第29話 異星間恋愛

2週間後。

リンジーのUFO。ベッドルーム

日曜朝、8時


「ねえ、功夫いさおさんって、・・・激しいのね、ビックリしちゃった」

「え、あ、そうかな、アハハ、でもリンジーちゃんの方がもっと・・・」

「ねえ、いさあおおお、もう一回、もう一回だけお願い」


「ええっ、だ、だってさ。もう朝だぜ」


「ほら、朝でもさ、こんなに元気になっちゃって」


「そ、そこ、握るなよ、・・・・ち、ちょ、ちょっと待ってよ」

 

 功夫はリンジーに腕枕している。二人はシーツの中で微睡みながらも抱擁し、リンジーが上になって激しくキスを交わす。


「このベッド、すげえよな、だって円形だぜ。ラブホみてえだし」

「あら、じゃあ功夫さんラブホ行ったことあるんだ」

「あ、まあオレも今年32だぜ、そのくらいあっていいっしょ」


「じゃあ、ご両親もそろそろ結婚、とか言ってんじゃないの?火星でもそんなのってよくある話だしね」

「そうなんだ、ああ、まあね」


 功夫は黙ってしまった。この関係をまだ両親には話していない。気立てのいいリンジーとなら、いつでも一緒になっていい。しかし火星人と結婚するって、どう言うだろうか? 式場が地球ならまだしも火星で式とかどんなだよ、想像もつかない。


神父がタヌキだったら父親が腰を抜かすだろう。


でももうこの際、突っ走るか。どうにかなるさ。


「あ、このベッド回転とかもするのよ、日本のラブホって検索したら分かっちゃった。ほら」

リンジーが定期入れ大のキットで操作するとベッドが回転し始める。


「でさ、上下振動とかさ」


次はベッドが揺れる。


「アハハ、夜にこれ使えばよかったじゃん、もっと萌えたのにさ」

「あ、アハハ、そ、そうだな」

「功夫さんて純情なんだか、スケベなんだか。ま、地球人のオトコってそういうものなのね」


「アハハ、ま、まあね」


「ね、アタシが送ってあげた写真集見た?」

「あ、あれね、『処女寺のウソ、リンジーのヒミツ』ってやつね。

いやマジ、お世話になれましたよ。あ、アハハハ」

「あ、それ地球の表現ね。知ってるよ、オカズ、とかさ。ね、ね、アタシとサニー、どっちがカワイイ?」


「そ、そりゃあリンジーちゃんに決まってんじゃん」


「もう、それマジお世辞っていうのよ、きくアタシがバカだけどさ。でもさ、功夫さん、優しくってとってもスキよ、これはお世辞じゃない、絶対」


「オレも、リンジーちゃん、キミのことが・・・だからさ、だからさ・・・」


 功夫が意を決してプロポーズしようとした時だった。急にベッドの上にホログラムの画面が大きく映し出されてタヌキ軍団が現れた。


 功夫が叫ぼうとするのをリンジーが口を押さえる。


「ゴホ、ゴホっ」

「向こうにはこっちが見えない設定なのよ」


リンジーが耳元で囁く。


「どうしたんですかあ、咳とかして」

「なんでもない、ポンタ。そっちはどうなの?」


「あ、もう皆、信楽焼しがらきやきの親善大使になっちゃいましたよ。名工の方がポンポコ御前の等身大像を焼いてくれるって、もう一同大感激で。昨日の晩は陶工の方々とのパーティで地酒いっぱいご馳走になって、明日、長距離バスで帰りまーす」


「よかったわねえ、君たちが帰って来たら処女寺へ一旦帰らなくては。先週の連絡では、この飛行船で東ベンの楊将軍が皇帝に残りの熊鹿肉を届けた後、朝廷からの伝奏が直々にここへ着陸して、太郎さんの会社に渡すことになってるの。


 これで東と西も上手くいくし、地球との条約にも適っているのよ。その後兄弟みんなを連れて、先端医療センターへ診察に行きましょう」


「ありがてえ、ご本尊様、もうオレたちなんと言って感謝したらいいか」

「でね、御前様と御家来衆はそのままオリンポス山にお帰りになるんで、その前に大きいパーティしようよ、売り上げあるし、費用は地球側と交渉して何とかいい方法考えるよ」


リンジーちゃんって、優しくってホントいい子なんだ・・・・。


功夫はしみじみ感じていた。


つづく



























 

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