第5話 FLYING GET
「商機がやって来たな」
首相官邸からの招待状を読んでバニーが大声で叫んだ。
「そうね、一番乗りに飛んできて正解だったわ」
サニーが応じた。
「平服でおいでください、ということはこのスタイルでいいっていうことだよな、オレ何にも着ていないけど」
バニーは着ぐるみのような自分の「ウサギ皮」を見下ろして言う。
「そうね、ジッパーだけ閉めてオチンチン見せなければそれでいいんじゃない? あ、そうだ。貴方の耳にカワイイリボン付けたげる。日本じゃ、貴方みたいのに「カワイイカルチャー」好きの女子がハマるのよ。大人気になるかもよ。アタシのこの制服は「オタク文化」系の人が喜ぶかもね」
明る朝、二人が首相官邸からの公用車に乗ろうとすると、UFOを着陸させた不動産売却地は踏み込む隙もない程、報道陣で埋め尽くされていた。暫くすると警察のパトカーがやって来て、規制線を張り始めた。
「はい、通してください」
大声で叫ぶ警官の声があちこちに聞こえる。八百屋の前では博士屋太郎が報道陣に捕まって、質問に苦慮している。それを横目に眺めながら、サニーとバニーは首相官邸に向かっていた。
その様子がテレビやネットで中継されると世間は湧き立った。たちまち二人は「火星から来たアイドル」になり、次の日にはバニーそっくりの縫いぐるみが渋谷の雑貨店に登場した。
「火星ウサギちゃん、幸運のバニー」として縁起物で販売されて即日完売したのだ。
サニーの方もたちまちフィギュアになり、秋葉原ではサニーが着用している制服そのままの「萌えカフェ」が「火星キュンキュンコーヒー」を販売し大盛況となった。
大泉洋純首相は2人と並んで首相官邸の階段に立ち、報道陣のフラッシュを浴びながら言った。
「地球と火星の友好関係が諸外国に先駆けて我が国で作られるのは限りなく名誉と誇りです。これより日火和親条約の締結に向けて協議に入ります」
つづく
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第5話までお読みいただきありがとうございます。よければご感想やいいね、高評価、お願いします。著者はこれ、とっても楽しんで書いております。
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