第2話 スキンシップ
僕は何故かクラスの人気者、蛍さんによく構われている。
それが何故かは知らないが、多分、蛍がただクラスメイトと仲良くしたいだけだろう。
だから変な感情ではないはず、、、はず、、はずだと思いたい。
実際、今蛍さんに何故か肩に寄りかかられて眠っているのだ。
(うわ〜すんごい柔らかくて、いい匂いがする〜)、、、じゃないよ!
すぐ近くにはクラスいや学校の天使様が無防備に寝息を立てているのだ。
何で?どうしてこうなった〜!
話は数分前のこと、、
僕はいつものように静かな教室で本を読んでいるとその沈黙を破るようにガラララ〜と扉が開かれた。
扉の方を見るといつものように蛍さんがちょっと小さくなって教室に入って来た。
「おはよう蛍さん」
「おはよ〜ふあ〜」
机に荷物を置くと蛍さんは眠そうに大きなあくびをでた。
「なんか、眠そうだね」
俺がそう聞くとまた大きなあくびがでてきた。
「そう、今日いつもより遅く寝ちゃって寝坊して来ちゃったんだよね」
寝坊して来たと言っていたが今の時間は登校時間より30分くらい早いのだ。
「でも全然遅刻する時間じゃないよね、もう少し遅く来てもいいんじゃないか」
確かに蛍さんは教室に来て本を読むでもなく課題を進めるのでもなく、ずっと僕と話しているのだ。
それくらいなら普通に来てもいいと思うのだが何か考えがあるのだろうか。
「ううん、遅く来ちゃうと隼人と話せなくなっちゃうから」
「ふっふ〜んソウナンダネ」
(やっぱり、、気があるんじゃないのか、、?)
急に蛍さんから放たれた衝撃的な発言に動揺していると何故か椅子を僕の隣に持って来て座った。
そうしてまた本を覗き込んできた。
「今日は、、また難しそうな本を読んでるね」
「いや、難しそうに見えるけど、読んでみたら意外と簡単かも知れないよ
試しに一冊貸してみよ、、」
何故か少し肩に何か重みを感じて横を見てみるとスースーと寝息を立てている蛍さんの姿があった。
この瞬間、僕は話すのをやめ、その寝顔をじっと見てしまった。
寝ている蛍さんは何とも無防備で少しあどけなさえ感じれた。
(僕と話すためにわざわざ朝早く頑張って来てくれてるんだな)
そう思ってしまうと何だか感慨深いものがあった。
このまま動いて起こしてしまうのも気が引けたのでずっと動かないように座っていると
朝の心地いい日差しが僕の眠気を誘った。
このまま寝たら、次に教室に入って来たクラスの人に見られて起こされるかで
何か変な噂が立つかも知れない。
そこで僕は寝ないように起こさないように耐える時間が始まった。
しかし、それから数分間経つとついに限界が来て僕も睡魔に勝てず眠ってしまった。
またそれから数分経ち今度は蛍がムクっと起きた。
「ふぁ〜ぁ、あれ?私寝ちゃってたんだ」
私が顔を上げ横を振り向くとそこには眠っている、隼人の姿があった。
「えっ、私、、隼人の肩で寝ちゃってた?!」
そんなことを考え、嬉しいようね恥ずかしいような、複雑な気持ちになっていると
不意に変な考えが浮かんだ。
(今なら、、何してもバレないよね、、)
そう思い隼人の顔に口を近づけていくが、理性が勝ち何とか顔を遠ざけることができた。
(バカバカ!何やってんの私!そんなことして隼人に嫌われちゃったら意味ないじゃない!)
