第13.5話 千雪の直感
「怯むどころか、更に行動が苛烈になりましたか」
「……ええ」
夜、梨乃の私室。
机を挟んで相対し、梨乃が千雪に相談をしている。
先日、梨乃は千雪からのアドバイス通り、学校で修太郎との仲をアピールしてみた。
それで、蜜香の真意がわかると考えたからだ。
結果、蜜香の修太郎に対する接触は、更にヒートアップした。
「彼女の行動……単なる幼馴染みの悪ふざけ、その範疇とは思えないわ」
「………」
そこで、梨乃の言葉を聞いていた千雪は、何か違和感を覚えたかのように口元に指を添わせる。
「どうしたの? 千雪」
「……夏前蜜香の行動の真意……本気なのかどうかもありますが……何より、それを修太郎様はどう思っているのでしょうか」
千雪が言うと、梨乃は「シュウ君?」と呟く。
「お話を聞く限り、修太郎様は夏前蜜香からのアピールに、そこまで抵抗を見せていないように思われます」
「シュウ君は、単なる夏前さんの悪ふざけだと思っているのでしょ?」
「……本当に、単にそう思っているだけなのでしょうか?」
千雪は言う。
「夏前蜜香からのアピールを、修太郎様はどう意識しているのか、その本心を知るべきだと思います」
「シュウ君の、本心……」
「これは、あくまでもわたくしの直感ですが……」
一瞬間を置き、千雪は言う。
「修太郎様と夏前蜜香との間には、お嬢様にも打ち明けていない、秘密の関連性があるのでは、と思いまして」
「秘密……」
そう言われると、梨乃にも疑念が生まれたのだろう。
不安そうに、自身の胸を押える。
「……夏前さんのことをどう思っているか……シュウ君に直接聞けということ?」
「直接聞いたところで、本音を語るとは限りません。なんとしても、客観的事実を手に入れる必要があります。例えば――」
そんな梨乃に、千雪は、ある作戦の決行を提案した。
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