第4話 しっかり者のミコト姉ちゃん


 その日は8月だというのに、雲の多い湿度の高い日だった。


 猛烈に暑いわけではなかったことが、公園に出かけるきっかけになっていたが、それがゲリラ豪雨の前触れであることは、私たちは知らなかった。


 公園について、遊具で30分ほど遊んでいると、ゴロゴロという遠雷が聞こえた。

 まだ、遊び足りないが雨が降ってきたら、歩いて子供の足で30分ほどもかかる道のりが厳しくなる。

 そう判断したミコト姉ちゃんが言う。


「来たばかりだけど帰りましょう」


 苦労して来たばかりなのに、もう帰らなければいけないことに、みんな頬を膨らましたがミコト姉ちゃんの言うことは絶対だ。


 ミコト姉ちゃんは、いつもニコニコしていて、優しくてお淑やかでみんなのあこがれのお姉さんだ。

 だからこそ、そのミコト姉ちゃんが厳しく言うときはそれが必要なことだと分かる。

 弟のケンジ兄ちゃんは、ミコト姉ちゃんには頭が上がらない。やんちゃなヒロヤ兄ちゃんさえミコト姉ちゃんには逆らわない。


 年功序列ねんこうじょれつがこの小さな従姉弟いとこコミュニティーの中に存在しているのは不思議だが、それは年齢や腕力の差ではなく、明確な知識量の差であったことをこの後知ることとなる。

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