第41話 クラスメイト逮捕!

 音楽の授業かなと思っていると、教室に入ってきたのは「アイドルちゃん」だった。


「みなさん、体育館に集まってください。緊急の全校集会があります」


「アイドルちゃん」の声は、冷静さを完全にかいている。よっぽどのことがあったのを察した。


「アイドルちゃん」の焦った表情を見て、クラスメイト達は、いつになくびくびくとしていた。退学、停学の処分を出されるのを恐れている。火の粉はどこから飛んでくるのかわからない。


「文雄、体育館に行こう」


「みなみな、わかった」


 南は髪の毛をきつく縛った。


「緊急の全校集会は、どんなことを話すのかな?」


「わからないけど・・・・・・」


「スマホでちょっとだけ確認してみるね。全校集会の発端となった理由をつきとめられるかもしれない」


 南はスマホを見たあと、顔が真っ青になった。


「みなみな、どうしたんだ?」


「うちの高校の生徒三人が、殺人未遂で逮捕されたと出ているよ。亜美さんの家で、母親に包丁を突き付けたみたい」


 亜美を殺すために、包丁を持って自宅までおしかける。無視を主導した生徒に対して、強固な恨みを持っているのが伝わってくる。


 母親に対する殺人未遂となっていることから、本人は直接的な被害は受けていない。他人を犠牲にして、自分だけは助かっていく。小学校時代から、何も進歩していないと思った。


 クラスメイトは、スマホを慌てて取り出す。事件の信憑性を確かめずにはいられないようだ。


 4人の生徒は、スマホを地面に落とした。そのあと、何度も首を横に振る仕草をする。事件があったのは嘘であると、己に信じ込ませようとしているかのようだった。

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