第7話 相手に気持ちがバレバレです
遊びも終わり、寝る支度をしていると、珍しくゲームのチャットにフライヤーさんからの連絡が届いた。
(ねえ、今からちょっとやらない?)
(今ですか、、まあ、一試合くらいならいいですよ)
(やった!じゃあ待ってるね)
そう言われ僕はpcの電源を入れた。
すぐにゲームを立ち上げチームに入るとフライヤーさんの声がした。
「よっ!サキ待ってたよ〜」
「珍しいね、フライヤーさんがチャットまで使って呼ぶって」
「いや、少し君とやりたくなってさ、じゃあ始めようか」
ゲームを始めると大体戦闘していない時は雑談をしているが今回は何故かすぐに負けてしまってほとんど雑談になっていた。
「ところで、君の恋愛はどこまで行ったのかな?」
「なんで、そんな親みたいに知りたがるんですか?」
「人の恋愛ほど面白いものはないからねさっ早く進展を教えてよ」
「え〜まあ、フライヤーさんの言うように気はありましたけど」
「けど?」
「僕、断ろうかなって思って」
「えっ、、、」
僕がそう言うとなぜかフライヤーさんが絶句していた。
「フライヤーさん?お〜い?チャット切れたのかな?」
それから無言の数秒が経ちやっと話してくれた。
「ちっ、ちなみになんで、、断ろうと思ったの?」
「それは、僕ちょっと恥ずかしいけど尊敬している好きな人がいるんですよ」
「へっ、、へ〜」
「その子にもう一度会えたら告白して気持ちを伝えようと思ってて」
「その子ってちなみにどんな人なの?」
「僕の友人でもう少しでこっちに帰ってくるんです。その時に伝えようと思って」
「でも、そのアピールしてくれてる子はどうするの?君がもしその子と付き合えたらそのアピールした子は相当な失恋をすると思うけど…まあ仕方ないよね、君の恋だもん」
そう言ってくれたフライヤーさんのおかげで僕は少し気持ちは落ち着いた気がした。
「ありがとう、フライヤーさん、ちょっと悩んでたけど少し晴れた気がするよ」
「そう…それは、よかった」
「じゃあ、試合も終わったことですし僕はそろそろ抜けますね」
僕がパーティを抜けようとするとまた呼び止められた。
「ねえ、最後に聞きたいんだけど、もし、その人に振られて、まだ、そのアピールしてくれる子が好きでいてくれたら付き合うの?」
僕はそう聞かれて悩んでしまった。
「僕は…」
「あっごめん!もうやめないといけないからじゃあね!」
言おうとするとすぐにゲームを切られてしまった。
「本当にその時は蛍さんに僕はどうすればいいんだろう」
フライヤーさんのあの一言で僕は少し考えさせられてしまった。
次の日、僕は友人を迎えるために空港に来ていた。
「そろそろ、着いてるはずなんだけど…」
僕が周りを見渡すと見慣れた顔立ちがあった。
「あっ!お〜い!」
僕が呼びかけるとその呼びかけに気付いたのか持っていたスーツケースを早く引っ張って向かってきた。
「久しぶりだね、隼人くん」
「お久しぶりです。綾華さん」
「やっぱり、堅苦しいな綾華さんじゃなくて綾華でいいよ」
「じゃあ、綾華さん、長旅お疲れ様です」
「うん、変わってないね。でも、ありがとう!」
綾華さんは僕の大学生の友人だ。
元々家が近くで小さい頃いつも遊んでもらっていたりしており仲が良くなったのだ。
綾華さんはアメリカの大学に通っており今日は久しぶりに日本へ帰ってきたのだ。
「そう言えば今回はどのくらい滞在するんですか?」
「今回は〜そうだな〜二週間くらいになるかな」
「今回またうちに泊まる気ですか?」
「君に迎えにきてもらったんだからそういうことだよ」
綾華さんは親がおらず祖母の手一本で育ててもらい大学まで行ったのだ。
しかし、その祖母もいないためアメリカに家を持っているがウチと知り合って
日本に帰ってくる時はうちに泊めることになっている。
僕は一人の努力でここまでできた綾華さんを尊敬しておりさらに好意も寄せていた。
僕らはバスに揺られ、やっとのことで家に着いて綾華さんを迎え入れた。
「隼人くんのお母さんとお父さん、これから二週間ほどよろしくお願いします」
「綾華ちゃん、今年も息子をよろしくね〜」
「勉強とか見てやってくれよ」
「はい、できるところなら!」
そう宣言して家の空いてる部屋に荷物などを置きに行った。
僕は二人きりになった時質問をしてみた。
「ねえ、綾華さん」
「なぁ〜に」
「綾華さんって彼氏とかいるの?」
「彼氏か〜海外だから作りにくいんだよね、私はなるべく日本の人と結婚とかはしたいから
そういうお誘いは断ってるの」
「へ〜」
僕は正直この言葉は嬉しかった。
「ねえ、綾華さん、試しに僕なんて彼氏にどうですか?」
僕が一息の言うとすごい驚いている表情で見てきた。
「それって本当に言ってる?」
「はい、僕は本気ですよ」
「そうか〜」
何故か綾華さんは少し真剣な顔で見てきた。
「ねえ、隼人くん、君は私の事どう思ってる?」
「それは、なんでもできて尊敬していて、それと同時に好きですよ」
「多分それは尊敬の気持ち、loveじゃなくてlikeなんじゃないかな?
もっと私みたいになりたい、もっと近づきたいって言う気持ちが自分が好きっていう
気持ちになっているんじゃないのかな」
そう真剣に言われもう一度考えてみた。
しかし、どうしても綾華さんの言うことは分かりそうでわからなかった。
「でも、僕は本当に…」
「確かに、私は君と幼い頃はたくさん一緒にいたけど今はもうあまり関わってないじゃない
だから今の私の印象は小さい頃の私がそのままなっている
だから、付き合うなら私はもっと君のことを知れたらな〜って思ってる」
「君が好きなのは今の私じゃなくて昔の私とその私が
「でも、付き合ったとしても私はアメリカに帰る、そこであなたは高校三年間を過ごすそれも嫌じゃない?」
「嫌ですけど」
「私は君が知っているよりもポンコツだし、君が知ってるより子供かもしれないだからは好きになるのは私をもっと知ってからにしてくれないかな」
そう言われて僕は少し悲しくなったが堪えて頷いた。
こうして僕は初めての失恋を経験した。
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