第21話 チート始動!

『生命魔法オーブ貰っていい?』


 ラッドがアオナからオーブを受け取った。


「それを使うと魔法が覚えられるの?」

『条件を満たせば使わなくても覚えれるけど、そのオーブを使うとランダムのステータスが属性の最適に近い数値になるから出来ればそっちで覚えたい』

「なんでそんな詳しいの?」

『神様の従者の知識を貰ったから、魔法の事はほぼ全部分かるよ?』

「何それ、いいの?」

『くれたし、いいんじゃない?』


 可愛いげっ歯類の姿のラッドは首を傾げていた。


「テイムって使用回数きまってるの?」

『マナを一万使うね』

「それが多いのか少ないのかもわからないんだけど?」

『杖には今、千万溜まってて一日で十万ほど自動で貯まるよ」

「桁が三つ以上違うね・・・。デイリーで十回撃てるし千発連射出来るんだけど?」

『マナはお金でもあるから無駄遣いしないでね・・・』

「価値はいかほどで?」

『そのまま日本円くらいの価値と思っていいよ』

「一発一万円!?と言うか何もしないでも日給十万円!!?」

『その杖、チートだから。一億までは貯めれるよ』

「神様ありがとう!!」


 喜んで貰えて何よりです。


・・・


「で、これからどうしよう?」

『近くに村があるよ?』

「ちょっとまって。対人に不安があるんだけど」

『コミュ障?』

「違う。そうだけどそうじゃない」

『どっち?』

「治安いいの?」

『田舎の村だから村人自体は良い人ばかりだけど、盗賊とかも跋扈ばっこする世界だね』

「対人戦闘対策をお願い・・・」


 魔物は即死魔法で平気だけど、人相手だと効かないからなぁ・・・。


『一応、僕が生命魔法で治癒ヒール麻痺パラライズ生命吸収ライフドレインを覚えたから一人ならまず負けないけど、大人数で来られると面倒だから色々と覚えといた方がいいかもね』

「魔法ってそんなに簡単に覚えれるの?」

『普通は無理。そもそも正確な習得方法は知られていないみたい。僕は知ってるけど』


 う〜ん。メイの知識を上げちゃったのはまずかったかもしれない・・・。

 製作者側の知識だし・・・。やばいかも。


『とりあえず魔石生成ジュエリアって唱えて魔石を一〇個ほど作って。マナは100でいいよ』


 血の杖の能力で魔石を作れる。創るのにマナを使うけど。生成時に貯蔵可能量のマナを消費する。今回は貯蔵量100の魔石にマナを100込めて作ったから200の消費。


「作ったよ?」

『右手に持って接続リンクって唱えてから投げて』

「せっかく作ったのに捨てるの!?」

『まぁ、いいから投げてよ』

「まぁ、いっぱいあるからいっか」


 意外と物欲に乏しい。アオナは魔石をぶん投げた。

 それは綺麗な放物線を描いて草むらに消えていった。


『結構、投げるの上手いね』

「昔、ソフトボールをやってた」

『へぇ、次は逆方向に同じ様に投げて』


 それを四方向に向かって繰り返した。

 

捜索サーチって唱えて』


 唱えるとさっき投げた魔石から光の柱が上がっていた。

 へぇ、そんな事できるんだ。


「え?なんか無機質な声で、捜索サーチの魔法を覚えたって言ってるんだけど?」

『うん、その手順を踏んだから』

「そんな簡単なんだ・・・」

『一番簡単な方法を選んだから。次は地図マップって唱えて』

「覚えた・・・」

『マップは開きっぱなしにしといて。あと一覧リストって唱えると覚えてる魔法のリストが出るよ。捜索サーチもオンにしといてね』

「便利な世界ね」


 マップに赤い点と青い点が表示される。赤は魔物で青は人らしい。

 便利な空間魔法を一足飛びで覚えていってるなぁ・・・。


『これで不意打ちの心配も減ると思う。あと常時発動で空間魔法レベルを上げていくからつけっぱなしで。普通はマナを消費するから勿体なくて無理だけど杖のおかげでお金に困らないからレベル上げを優先で』

「ラッド、頼りになるね。ありがとう」

『どういたしまして♪』


 仲良くやっている様で本当に良かった。

 アオナは投げた魔石を拾って次の準備に入る。


『テイムのレベルも上げると従者が増えるから素質は残しておこう。レベルが上がる程、必要な素質が増えるからレベル3で三人くらいが限界かな』

「三人もいれば十分ね。任せるよ」

『あとエネルギー干渉を遮断する干渉遮断プリズンを覚えよう。防御にも拘束にも使えるから』

「便利そうね」


 魔石を足元に四角に置いてその中でサーチを唱える。周囲に四本の光の柱が立ち上がる。

 それを数十回、ラッドに言われた順番通りに光に触れる。


「覚えた・・・はぁ、はぁ・・・」

『お疲れ様♪空間魔法レベル5くらいになったらほとんどのエネルギー干渉を遮断出来るからほぼ無敵だよ』

「・・・チートね」

『あと隠蔽インビジブルも覚えとこう』


 覚えた。


ーーーーーー

【アオナ】のステータス

魔物服従テイム:魔物に従者の意識をインストールする能力【元の魔物の意識は消滅する】』

空間収納インベントリ:個人領域を空間化し物を収納できる能力』

自動保存オートセーブ:肉体破損時、空間収納内で復元される能力【軽度の損傷は即時その場で復元】*常時発動』

捜索サーチ:魔物、人の位置が分かる』

地図マップ:周囲の地形が分かる。目印を付けることも出来る』

隠蔽インビジブル:姿を見えにくくしたり、情報を隠す事が出来る』

干渉遮断プリズン:対象範囲内のエネルギー干渉を下げる』


『空間魔法LV2:LVレベルが上がる毎に空間魔法の効果が倍になる』

『素質残量22:魔法取得及び魔法レベル上昇により消費される。最大値100固定』

ーーーーーー


***神界***


「何を従者にメイの知識インストールしちゃってるんですか!?」

「さすがにそれはヤバいですよ・・・」

「いや、だって言語も分からない状態だったし、説明も面倒だったし・・・」

「せめてアイのにしてくれたら魔法関係が網羅される事もなかったのに・・・」

「アイは知識偏ってるもんね♪」

「開き直るんじゃないですよ!既に無敵化しつつあるじゃないですか!!」

「どうせ不老不死なんだからいいじゃない。なんだったらアオナにあの世界を良くしてもらいましょうよ♪」

「悪くするかもしれないじゃないですか!」

「彼女なら、大丈夫だとは思いますけど・・・」

「知識だけで、魂は元の世界で縁の深かった魂が引き寄せられているはず♪」

「魂・・・ですか」

「あれは私達ではどうしようもないからね。でも良い方向に導いてくれるはず!」


 魂が引き寄せられる・・・。私達ではどうしようもないシステム。



 それなら・・・私達は?

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