第3話 悩みは筒抜け

今日も私は隼人ことサキとゲームをする約束になっていた。


私はこの時間が一番楽しみでこの日はいつもと違い高校の課題を済ませご飯も食べ風呂にも入り邪魔されない万全の対策をとっているのだ。


「ありゃ〜また結構早く始めちゃったよ、まあ、一人でやって隼人が来たら隼人のところ

行こう」


私はそう言ってゲームを開始する、一人の時もやりはするのだが最近は強くなりすぎてずっと勝ちまくって面白くないのだ。


その数分後、サキがいつものように入って来た。

「あっヤッホー!サキ」


「こんばんは、フライヤーさん」


「そんな硬くなくていいって」


隼人はいつもゲームをする時、私に対して敬語を時々使ってくるのだが、その時は大体落ち込んでいる時なのだ。

「ねえねえ、またなんか悩んでる?」


「まあ、少し学校の友人関係で悩んでて」


「友人関係ね〜少し話してみてよ」


私がそう言うと隼人は話し始めた。


「なんか最近、ある女子の友達がすごい絡んできて昨日もまあ、あったわけですよ」


「ほうほうそれでその子とどんなことで悩んでるの?」


「なんか、寝てるとこを起こしてもらったら急に教室から飛び出して行って、、

なんか僕やらかしたかなって」


「あ〜」


サキの口から出てきた悩みは私の昨日の行動だった。


私はあの時、恥ずかしさのあまり飛び出して行ってしまったのだ。


少しその時の自分に後悔しながら、私はまた話を聞く


「それで、次会う時どんな顔して会えばいいのかと思って」


「なるほど、、ね」


サキの悩みが私のことでそれを知らずに私に話していると思うと

なんか申し訳なさすら感じた。


そこで私は今私が思っていることを伝えた。


「多分、その子はサキ君のことが好きで恥ずかしかったんじゃないかな?」


「そうかな〜その子はクラスで一番人気がある生徒だよ、そんな人が僕に構うなんて」


「私が思うのが、君の好きだからそんなふうに関わってるんじゃないかな」


「そうなのかな?」


「そうだよ!もっとその人と関わってみたら?」


「でも、変に関わってもね」


「大丈夫!私が関係を保証するよ!」


私は音声チャットだったが気持ちも入っていたためガッツポーズをしていた。


「そうだね、僕、話してみることにするよ、ありがとうフライヤーさん」


「悩みが晴れてよかったよ!じゃ!やりますか!」


そう言って悩みを解決させた私たちはゲームを始め、1時間ほど遊び解散した。


サキとのゲームが終わり私はベッドに倒れ込んだ。


サキに教えたアドバイスはもはや自分の告白みたいなものだと思うととても恥ずかしくなってきた。

(もう、私の気持ちを曝け出したんだからもう告白みたいなものになっちゃったな)


私がベッドの上で恥ずかしくてゴロゴロと転げていると急に部屋の扉が開いた。


「お姉ちゃんちょっとうるさい、、」


扉が開いて入ってきたのは一つ年下の妹、深町玲奈(ふかまちれな)だった。


玲奈は寝巻きに身を包み、眠たそうに目を擦っている。


さらにその手には小さなクマのぬいぐるみが抱えられていた。


その見た目は中学生とは思えないくらい幼く見える。


「あ〜ごめん、玲奈、うるさかったよね、でも、もう切ってあるから」

私は電源を落としたpcを指差した。


「お姉ちゃんはさっきまで何してたの?誰かと話してた声が聞こえたんだけど」


「あ〜友達とね、話してたんだ」


「友達ってもしかして彼氏でもできた?」

そう聞かれ私はびくってしてしまったがなんとか平常心を保つ。

「なんでそう思ったの?」


「なんかすっごく楽しそうだったから彼氏じゃないかな〜と思って」


また、彼氏と言われ、すごく変に動揺してしまっていた。


「そっそ、そんなことないよ!ただの友達だよ!」


変な反応をする私に少しの疑いの目をかけながら大きなあくびを挟んで

「じゃあそう言うことにしてあげるよ、おやすみ〜」


「おやすみ〜」


そう言って扉を閉めた。


玲奈は扉を出ると少しニヤけていた。

(絶対、あの反応だとお姉ちゃん彼氏できてるよね、それか、、好きな人でもできたのかな?

なんにせよ、あんな乙女なお姉ちゃん初めて見たかもな〜)

妹、玲奈に一瞬でバレた、姉であった。


妹が部屋を出ると部屋はシンと静かになった。


私はもう一度ため息をつき、またベッドに乗っているクッションに顔を隠した。


(え〜そんな楽しそうにに聞こえてたんだ、これから話す時、気づかれないかな?

まあ、気をつければいいか!)


私はそう明るく考えて眠りについた。


目が覚めると何故か目の前には隼人がいる。


(えっ隼人?!)


私は驚き声が出なかった。


隼人は少し顔を近づけると耳元で「おはよう」と呟いた。


これでも、蛍には大ダメージなのにさらに隼人は蛍の体を抱きしめた。


(ななっな!隼人がちちちっ近い!)


さらに蛍の頭はパンクしてしまっていた。


混乱で気絶しそうになっているとハッとなり目が覚めた。


体を起こすとそこに隼人の姿はなく、夢だったことがわかった。


「こんな夢見ちゃうなんて、私どうかおかしくなっちゃったのかな」


私がそんなこと考えながら階段を降りて洗面台に向かうと玲奈にあった。


「あっ、お姉ちゃんおはよう、、顔、大丈夫?」


「えっ?!」


私は目の前に鏡で顔を見るとまた顔が真っ赤になっていた。


「お姉ちゃん、好きな人のことでも想像しちゃった?」


妹から言われた図星の言葉にさらに顔を赤く染めてしまう。


「そんなことないもん!」


私は冷水で顔を洗い赤くなって顔を覚ました。


準備を済ませ、私は少し早く学校へ向かった。


学校に行くとやっぱりいつものように隼人は窓際の席で本を読んでいた。


(いつも入る時隼人君、いつもは見せないなんだかすごく楽しそうな表情をしてるんだよね)

隼人は朝、本を読む時いつもは見せない嬉しそうな表情をしていた。


カーテンの間の光がスポットライトのように彼を照らす。


隼人はいつも本を読んでいるため一人しかいない教室はいつも、隼人君のページをめくる音しか聞こえなかった。


私が扉を開いて挨拶をするといつも挨拶を返してくれて、困った時は助けられて、やっぱり

私、もっと彼を知りたい。


そう思い、また私は彼の席の隣に座った。






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