第41話 第一部 最終回 MARS WEDDING
火星、タルシス高地
ポンポコ御前の庵
庵のやや隅に柔らかい綿布団が敷かれている。中央には囲炉裏の火が揺らぎ、時折パチパチと音を立てている。風呂へ一緒に入ったあと、功夫はTシャツと黒のボクサーパンツ一枚になって綿布団に包まれ、リンジーの身支度を待っている。
「イサオちゃあん、お待たせえ」
短めの黒のコルセットに、赤のエナメル極小紐ショーツを身につけたリンジーが誘うような目つきで入ってくると、功夫の寝ている前に仁王立ちになった。
功夫はローアングルでリンジーの長い脚と股間を見上げる。後ろはTバックになっていてリンジーのふくよかな尻が功夫の眼前に顕わになっている。
「あ、あっはは。リンジーちゃん。ステキっすね」
「えーっ、他に表現ないのお?困っちゃったわねえ」
そう言いながらクネクネと腰を振って布団の上から覆い被さるとコルセットの紐を外し、それを脱いでブラの紐をも外し布団にくっつく。
「リンジーちゃん、焦らすなよ」
功夫は待ちきれないように言うと布団を捲ってリンジーとくっつこうとする。
「あら、もうこんなに元気になっちゃって」
リンジーは布団の横から手を回してボクサーパンツの上から功夫を弄る。
「あ、それ、握るなってば」
「じゃあ、やめよっか」
「い、いいえ、握ってください、ぎゅっと、で・・」
「うふん、こうするんでしょ」
「あ、そう、そう。もうちょっとゆっくりしてってば」
「そうね、火星へ来るのにもう3日以上。その間、お一人でもなさってないからね。今夜は寝かさないよ、うヒヒ」
功夫が安全を期して、円形のゴム製品が入った四角いフィルムを剥がそうとしていると、リンジーはそれを奪って隅に投げ捨てた。
「あーら、功夫ちゃあん、こんなのは火星で200年前に滅びた道具よ。今はこれで十分」
と言いながらカプセル剤を一錠飲み込んで、柄杓で水を汲み、飲み込んだ。
「これで今夜はどれだけでもOKよお」
「ねえ、リンジーちゃん、オレ、サイコーに幸せだよ」
「ほんっと、いい式だったわ」
リンジーは布団に潜り込み、功夫と熱いキスを交わす。
遠くで燃える囲炉裏の火で功夫は余計に燃え上がり、眉間に皺を寄せている・・・・。
今は新婚初夜である。
その日、竣工なった新・処女寺でのポンポコ御前司会による火星結婚式が挙行された。。
父親の太郎が予想していた通り、タヌキが司会進行である。寺の本堂には50匹のタヌキと、ゲストで呼ばれたコンコン丸に先導されたおキツネ稲荷族の50匹が信楽焼のポンポコ御前像と貝殻ビキニのリンジー像の前に整列した。
寺は東ベンの建築技術を駆使したガラスと鉄筋の未来的建造物となり、正面の大きな自動ドアが観音開きになると、二人が腕を組んで入って来た。
功夫は白のタキシードにボウタイ、リンジーはミニのドレスに小さなティアラを頭に載せている。
父、太郎と母、絹代は後ろに控えて、目を細めながら大きな拍手を送っている。
「リンジーちゃん、可愛いわねえ」
絹代が太郎に囁く。
二人は中央に立つポンポコ御前の前まで来ると、一礼した。
「
「はい、もちろん」
「リンジーくん、いやご本尊様、功夫くんを一生涯、愛し尽くしてくれますかのう」
「はい、もちろんですとも」
リンジーは功夫を見上げて微笑む。
「では、これはリンジーの父親にも告げねばならんのう」
そう言うと、御前は掌中からひとつのペンダントを取り出してリンジーの首にかけた。
「こ、これは」
リンジーがそう言いかけると、御前はすかさず言った。
「そうじゃ、貴女がずっとこの地で探しておった父の形見じゃ。火星の小さな模型がキラキラ光って美しいのお。遺骨は見つからなかったので残念じゃが、この形見にもう一度、誓うのじゃ。人間とは掟が違うが狸掟では、新婚夫婦は初夜から子作りに励むのが慣わしじゃ、よいか?おふたり」
「ハあああイっ」
リンジーの返事の方が余りに大きかったのでタヌキ達の爆笑を買った。
その後、恒例の狸族によるポンポコ踊りの披露、狐と狸による化かし合い合戦では、リンジーやサンデル博士に化けるお題で芸を競い、サンデル博士により、縁起の良い引き分けの判定となった。
信楽からの地酒とおキツネ稲荷族の縁起物、特製稲荷寿司、タヌキ特製の焼き栗と焼き餅。
贅沢はなかったが動物たちによる心の籠った接待に両親も目頭を熱くしている。
ポンポコ御前に徳利から酒を注いでもらい、両親はこの超未来的な寺の庫裡で宿泊することになった。オリンポス山が一望できるジャグジーバス付きということで太郎は舞い上がっている。
「この後二人はこのワシが普段住まう庵で初夜を迎えて貰うことにしておるのじゃ。火星の文明ではもう古代に消えてしまった囲炉裏の火と小さな電灯だけの特別な宿じゃ。きっと喜ぶぞ。二人きりでしっぽりとな、ウハハ」
庵の中、燃え続ける囲炉裏の火と共に二人はその夜、燃え続けたのであった。
三戦目の後、リンジーは汗をテカらせて、ポンポコ御前がいつも着用している綿入れを素肌に羽織って布団から出て来た。乾きを癒すため、隅に置いてあった水桶から柄杓で水を汲むと一気にゴクゴク飲んで、功夫にも柄杓で勧めた。
功夫が布団から出ようとする。
さっき服用したカプセル薬のパッケージが落ちているのを見てリンジーは少し慌て、拾い上げるとほくそ笑んだ。
「え、リンジーちゃん、何が可笑しいの?」
功夫が尋ねる。
「功夫ちゃあん、ゴメン、あたしの飲んだ薬、ビタミン剤だった。
アハハハハハ。さっきもとっても、深く、深くいったわね、功夫ちゃああん」
「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエっ!!!!!!!!!!!!!!」
第一部 終
(著者、大爆笑)
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読者の皆様、第一部ずっとご愛読くださり誠に感謝申し上げます。第二部はもう少しプロットをまとめてから更にぶっ飛んだSF冒険活劇に致します。
火星で過酷な気候を持つクレーター、ヘラス盆地に流刑となった李安徳と娘で元皇帝の正室、斎麗妃は、謎の商人、百々末凡と陸軍の悪将軍によって再起を図ります。
そして盆地の中心にある「お狂い犬村」には50匹の狂犬と50匹の犬型ロボットを従えて戦う
一方新しいビジネスを展開しようとする坂本金太郎と仲岡新之助は医療ビジネスを功夫に提案、
しかし西ベンの利益になる医療機器販売に李安徳が妨害を。一方、土星の衛星タイタンで即位したポッポコプリン一世は、百々末との「小芋さん」契約を結ぼうと接近し、李安徳の罠にハマって行きます。
ということで、暫くおやすみしますが
セカンドシーズン「MARS CURRYⅡー
お楽しみにいいいいいいいいい。
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