第7話 私は魔法を使いたい!図書館へ行こう。
言語の壁を超えた私は・・・魔法について考えていた。
私も魔法を使いたい!
きっかけは、レインが言っていた魔法を覚えた時のこと。
「えっと、なんだか無機質な声がよく分からない言葉?を言っているのが聞こえて、その後『
翻訳に凄い時間がかかりましたがそんな事を言っていました。ちなみに説明の際に、レインがヒールと発音してしまい目の前の私がキラキラと輝いていました。回復ありがとうございます・・・。誤発動防止の言語調整、本当にあり得るかもですね・・・。
しかし、なるほど映像ですかぁ。でも一度きりで発音をマスターしないといけないのは厳しくない?聞き逃したらアウトですか?私、それ見てないんですけど?と思っていたら・・・
「あと覚えた魔法は『
なにそれ、聞いてないですよ!?
私は直ちに、声高らかに唱えました。
「
私はついに・・・ステータスオープンをしたのだ!!
胸の高さ二十センチ程前方に顔の方に向けてタブレットPC程の大きさで半透明のモニターが現れたのです。
「きたああああ!!」
テンション爆上がりです!苦節数十年、ついに私の冒険は始まるのです!!
リストに現れたのは・・・
ーーーーーー
『
『
『
空間魔法LV1
時間魔法LV10【MAX】
素質残量:0
ーーーーーー
情報少な!!
そして、既知の魔法しかなかった件について・・・。
ちなみにレインさんのは、
ーーーーーー
『
回復魔法LV1
素質残量:98
ーーーーーー
もっと少ない・・・。
まだ慌てる様な時間じゃありません!リストを選択する事で映像が再生されるのです!
その映像による情報はこうでした。
『模倣神域:本人を空間収納の保管できる能力』
『空間収納:個人領域を空間化し物を収納できる能力』
『自動保存:肉体破損時、空間収納内で復元される能力【軽度の損傷は即時その場で復元】』
既知の情報しかなかった件について・・・。
しかし、なんと魔法以外の他のリスト情報も再生が出来たのです!
『空間魔法:
『時間魔法:
『素質残量:魔法取得及び魔法レベル上昇により消費される。最大値100固定』
素質を使い切っている件について・・・。
絶望でござる。つまり私は新しい魔法を覚える事もないのです。
『模倣神域』は使用したら詰むデストラップです。
絶対に間違っても唱えてはいけません。
自動保存は常時発動なのでそもそも唱えても意味がありません。
『空間収納一択です!』
しかも空間魔法LV1。詰みました・・・。
私は運動神経は皆無です。前世では平地でも転ぶ残念女子でした。戦闘は絶望的と言って良いでしょう。完全に一般ピーポー以下でござんす。
神様に貰った恩恵は、若返りと六十歳まで死なない事。
しかし、その死なないシステムはデストラップに変貌を遂げました。
匠も裸足で逃げ出す激的ビフォーアフター。命綱が首に掛かっている気分です。
どんな気分ですか!?ポンコツ神様許すまじ!!
まぁ、死なないシステムは魔道具によって別ルートで達成された訳ですが・・・。
一通り怒りを飲み込んだ私は冷静になって考えます。
生きる上で、この空間収納を使いこなす必要がありそうです。
私は魔法について学び始めました。
①この世界の魔法について学ぶ。
②空間収納についての実験。
③魔道具について。
この三本立てでいきましょう!
まず①の為に、私は公国の図書館へ引きこもり始めました。公国一番の図書館です!
図書館は基本的には貴族以外は入れません。しかし、父のオットはその貢献度の高さから公爵より貴族並みの特権を賜っていたのです。お父さん本当にありがとう!
