第19話 学校に行きたくない(亜美編)
亜美のスマホには、15件くらいのラインが入っていた。ほとんどは悪口だと思われるものの、励ましの言葉を書かれているかもしれない。わずかな可能性に期待して、一件一件を確認することにした。
スマホのラインには、想像を絶する内容ばかりが書かれていた。
「病気で倒れたと聞いて、ざまあみろと思った。これまでの行いの悪さが、たたった感じだね」
保健室の教師と同じく、病気にかかった人間に対する優しさが0。私はいつから、誰からの優しさを受けられない人間になってしまったのか。
「人をとことん追い詰めるくせに、自分だけは助かりたいと思っているのか。心の底から軽蔑する。あなたのような人間は、生きている資格はないよ」
最後の文章を付け加えることで、罪悪感をアップさせようとしていた。
「いじめを主導した女が、逆にいじめられてやんの。ざまあみろ・・・・・・」
人望のなさを感じられる文章だった。
「登校拒否すればいいのに。あんたさえいなくなれば、クラスは活気を取り戻しそう」
「疫病神のせいで、学級完全崩壊」
亜美はスマホを閉じる。今日のメンタルでは、これ以上を読む気にはなれなかった。
部屋の窓を開けて、空をじっくりと眺める。雲一つない空は、どういうわけか黒みがかっているように感じられた。
「亜美ちゃん、ご飯ができたよ」
「おかあさん、すぐに行くよ」
「推薦で美大に行くといっていたわね。うまくいきそう?」
亜美は咄嗟に嘘をついた。
「うん、順調だよ。何も心配しなくていいから」
窓をゆっくりと閉めたあと、大きな深呼吸をする。嘘をついたことで、苦しみはさらに増すこととなった。
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