごz……ありがとう!」
と、思わず丁寧語でいいそうになっていい直すラハク。慌てて歩き出すが門番はニコニコと笑うだけで彼を見送った後、再び己の仕事に戻るのみだった……
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・
「さて……冒険者ギルドはっと……あ、これかな?」
見つけたのは冒険者ギルドの建物……ではなく、看板だ。町の案内図で各種施設や主な店舗のある場所などを示しているのだ。
「剣と杖……これかな?」
残念ながら文字は少ししか読めないし書くことができない。
(まぁ農民だったからな……父さんはできるんだけど村には学校なんて無かったし……)
難しい言葉なんて知らないし……一般用語は父さんが呟いてて意味がわからないとよく質問してたりしてたんでそこそこな。書けないのは単純に書いたことが無いから。
うちにあるペンは父さん専用だから壊すのも怖かったので書いたことが無い。まぁ……読める文字くらいはうろ覚えで書ける。たまぁーに木の枝で地面に書いてたりしてたけどさ。
取り敢えず道順を覚えて歩く……といっても看板の道を真っ直ぐだからバカでも到達すると思う。
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・
からんからん♪
両開きドア……中が見えるように大人の胸辺りしか無いドアを開ける。まぁ……僕が開けようとすると丁度顔から首辺りがドアになるんだけど……
「
受付嬢のお姉さん……と期待していたんだけど、受付に座ってたのはゴツクてイカツい中年親父だった……orz
「ん、どしたぁ?……体調が悪いのか?」
「あ、いえ……いや、何でもない」
「そうか?……でー、依頼か?それとも……」
「あ、冒険者の登録って此処でできるんだよな?」
「あぁ……つかお前がか?」
「……ダメか?」
「おーい」
「はい、ギルマス、何でしょうか?」
「誰かこいつの試験頼んでいいか?」
「あー、この子ね……少々お待ちを!」
(え?ギルマス?……ってギルドマスターって一番偉い人じゃ?……え?……何で受付してんのっ!?)
俺は……ラハクは……今日一番の混乱に陥り、手を引っ張られて闘技場みたいな訓練場に移動するまで……いや、剣とバックラーを装備して構えるまで混乱していた。
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相手は?……それは次話で判明します!
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