第53話 休日に外出

 文雄、南、琴美、詩織の四人でお出かけをすることになった。


 男一人、女三人はアンバランス。男二人、女二人くらいがちょうどいい。


 南、琴美、詩織の三人が待ち合わせ場所に立っていた。


「橘君、30分前ルールを忘れたのか?」


 文雄は首を大いに傾げる。 


「30分前ルール?」


「お出かけをするときは、30分前・・・・・・」


 詩織はやや強めに、琴美の頭を叩いた。


「自分勝手なルールを作らないで。集合時間は遅刻さえしなければ、特に問題はないでしょう」


「レディを待たせないためにも、15分前くらいには・・・・・・」


「レディというなら、ボクというのをやめなさい」


「ボクはボクなのだ。それ以上、それ以下でもない」


「はいはい。わかったから、遊びに行こうよ」


 遊びに行くといっても、場所は限られてしまっている。多数決を取れば、すぐに決まるはずだ。


「みんな、どこに行きたい」


 四人は掛け声のあと。それぞれのいきたい場所をいいあった。


 琴美「ラーメンがいい」


 詩織「から揚げ屋がいい」


 南「とんかつ屋がいい」


 文雄「牛丼がいい」


 全員が食べ物店であることは一致していたけど、いきたい場所は完全にバラバラ。南、琴美は気が強いタイプなので、なかなかまとまらないような予感がひしめいていた。


 文雄の予想していた通り、話はまとまる気配がなかった。埒が明かないので、


「じゃんけんで決めよう」


 と提案する。南、琴美はそれを聞き、闘志をみなぎらせていた。


「ラーメン、ラーメン、ラーメン・・・・・」


「とんかつ、とんかつ、とんかつ・・・・・」


 ある程度は長引くと思われた、じゃんけんはあっけない幕切れで終わる。琴美はパー、あとの三人はグーを出す。負けという力に引っ張られるかのように。 


「ボクの勝ちだ。ラーメン店にレッツゴー」


 南はじゃんけんで負けたことに、がっくりとしていた。文雄、詩織は俯きつつも、しょうがないと割り切っていた。

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