私は街へと繰り出します。公国は比較的に治安が良いらしいです。帝国は治安が悪いみたいですね。全てオットパパの知識です。オットパパは本当に物知りです♪
道中はレインさんが付き添ってくれました。レインは金髪碧眼の二十歳美女です。
何というヒロイン属性。しかも超貴重な
一方私は、黒髪ブラウンの瞳の五歳幼女。スペック不足が否めません。
この世界の魔導士は基本的にはエネルギー属性魔法らしいです。
生命属性魔法は一割にも満たない。その中でも一際有益な回復魔法。
本来なら勝ち組なのですが、正規手順を踏んでいない魔法習得。バレると教会に捕まるかもしれないので間違っても人前では使用出来ないらしいです。なんと言う宝の持ち腐れか・・・。でも活用手段をオッツお父さんと検討中らしいです。
あれ?時空魔法は?どうも時空魔法の情報は隠蔽されている様です。調べ様とするだけでも下手すると教会に目をつけられて投獄されるらしいですよ?ちなみにそれを知っているオットパパはかなり特殊らしいです。一般的には魔法=エネルギー属性魔法なのです・・・。
ノレリダの冒険者四人は、神の使者である私の名の下にオット商会の専属冒険者となりました。
「私のせいで拘束してしまってすいません・・・」
私が魔法を授けてしまったせいで野放しに出来なくなってしまいました。それに盗賊の雇い主の件もあります。自由に動き回るのは彼らにとっても危険でした。
私が申し訳なさそうに伝えると・・・ノレリダの四人は揃って首を傾げていました。
「いや、商人のお抱え冒険者とか勝ち組だろ!しかもあのオット商会だぞ!?護衛任務だけでも自慢話だったのにまさかなぁ、しかも魔法を授けて貰ったなんて・・・感謝しかないぞ!?」
どうやら感覚の違いで、逆にビックリされてしまった様です。
お父さんの商会、本当に凄かったんですね・・・。
***
公国首都の人口は約二万人、この世界では大都市です。採石場を背に三時間ほど馬車を走らせれば海もあるそうです。海産物が豊富。森からの恵みも沢山あり採集は冒険者の仕事。魔物が存在しますが食用にもなります。知能は人ほどではないですが多少はある種もいるらしく敵対関係にあります。本当にゲームの様な世界ですね。
街は賑やかで人々は皆、精一杯に生活しています。前世の人々よりもなぜか生き生きしている様に見えました。メインストリートである道を通ると露店が並んでいて皆が買い物をしています。道は街の端にある公爵様の邸宅まで続いています。メインストリート沿いは一等地。そこに豪邸を構えるオッツ商会はやはりかなり特別の様ですね。
そんなメインストリートをレインと共に楽しく手を繋いで歩きました。
姉妹とも親子とも言えない年齢差。親戚にでも見えているのかもしれませんね。
文字は普通に普及している様です。露店にも文字は使われていました。歩くだけでも良い勉強になります♪文字と簡単な算数を学校で学ぶそうです。数字は日本のそれと全く同じでした。学校で学べるのはそれだけです。五歳から八歳まで教育を無償で受けられます。逆に言うと教育は基本は三年だけ。八歳から働き始めます。実戦投入が早いですねぇ・・・。三年で習得しなければいけないのだから、そりゃぁ言語も簡略化されます。
***
朝食は露店の屋台で済ませました。『ウトン』と書かれています。うどんですね。お野菜たっぷりで魚のアラも入っているスープ。お出汁がしっかりと効いていて普通に美味しいです。醤油の様な味がします。レインに聞くと、
「コイクチの実を煮詰めた調味料の事ですね♪」
発酵食品の技術はない様です。しかし、さすが日本人神様の世界ですね。麺は小麦を練ったもの。少し太いのできしめんに近いかも?これいっぱいでお腹いっぱい、お値段なんと二五〇円程!お安い♪とても美味しかったですし、食が合わずに苦労する事はなさそうです。
ちょっと神様に感謝しました。
・・・
そうこうして図書館についた訳ですが・・・しかし、入場料がたっかいです。もちろん本の貸し出しなんてしてくれません。そしてその入場料は驚く勿れ、一回で約5万円相当!
そして利用登録料が45万円です!冒険者の月収二ヶ月分以上です。入場したら一時も無駄にしたくありません。金額は事前にオットパパに聞いていたのでお金は貰っています。
こんな金額をサクッと渡せるパパまじやばです。でも、これは実はサクッとではなかったのですが・・・。これは後に知る話です。
私は開館と同時に入場し、閉館まで粘ります。朝八時から夕方五時まで。
せっかくの入場料を無駄には出来ません!
しかし・・・魔法の資料が・・・ない!
むしろ、夕食時にみんなから聞く話の方が余程、有益な情報だったりします。入場料を返して欲しいです・・・。特に父の話は一般人では知り得ない情報までありました。
「商人にとって情報は命だ」
と言っていました。ちょっとかっこいいです!
なぜこれ程に魔法の情報が少ないのか、それには教会が関係していたのです。
ノレリダに詐欺を働いた連中。それはもう真っ黒でしたよ!
教会は、魔法知識を独占しているのです。まず魔法習得方法を教会しか知りません。
魔法習得の流れは簡単に言うと、
①大金を払って教会で適正診断。適正なしと判断されると、もうアウトです。
②適正ありと判断された場合、魔法学校に通う事になります。
③魔法学校でやっと魔法を取得。しかし、魔法使用の許可はまだ学園内のみ。
④卒業とともに自由使用許可が出ます。しかし、当然ですが人への使用は基本禁止。
人への魔法使用が許されるのは自衛、または犯罪者への使用と魔物討伐の為にのみ。
その辺りを徹底的に教育される様です。当然です。この世界、魔法が強すぎるのです。
ブーストを使うノイスは、もはや魔法を持たない人と一騎打ちをして負ける事はほぼありません。だからこそ厳選しているのかもしれません。私の予想なのですが、魔法適性は全ての人があるのではないかと思っています。だからこその魔法適性診断ではなく、魔法適正診断。漢字のないこの世界の人には分からない話ですが・・・。
なのに診断に大金を取る教会・・・激おこです!
