第13話 一区切り

今日、労基署に書類を出しに行った。


今受けている指導・退職勧奨について、その根拠となっている去年の評価について、あまりに説明を欠いていると何度も会社に伝えてきた。

今こうなっているのは全て私に落ち度があったからだと言われる度に、そうではないのだと繰り返した。繰り返す度に、去年や今の辛いことが、呪いの蔦のように身体に纏わりついてきた。


「過去に拘り、前向きに改善に取り組んでいない」と何度も言われた。

私のせいで、自業自得で、呪いに絡みつかれていたのか。

会社に言われるがままに、私の落ち度でしたと言い続け、退職勧奨を受け入れていたら、呪いは解けていたのだろうか。


過去を過去にしたかった。去年パワハラ上司に言われたことも、理不尽な叱責も全部。


今回、経緯を書いた文書も提出した。

認めて貰えるかは分からない。認定されるには不十分かもしれない。

会社のいうとおり、「そんな事実はなかった」のかもしれない。


まだ、提出しただけの段階。これからまた、調査で聞かれるかもしれない。

それでも、暫くは、誰かに事情を説明をする必要はない。会社に対しても、助けを求める相手に対しても。

暫く、呪いの箱を閉じておける。


これが、終わりなのか、更なる対応への始まりなのか、途中経過に過ぎないのか。今の私には分からない。

それでも、一度、呪いの箱は閉じようと思う。


私へ。

お疲れさま。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る