第3話 願い
津村記久子さんの『ポトスライムの舟』を読んでから
一度行ってみたいと思っていた奈良の一言観音。
お願いできる願い事は一つだけ。
随分前に読んだからうろ覚えだけれど、主人公の女の子は、結局願い事をしなかった……と思う。
私もいつか行ってみたいと思ったまま、数年が過ぎてしまった。
今、ちょうど関西に逃避行中なので、行ってみようと思うのだけれど
願い事が決まらない。
少し前なら、昇進できますようにとか、健康でいられますようにとか願ったと思う。
今は、何を願えばいいのだろう。
眠るようにある日突然死ねますように……は神様仏様ドン引きしそう。
会社が退職勧奨をやめてくれますように。鬱が治りますように。
どちらかをお願いしたいけれど、神様仏様は叶える手段は択ばないとも聞く。
クビになることで、退職勧奨が終わるかもしれない。鬱は治っても、退職勧奨は続くかもしれない。
全部欲張ると、会社が退職勧奨を辞めてくれて、鬱が治って会社に復職出来て、上司や同僚やクライアントに恵まれて、もちろん家族も全員健康で、そしてあわよくば昇進もしたい。
まったく一言になっていない。
もっと違う観点で願えばいいのだろうか。
幸せになりたい、とか。
でも、神様仏様の考える私の幸せが何か分からない。私はどうなるのだろう。
幸せってなんだろう。
私の幸せは何であるのか、見つけられますように。
にしようかな。
それは自分で探しなさい、と言われるかな。
私は何を望んでいるんだろう。
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