第14話 衝撃的なメール(亜美編)

 真心南が美人になって転校してくるなんて、一ミリも考えていなかった。


 小学校時代はすさまじく地味で、まったく目立たないタイプの女性だった。あまりに存在感の薄さゆえに、空気と呼ばれることもあった。


 南は転校初日から、文雄にすぐさま近づいていく。無視をしていないということもあってか、すんなりと溶け込んでいた。私たちとは話す気はなくても、彼女となら会話をする心を持ち合わせている。


 あれだけの無視をしたのに、心は完全に死んでいなかった。私はその事実に、戦慄すら覚えた。私だったら確実に自殺するレベル。


 南は6年前と、まったく同じセリフを発する。彼女の心の何が、夢中にさせているのか。私にはわからない、よさを持っているとしか想像できなかった。


 隣に座ろうとしたあと、クラス内に強烈な爆弾を投下。クラスに罪悪感を植え付けるには十分すぎる威力を持つ。形だけはまとまっていたように見えた、クラスは喧嘩が絶えなくなった。これまでの鬱憤を晴らすかのように、誹謗中傷合戦を繰り返す。あとちょっとしたら、完全に学級崩壊するのは確実。


 文雄をターゲットにすれば、危機を乗り越えられるかもしれない。ただ、私にはそれができなかった。本当に好きな人を苦しめるのは、大きな犠牲を伴う。


 亜美のところに、ラインが送られてきた。


「あんたのせいで、クラスがめちゃくちゃだよ。どう責任を取ってくれるの?」


 ラインの送り主は北村志保。最近までとっても親しくしていた、と思っていたクラスメイト。


「私にいわれても・・・・・・」


「あんたがあんなことをいわなければ、学校生活は楽しくなっていた。とっとと死ねばいいのに・・・・・・」


 親友だと思っていたクラスメイトから、とっとと死ねばと思われているなんて。亜美はあまりのショックで、スマホを持つ手の力が抜けた。

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