第15話 「待ってる余裕は無いのかな……」
「
理解は出来たけど反応が出来なかった。
「えっと……篠原さんも凪のことを?」
「そう言うこと!んで、今凄い良い感じだから、私も頑張っちゃおうかなって」
「良い感じ……?」
「気づかない内にシノの事を名前で呼んでたよ?」
ショックだった……
心のどこかでは、私だけ特別だと思っていた。
「そ、そっか……流石にだめとは言えないよ」
「負け戦だとしても、そろそろ気持ちにケジメつけないとダメだしね」
「負け戦?」
「シノには今好きな人がいる――けど、それは楓じゃない、だから負け戦」
「今日の夜セッティングしてるから〜邪魔しないであげてね?」
「すごい急だね……?」
「だって、明日は修学旅行で最大のイベントの大阪で1番大きい遊園地に行くでしょ?」
「だから、今日告って成功すれば明日は良い思い出になると思うんだ!」
「言ってることは……そうだけど……」
確かに明日の遊園地は班は関係なく回れる。
つまり、極端な話二人で回ることだって可能なのだ。
もし、凪と篠原さんが付き合う事になったら……
「やっぱ気になっちゃう?
「全然だよ!……私が好きだったとしても妨害する理由にはならないしね」
「まぁ、今日の夜、楓は泣くことになるだろうししっかり慰めないとだ」
「まだ、分からないでしょ?友達だから信じて上げなきゃじゃない?」
「分かるんだよね〜ちなみに、シノのことも慰めてあげる必要あるかもよ」
凪を慰める?
確かに、彼は根は優しいし真面目だけど……
「まぁ、そういう事だから!時間取ってごめんね!」
そう言い戻ろうとする結愛ちゃんに――
「ねぇ、なんでこんな事私に話したの?」
「ん〜……私が後ろめたい事してる感じがして嫌だからかな」
「月音ちゃんとは今後も仲良くしたいしね、コソコソやるより打ち明けた方がフェアかなって」
「別にそんな事しなくても……嫌いにはならないよ」
「恋愛絡みって拗れやすいから!そう言うこと!」
そういって今度こそホテルの中に戻ってしまった。
――さて、私はどうしたら良いんだろう……
凪には待ってるって伝えてしまったので、私からあまり積極的にアピールは出来なくなっちゃってるし……
「もしかしたら、私も悠長に待ってる余裕は無いのかな……」
そう呟いてホテルの中に戻った。
※※※
夕食後、部屋にいても落ち着かないしお土産屋さんでも見に行こうと思い、早速足を向けた。
エレベーターを待っていると――
「あ、月音ちゃんだー!どこ行くの??」
「桜ちゃん!お土産屋さんでも見てこようかなって」
「そっか!私もいい??」
「もちろんだよ!行こ!」
食事会場で会ってるはずなのに、話はしていないから凄く久しぶりに感じる。
話を聞いてると修学旅行を凄く楽しんでるみたい。
「色んなお土産あるね?このキーホルダーとか買っちゃう?」
「ん〜……ちょっと、私の趣味じゃないかな?」
「え〜……結構可愛いのに……」
ただ、可愛いというより……キモかわいい??
桜ちゃんはこうゆうのが好きなんだ……
「見てみて!月音ちゃん、アイスあるよ!紅葉味ってある!」
「も、紅葉味……?」
「ラベンダーアイスとかあるし!買ってみる!」
「私はバニラにするね……?」
部屋で食べようとすると溶けるよね?って事で外で食べる事になった。
今日結愛ちゃんに呼び出された所にベンチがあったのでそこへ向かう。
座るなり桜ちゃんはワクワクした顔でアイスの蓋をあけ、一口分すくいを口に運ぶ。
「ん〜……よく考えたら、紅葉って食べた事無いから味分かんないよね」
「美味しくないの?」
「食べれるけど……ん〜……一口あげる」
一口貰って食べてみると……
「甘じょっぱい?」
「わかんないや」
そう言って顔を合わせ笑う。
その時、ホテルの自動ドアが開く音がした。
私と桜ちゃんは会話を止め、音の方覗き見ると、凪と篠原さんが私たちの場所とは、反対方向に歩いていくのが見えた。
「え?お兄ちゃんと楓ちゃん?」
「…………」
「ちょっと、見に行ってみる?」
「やめとこ?覗き見るものじゃ無いでしょ?」
けど、私達の反対側と言っても、そこまで離れている訳じゃないので微かにだが、会話の内容が聞こえてしまう。
止めとこうと言ったくせに、身体は動かさず、ただただ耳を澄ませていた。
ほんの少し会話をした後に
『凪くん一年生の頃から貴方が好きでした』
そう聞こえた瞬間、私の心臓がドクリと跳ねた――
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第十五話「待ってる余裕は無いのかな……」
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