人気な君が僕に構う理由(わけ)

クヨミ

第1話 君と僕の関係

僕の隣には笑顔の天使様と呼ばれている人がいる。

深町蛍さんそれが彼女の本当の名前だ。


俺の同級生で元気な人で周りに対してもいつも笑顔を振る舞っており誰かが天使と思って言われ始めたのがきっかけらしい。


でも、その笑顔は本当に天使のよう柔らかく見ているこっちまで嬉しくなってくるような表情だった。



朝のあまり人がいな教室には朝の優しい光がカーテンの隙間から入ってくる。


聞こえてくるのは外で朝練をしている生徒の声だけ。


教室から聞こえるのは自分が本をめくる音だけ。


僕はこの時間が好きだ、ここでなら物語の邪魔をされることもなくまたちょうどいい光でくつろぐこともできる。


そんな中、その沈黙を破るかのようのガラガラ!と教室の扉が開かれた。


そして扉を開けてやって来たのは僕の隣の席に座る笑顔の天使様こと深町蛍さんだった。


彼女も朝は早くいつも僕の次にくるのが早い人だ。


「隼人くんおはよう!やっぱりくるのが早いね」


「おはよう、深町、まあ、うちは歩いて十分くらいだからね」


俺がそう答えると少し不満そうに見て来た。


「もう!呼ぶ時はちゃんと名前で呼んでよ、はいもう一回」


「えっ?ああ、、蛍おはよう」


「うん!いいね、じゃあそれ続けてよね」


「えっ?でもこれ人前でするとクラスの男子から何言われるか」


「もう、何回も言ってるでしょ、そんな些細なこと大丈夫だって」


そう言って僕の肩をポンポンと蛍さんは叩いてくる。


深町は些細なことと言っているがこれを多分人前ですると

本当に変な憶測を飛ばされると思う。


そんなことを考えていると蛍に後ろからヒョイっと乗っかって来た


「ねえ、さっきまで何の本読んでたの?」


乗っかってくると言うのは要するに腕を首の後ろに回して顔が数センチまで近づいているのだ。


それを意識しない、、ことはなくバリバリ意識してしまっていた。


向こうは天然というか別に普通のようにやっているのでこっちから何も言い出せなかった。


ただ女子の肌の柔らかさとふんわりといい匂いがすることは感じられた。


(女子ってこんないい匂いするんだ)


そんなことを考えてしまったがすぐに考えを無かったことにして投げかけられた質問を返す。


「ああ、今はこの最近映画化された恋愛小説で、君との最後の日には、っていう題名だけど知らない?」


「知らないけど、隼人そんな本も読むんだね〜意外だな〜」


そう言って次は俺の本をヒョイっと取り上げてパラパラとページを捲り始めた。


「あっ!まだ途中だったのに!」


「へへっごめんね〜 あれ?全然この本、挿絵が全くないね」


「そりゃ文庫本だからな」


「恋愛の本は挿絵にはちょっとエッチなイラストが入っているのだと」


「それはライトノベルだね、これは文庫本だから残念でしたね」


そう言って蛍から本を返してもらいさっき読んでいたページを探す。


さっきまで読んでいたページを見つけるとすぐに持っている手作り感のある少し古そうな栞を挟んだ。


それを見ると今度はその栞を蛍はまじまじと見てくる。


「どうした?その栞がどうかしたか?」


「いや、使い込んであるな〜と思ってそれに、これ誰かの手作り?」


「ああ、昔作ってもらったんだ。あと、それは大切なものだからあんまり変に扱わないでくれよ」


そう言うと蛍はしおりを大切に本に挟みそっと僕の机に置いた。


「じゃあ、そろそろ友達が来る頃だから迎えに行ってくるね!また後で!」


てててててと扉の外へ蛍が駆けていくとまた教室は静けさを取り戻した。


僕は閉じていたカーテンを開けると暖かい日差しが漏れてくる。


(蛍さんって何であんなにも俺に優しいんだ?)


