第78話 南のプレゼントに期待

 学校に登校しているのは、わずか4~5人程度。閉校前さながらの、人数まで減ってしまった。


 他の学年は30人前後の生徒が通学。文雄のクラスだけが極端に少ない、異様な状態となっている。


「文雄、おはよう・・・・・・」


 南は寝不足なのか、ゾウさながらの大きな欠伸をする。


「みなみな、おはよう。すっごく眠そうだね」


「文雄の誕生日プレゼントを作るために、夜遅くまで起きていたの。すっごくいいものに仕上がったから、楽しみにしてね」


「ああ、楽しみにする」


 南からもらうプレゼントは、どのようなものなのだろうか。文雄はもらう前から、とってもワクワクしていた。


「琴美さん、詩織さんからはプレゼントをもらったの?」


「ああ。もらったよ」


 琴美はチョコレートケーキ、詩織はプリンの詰め合わせ。スーパーで販売されているものよりも、ワンランク、ツーランクもおいしかった。おこづかいをはたいて、プレゼントを用意したのが伝わってくる。


「二人からもプレゼントをもらったのか。将来のお嫁さんとして、嫉妬ううん、誇らしく思うね」


 嫉妬の部分は大きな声、誇らしくの部分は小さな声でいっていた。トーンだけで、本音をはっきりと読み取れる。


「私は二人よりも、ずっとずっといいものを用意したからね。文雄に対する思いの強さは、誰にも絶対に負けないんだから・・・・・・」

 

 小学生のときから、将来のお嫁さんになるといっていた。世界中を探しても、彼女に勝てる女性はいない。


 授業開始を告げるチャイムが鳴った。南は話をストップし、自分の席に着いた。


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