第14話 創った植物が育たない。

 創った植物が育たない。


「そりゃ、土も空気もないですからね」


 アイが素気なく言う。

 えぇ・・・。どうしよう?しかたないですね!

 地球の日本の土地を複製して土地を作りましょう。

 深さは10kmくらいでいいや。空は15km程で区切っておこう。オゾン層まで再現しておけば、後は太陽からの干渉内容をコピーすれば再現出来るでしょう。

 地表のフィールドはとりあえず1000km作って置いて真ん中に島。後は海にして対極の端っこをつないでループする様にした。


 植物もそのまま持ってきました。植物以外の生き物はコピーしていません。

 時代を巻き戻して、昔の淡路島をそのままコピー。江戸時代くらいでいいかな。

 家屋も持ってきちゃったけど、まぁいっか。


「これで育つかな?」

「相変わらず、無茶苦茶しますね・・・」


 突如現れた大地と海と空。正直、私も無茶苦茶だと思う。


「光合成できないし、微生物がいないのですぐ破綻しそうですね」


 まじか・・・。

 微生物を実装するとウイルスや感染症、細菌兵器なんかも生まれちゃいそう。


「代わりになる概念を追加しましょう。ん〜名前はマナで」

「なんですか?それ」

「有機物の分解、変換作用をプログラムして微生物の代わりに世界に充填させよう」

「え・・・仕事量エグくないです?」

「大気もマナに置き換えて万能の物質として変換可能にしておこう」


 こうしておけばマナの循環で大抵の事はカバー出来るかな。

 後は有機物に耐久値を持たせて消滅、マナに変換させておけばオッケー♪

 排泄物とかもこれで循環サイクルに乗せられます。


「あと化学反応を封印してるから光合成ができないね。マナに置き換えといて♪」

「ひ・・・」


 ひ?


「ヒトデを下さい!」

「どうぞ」


 棘皮動物門ヒトデ綱に所属する動物の総称。

 日本で一番ポピュラーなアカヒトデを渡した。


「そうそう、これこれ♪って違うわい!!」


 アイはペチンッとアカヒトデを地面に叩きつけた。

 可哀想に。動物虐待反対!


「人手ですよ!プログラムの書き換えが出来る人を創って下さい!」


 えぇ〜・・・。また増やすんですか?

 まぁ、もう一人くらいいてもいっか。


「えっと、真面目でプログラム得意で、黒髪ロングにしよう。女性で二十歳くらいでいっか。家事全般が出来る感じで。知的な感じの美女で伊達メガネを装着っと♪あとメイド服」

「うわぁ・・・趣味全開ですね・・・」


 どうせならと拘ってみた。

 設定完了!ピカーっと光ってメイドさんが現れた。


「ここはどこでしょうか?あれ?記憶が・・・私、誰でしたでしょうか?」


 ん〜。名前何にしよう?


「あなたの名前はメイ!よろしくね♪」

「メイドからとった安直な発想にドン引きです・・・」

「分かりやすさは大事!」


 こうして、元の世界と同じ土壌とマナのシステムとメイドのメイが誕生した。

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