蛍は俺によく朝は絡んでくるがそれ以外の絡みはあまりない、


しかも、あんまり男子との関わりを見た事はない。


それは男子があまり近づこうとしていないだけなのかもな。


一人の男子がもし、蛍さんととても仲良くしていたら多分すごく見られて質問攻めに合うだろうな、これは俺の過剰な妄想かもしれないが。


そんなことを考えながら僕は自分の席に戻った。


それから今日は朝しか蛍と関わらなかったがまあ、これもいつものことである。


学校から帰えって色々終わらせると俺はやることがあるそれは最近流行っている

オンラインゲーム バレットオンラインをプレイすることだ。


これは友人に勧められたのだが結構ハマってしまい今ではネットにも友人がいてその人とよくプレイしているのだ。


僕がpcと起動してアプリを開くとすぐにパーティ参加の申請が来る俺は許可してボイスチャットを繋いだ。


「あっやっと来た、遅いよサキ」


サキというのはプレイヤー名のことである。


「ごめんフライヤーさん、高校課題が終わらなくてちょっと時間かかっちゃった」


「まあいいよじゃあ、始めますか!」


バレットオンラインこれはfpsのゲームで結構プレイ人口も多く俺もフライヤーさんも結構上位勢に入っている。


俺はヘッドホンを付け直しゲームを開始した。


フライヤーさんはガンガン攻めていく戦術だが僕はそれを後ろから援護する役割をになっている。

それがうまくハマっており今回もドンドン撃破数を増やしていく。


こうして今回も無事一位を取り試合は終わった。


「ふー結構危なかったけど二連続一位達成できたね」


「フライヤーさんはもう少し敵陣に突っ込んでいくの辞めません?」


「え〜まあいいけど、私途中から抑えられないかも」


「そこをなんとかお願いします」

俺もフライヤーさんと遊ぶこの時間が好きだ。

学校にも友人はいるがそこまで仲がいいわけでももないので趣味の話で盛り上がれる貴重な時間になっていた。


「ねえねえ、サキ君」


「はい、何ですか?」


「学校って最近何があってるの?」


「学校のことですか、、特に何もありませんよ」


「え〜つまんないの」


「あっでも、、フライヤーさん、ちょっと相談してもいい」


「えっ?急だね」


「いやこんなこと話せるのはフライヤーさんだけだと思ってるし」


「私も信用されてるもんだね〜で、相談って何?」


「最近学校でよく絡んでくる人がいるんだけど」


「うんうん」


「その人が女子でよく天然だと思うけどスキンシップがすごいんだよね、この時僕はどうすればいいいと思う?」


「う〜んとね、私も女子だからいうけど、その子、サキ君に気があるんじゃないの?」


気があるという言葉が返って来て俺はすぐに否定をする。


「いやいや、そんな、、ないでしょ、だって俺、そんなに仲良くないんだよ」


「それでもその子になんかしたんじゃないかな、覚えてないか知らないだけで」


「そう、、なのか?」


「うんうん、まあその子に歩よってもいいし、今の距離感でもいいし、拒絶以外はいいんじゃないかな」


そんな的確なアドバイスをもらい僕は少し安心できた気がした。


「ありがとうフライヤーさん、あっ!もう時間だから僕抜けるね、また今度!」


「うん、またね〜」


そう言って俺はボイスチャットをきりpcの電源を落とした。


一方、、

サキが抜け、私もpcの電源を落とした。


「は〜今日もサキの声よかったな、最後の相談絶対私のことでしょ」


そう言ってフライヤーこと蛍は余韻に浸っていた。


確かに、蛍も古参勢だがそのゲームの中でたまたま、隼人と出会ったのだ。


その後、趣味の話で意気投合して今も関係が続いているのだ。


でもサキが隼人だと分かったのは高校に上がってからのことで

始めからサキの声が好きだった蛍はすぐに隼人の声を聞いてピンとしたのだ。


その後はちょっとした高校の質問をしてサキ🟰隼人を完成させたのだ。


しかし隼人はフライヤーが蛍だとは分かっていない。


「隼人くんの声今日もよかったな〜やっぱりカッコいい〜、

でも相談で私のこと話してたな〜」


私はベットに飛び込んでゴロゴロと転げた。


「は〜でも相談で少し気持ちも知れたしもう少し積極的にやっていいのかな。


そう考えてるとずっと胸が熱くなってくる。


私、隼人くん好きなのかも、、


そう言ってまた、クッションに顔をうずめた。





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