第6話 歌うヒロ兄ちゃん
ピカッと雷で周りが明るくなり、リンちゃんは大声で泣く。
私は、雷の音が聞こえないように妹の耳を塞いだ。
「リンちゃん、大丈夫だから泣くなよ。歌でも歌おうか?」
と、おどけた様子でヒロヤ兄ちゃんがアニメの主題歌を歌い始めた。
最初は、こんな時に歌なんて歌えるわけがないと思ったが、ヒロヤ兄ちゃんはリンちゃんの気を紛らわそうとしてくれていると分かり、私も小声で歌ってみた。
ちょっとだけ、雨音が気にならなくなったが、雨は一向に止む気配はなかった。
私が歌っているとまた、周りが明るくなった。
「1,2,3、4……」
すると、ミコト姉ちゃんはゆっくりと数を数え始めた。
バリバリという空を引き裂くような雷鳴があたりに響き渡り、私の歌は叫び声に変った。
「さっきより、どんどん近づいてるね……」
「そうなの?? どうして分かるの?」
「カミナリは、光ってから音がするまでの数で距離が分かるんだよ」
とミコト姉ちゃんが教えてくれた。
私は、ミコト姉ちゃんは何でも知っていてすごいと感心したが、同時に少ない数はそれだけ雷が近くにいることを示している。
「ねえちゃん、俺とヒロくんで親呼んでこようか?」
「ううん。危ないから今はダメ。カミナリが鳴りやんでからにしよう」
ケンジ兄ちゃんの提案に、ミコト姉ちゃんは冷静に答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます