第10話 傷は深そうだ(南編)
文雄と初めて顔合わせしたのは、幼稚園という場所である。
私は最初に会ったときから、文雄に大きな興味を持つ。この男性となら、とっても楽しく過ごせるのではないかと思えた。
小学生になってからは、異性として興味を持つようになった。早すぎるといわれるかもしれないけど、小学一年生のときには大好きという感情が芽生えていた。
小学二年生のときから、将来のお嫁さんになると発信するようになった。クラスメイトからはからかわれていたけど、私は300パーセント本気だった。どんな困難な壁にぶつかっても、文雄のお嫁さんになりたい。
小学三年生の時に、親の都合で遠い場所に引っ越す。大好きな人と離れることに、小さいながらに絶望感をおぼえていた。
6年ぶりに接した男は、小学生のときとは変わっていた。あんなに陽気だったのに、他人と関わりたくない、他人と接したくないというオーラを全面に醸し出していた。5年にわたる無視は、性格を大きく変えていた。
どんなに人変わりしても、お嫁さんになる意思は変わらない。一人の女として、文雄のことを支え続けていく。
来週の月曜日から、文雄と同じ高校に通学する。敵だらけでやりにくさはあるけど、大切な人と過ごすことができる。それだけで、十分すぎるご褒美といえる。
文雄のクラスメイトについては、基本的に相手するつもりはなかった。大切な人を傷つけたことは、一生かけても許すことはない。
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