少し自分を抑え、上がっていた息を整えていると教室の扉がガラララと開き、
私の友人である、クラスメイトの山上小春が入ってきた。
「あっ、蛍ちゃん、おはよ、、」
小春は蛍が花咲と何かあっていることを勘づき、声のボリュームをすぐに下げた。
私は恥ずかしくて顔を真っ赤にしていた。
すると小春は少しニコニコしながら小声で「ファイト」と言って
荷物を置きそそくさと教室から出て行ってしまった。
私は恥ずかしくて数秒固まってしまったが友人に応援されて少し安心できた。
教室の中にはまた、静かになったがその静けさのせいで私の跳ねている心臓の音がよく自分に聞こえてくる。
そして少し心落ち着かせて一度隼人の方を向いて寝顔を見た。
「少しだけならいいよね、、」
私は欲望に勝てず隼人の体に触れた。
少し頭やほっぺを触っても起きないとわかると私はさっきの寝ている体勢のように肩に顔を乗っけた。
隼人の肩は寝ているのにしっかりと私の頭を受け止めてくれる。
(はぁ〜好きな人にこんなことできるの幸せ〜)
顔を肩にうずめたようになっていたので息を吸うと少し隼人の匂いがする。
(好きな人の匂いっていい匂いがするって聞いたことがあるけど、、、、本当みたいね)
すんすんと匂うが臭いと感じるどころか少し落ち着く匂いがする気がする。
時間が経っていくにつれ段々と恥ずかしくなって来てしまった。
私は一枚寝顔の写真を撮っておこうと思い顔を上げると起き上がった揺れで起こしてしまった。
するとハッと顔を上げ眠そうな様子で目を擦った。
「あれ、、?僕、寝ちゃってたんだ、あっ起きたんだね」
「うん、私もさっき起きた所だから」
そう言って少し舞い上がっていたのを隠していると何故か隼人はじっと顔の方を見てくる
「はっ、隼人?私の顔何かついてる?」
「いや、ものすごく赤くなってるから大丈夫かなって」
「えっ?!」
私は持っていた携帯型鏡で確認すると確かに顔は赤く紅潮していた。
「ああ〜!ダイジョウブだからね〜」
そう言うと、私は恥ずかしさのあまり教室を飛び出してしまった。
(やばい!変なふうに思われちゃったかも、次からどんな顔して会えばいいのかな
私は教室から出ると、友人に捕まりトイレに連れ込まれ質問という名の尋問が行われていた。
「ねえねえ、蛍ちゃんってあの、花咲君のこと好きなの?」
「えっと〜それは〜」
「あ〜好きってことね、はいはい」
「ちょっと変なこと言わないでよ」
「じゃあ嫌いと」
「そういうわけじゃないけど」
「あの時の顔、遠目だったけどすごくデレ〜としてたよ、あれを他の男子が見たら理性がぶっ壊れて尊タヒしてそうだね
(あの笑顔の天使様のこんな表情が拝めるなんて〜)見たいに」
「うっうるさい!」
少しふざけ気味に言っているのはわかるが自分でもその自覚が少しあるのだ。
(確かに、次から、、次があるのかわからないけど気を付けよう)
「まあまあ、私はいいと思うよ花咲君、なんか暗そうだけど勉強もできてそうだし、なんせ優しいし」
「そうだよね!」
花咲君は結構というか相当人に優しい、困っている人がいると必ず手助けをしているイメージがある、もちろんゲームの中でも私をサポートしてくれたり、アドバイスしてくれたりとすっごく優しい。
「おっ花咲君の話題になると食いついた」
「もういいでしょ〜」
私は友人にものすごく弄ばれた。
その頃教室では段々と人が増えて来て項垂れている隼人に友人の佐野は声をかけた。
「なあ、花咲?項垂れてるけど大丈夫か?」
「ああ、佐野僕は大丈夫だ、ちょっと最悪なことをしでかして」
「最悪なことか、まさか、なんか原口先生をカンカンに怒らせたとか?」
「それはいつもの佐野だろ、まあ、色々あったわけだよ」
僕が今話しているのは佐野東弥、クラスの中でも明るい存在でムードメーカーを担っている生徒だ。
でも、よく担任原口の地雷を踏み怒らせているがそれでもクラスでの人気は高い。
「ふ〜ん、まあ、俺で良ければ話聞くぞ」
「ああ、ありがとう、でも気持ちだけで充分だよ」
「そうか、でも何か相談したいことがあれば言えよ」
佐野と話しているとさっき教室から出て行った蛍さんが戻って来た。
「かぁ〜やっぱり、深町さんは可愛いな〜」
「それってもう少し静かにいうもんじゃないの?」
「別にいいんだよ、本人も言われ慣れてるだろうし」
そう言って佐野は自分の席に戻った。
「は〜次会う時どんな顔して会えばいいのかな」
そんなことを考えながら僕はもう一度ため息をついた。
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