第15話 ときぐすり

これで気持ちに一区切りつけられると書いた翌日に、全然区切りをつけられていない文を書いていた。


もう思い返しても何も変わらないのに。解放されたいと願っているのに。

ふとした瞬間に、あの時にああ言えばよかった、もし今こう言われたらこう伝えよう等々を考えている。

会社への怒りは消えたけれど、悲しみや悔しさが残ったままだ。


もう考えても仕方がないと我に返り、何度か、

「今日買った年末ジャンボ、高額当選しますように!!」と祈った。

どう考えても、今は年末ジャンボの高額当選の方が大事なのに、

ふと気が付くと、また会社のことを考えている。


先日読んだ小説で、「ときぐすり」という言葉が出てきた。

調べてみると、悲しみや困難が時がたつことで癒されたり解決したりすること、らしい。


今服用している睡眠薬と向精神薬に加えて、時間の効能が加わったら、私の呪いも解けるのかな。

それまでは、目下の願望と、会社での記憶を行ったり来たりするものなのかな。

「ときぐすり」早く効いてくれたらいいな。

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