第60話 常識外れの高校(亜美編)
亜美は新しい学校に初めて通った。
教室にいたのは髪を赤く染めている生徒、やたらと化粧の濃い生徒、モヒカン頭の生徒、学生服でなく私服で登校する生徒など。一言でたとえるなら、不良ばかりの集まる高校だ。亜美は初日にして、不安に駆られた。
チャイムが鳴るまでの間、何をしていいのかわからなかった。時間の流れを、ただ静かに待つことにした。
「おはようございます」
教師は左右の腕にタトゥーを入れている。顔も非常に怖く、暴走族に入っているみたいだ。見た目だけなら、教師不適応者だ。
「みなさんに新しい仲間ができます。邑橋亜美さんです」
見た目の怖さ、ていねいな口調がアンバランスを醸し出していた。
亜美はみんなの前で、自己紹介を行った。
「邑橋亜美です。よろしくお願いします」
まばらではあるものの、拍手をもらうことができた。ちょっとは歓迎されているようだ。
モヒカン頭から、新しい情報がもたらされた。
「亜美さんと同じ学校の生徒が、10~20人ほど転校予定です。みなさん、なかよくしてあげてくださいね」
元々のクラスメイトが、10~20人も転校してくる。あまりの数の多さに、顎をあんぐりとさせてしまった.クラスの半分近くは、元々のクラスメイトになる。
「亜美さんに学校のシステムをお伝えします。問題を起こさない限りは、通常に授業を受けていただけます。新しい環境に不安を感じるでしょうけど、気にしないでくださいね。問題を起こしたときは、強制労働の刑を課します。24時間の監視下に置かれ、自由は何一つありません。トイレについても、同性の職員に監視されます。衝動的に自殺を図らないための、措置となっております。食事については、健康食だけを食べていただきます」
高校で強制労働を取り入れる。軍隊式の学校なのかなと思った。
強制労働以上に、トイレ中であっても、監視下に入るのはやばすぎる。自由のない生活では、メンタルを崩すのは確実だ。
食事についても、質素なものを食べさせられる。食費は浮いても、精神的な負荷は計り知れないものがある。こちらの学校では悪いことは起こさず、無難に過ごしたほうがよさそうだ。
「亜美さんから、聞きたいことはありますか?」
ツッコミどころが多すぎて、質問はまとめられなかった。何一つ聞くことなく、質問タイムは終了した。
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