第11話 小学生レベルのバトル
文雄は教室前に到着すると、醜いバトルを目の当たりにすることとなった。
「無視をしようといい始めたのはおまえだろ。すべての責任はおまえにあるといっても過言ではない」
授業開始前から、喧嘩をするとは。そのエネルギーを少しは、自分を高めることに使えばいいのに。
「そうだそうだ。俺たちは仲良くしようと思っていたんだ。お前の一存で決められたことに、納得はしていない」
「ちょっとかわいいからって、生意気だと思っていたんだよ」
亜美は黙っているような女ではなかった。男たちに対して、威勢のいい声で猛反論する。
「私はあくまで、提案をしただけだよ。実際に無視をしたのは、あんたたちでしょう。わたしは何も悪いことをしていない」
無視を提案した時点で、十分すぎるほどの重罪といえる。亜美という女は、心の底から腐りきっている。
「あんたたちも面白い、愉快といっていたでしょう。無視を楽しんでいたことに変わりはない」
「俺たちはあんたに合わせていただけ。楽しいとはこれっぽっちも・・・・・・」
「そうだそうだ。あんなことをやらされて、深く傷ついたんだぞ」
いじめに同調したくせに、自分たちは被害者であると主張する。こいつらの脳みそは腐りきっている。
「机の上に落書きしていたくせに・・・・・・。死ね、カスとか書いていたじゃない」
本人のいないところで、そんなことをしていたとは。こいつらに対する憎しみは、さらにアップすることとなった。
文雄が登校していることに気づくと、クラスメイトは責任転嫁バトルをストップ。無視はできても、本人の前で何かをいう勇気はないらしい。弱々しい性格だったからこそ、無視という手段を使った。6年以上の時を経て、ようやく答えを導き出せそうな気がした。
席に座ったあと、ゆっくりと本を開く。クラスの罵りあいがあったあとの読書は格別。いつもと比較して、読書はおおいにはかどるような気がした。
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