魔法を覚えた人は基本的には、国の重要ポストにつきます。超優遇されます。
エリートです。主にアオナ聖教国に、そしてコンク王国にも就職します。
王国と聖教国はズブズブです。まず聖教国が最強でした。どの国も勝てません。優秀な魔導士を独占状態。聖教国と王国、公国が戦争をしても、まず勝てません。魔法を使った大・虐・殺♪が起こるだけです。聖教国と王国が強く結び付き、公国は王国の腰巾着。帝国の立場が非常に低いです。でも、この分かりやすいパワーバランスのおかげで戦争は起こらずに済んでいるのかもしれませんね・・・。
なぜこんな話をしたのかと言うと魔法の情報が全っ然、集まらないのですよ!
図書館はとても立派で豪華な建物に本が2000冊程、保管されています。
公国一番の図書館でこの規模です。本は本当に本来は本質的に資本なのです。
大切なのですよぉ・・・?
本の劣化を防ぐ為に日が差し込まない作りになっていて時間の経過を忘れてしまいそうになります。夢中になって本を読みました。とても高価な時計がここにはあります。むしろ図書館が時計台も兼ねていて連動しています。この国の時間はここが発信している、と言っても過言ではありません。
***
カチッ、カチッと時計の音だけが鳴り響きます。ここはとても静かだ。
全体的に薄暗い空間ですが本を読むスペースとして置かれてデスクスペースには灯りが置かれていて
天井は球体になっていてプラネタリウムの様。夜空の天体を映し出していました。
よく見ると動いています。この天体、実は映像になっていて実際の星の動きを再現していました。ちなみに魔法のお守りの天球儀はこの映像には反応しませんでした。
実物である必要がありありそうです。
重厚な手触りで一つ一つが丁寧に装飾された空間。壁、柱、天井、床、机、全てが丁寧に造られていて掃除が行き届いています。本特有の匂いが空間を満たしていました。
『私はこの空間が・・・大好きです。』
十五メートル程の円形の空間。中央にカウンターで囲われたスペース。その中に司書官さんが座っています。入り口以外の壁は読書ブースのデスクスペースが五箇所と残りは全て本棚。
腰高までは全て備え付けのチェストになっていてその上に本が並べられています。基本は表紙が見える様に空間の中央に向けて置かれているのでとても探しやすいです。2000冊しかありませんし・・・。全てが司書官さんから見える作りですね。
司書官さんとはすぐに仲良くなりました。本をこよなく愛する女性。お名前はライリーさん、多分30代くらいの年齢ですかね?
「え・・・図書館をご利用ですか?」
初対面の時は、それはもう困惑されていました。五歳の幼女が一人で一日五万円の図書館に訪れたのです。正気を疑う方が正常です。
「私はオットさんの養子になった娘です。少しでも早く父の役に立つ為に通わせて頂いています」
私は片言で覚えたての例のクィール語を話します。クィール語はこの世界の共通言語で言語はこれしかありません。便利です。片言なのがかえって五歳児らしくて違和感がなかった様です。
タイムリープを使えば言語習得は可能な気もしましたが、私はタイムリープを極力使わない事を誓いました。これについては次回、ゆっくりとお話ししようと思います。
この為、タイムリープを使って図書館の情報を取り放題もしませんでした。
私はセーブこそ定期的に行っていますが、あの悪夢の夜以来、タイムリープをほとんど使っておりません。
司書さんのライリーさんに言い訳を済ませた私は無事、図書カードを作って貰えました。
カードの有効期限が無期限なのが救いですね。再発行に十万円かかるので絶対に紛失出来ません!
入場料が高いですが週に一回、通わせて貰っています。情報は宝です。私にとっては特にそうですね。しかし・・・図書館の幼女は目立ちます。司書官さんはよく、ニコニコとこちらを伺っています。背中に視線が刺さりますねぇ・・・。
でも、高い入場料を払って貰っているのです!時間は無駄には出来ません。
植物図鑑。魔物の生態。実用的なものが多いですね。他にも伝記や物語。実話かどうかの判断がつきませんね・・・ファンタジー世界ですし。でも、むしろ私の魔法に関してはこの物語の方がヒントがありました。しかし虚実の判断がつかないのでなんともです。
図書館の時間は私にとっては至福で、得られた情報は間違いなく有益でした。
しかしこの時点では・・・あまり魔法についての進展にはならなかったのでした・・・。
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