第4話 火星の真実
「何、火星には生物が生息しているって。じゃあNASAが言ってることや写した画像など皆嘘ということか?」
非常事態で首相官邸に招集された内閣危機管理センター会議で
「半分はウソですね、でも後半分は真実です」
学識経験者として会議に呼ばれた、たまん出版会長、
「アメリカは60年代に始まって、NASAのローバー「パーサヴィアランス」を火星に着陸させて探査を行なって来ています。彼らは知ってしまった。ローバーが撮影した着陸地は確かに砂漠なのですよ。しかし例えば地球でも無人の砂漠は広い。そういうところに着陸する確率は高いのです。
火星は地球と同じように自転軸をほぼ同角度で傾けて自転している。そのため四季が確実に存在しています。そして表面を覆っている大気には二酸化炭素が多く含まれている。総理、CO2の削減って何のためだったですか、そう温暖化対策ですよね。
即ち、火星は確かに地球より太陽から離れているので南北両極地は零下100度以上になるだろう、でも赤道付近は摂氏15度から20度と地球の熱帯圏より快適なはずだ。でね、ローバーが火星の空中にいる時に撮った動画を見てNASAは驚き、しかもそれを国益を独り占めにするため隠匿しようとしたんですよ。
火星の赤道付近には想像を絶する高度文明が栄えているってね。でもね、私たちたまん出版はずっとそれを追い続けていた。そしてCIAを通じてNASAの内部情報を聞き出したのです。
今回使者を送って来たのはね、火星の赤道付近、アマゾニス平原には日本の地形とよく似たベンジャミン共和国がある、その西側は西ベンと呼ばれていて、英語圏なのです。そう、地球の英語と瓜二つの言語を使う民族がくらしている。その西ベンに営業している食料品販売業者なのです」
「こいつらか」
首相はPC上のYouTubeに映し出された着ぐるみウサギとJKコスプレコンビを指差した。
「そうです。彼らの名はサニーとバニー。火星最初の派遣であるとか言ってます」
「危険はないのかね」
「はい、今のところは彼らが我々に攻撃を仕掛けるということはないようです」
今度は警察庁長官の
「念のため、今回着陸した東京都北区にある八百屋太郎店前は規制線を張り、周囲の野次馬を全部待避させました」
「それで、現在のところ、この2名しか地球上に火星人は来ていないのだな」
「はい、そのようです。サニーがそう証言し、ベンジャミン共和国大統領セオドア・ペリーの親書を店主の博士屋太郎に渡しましたので、コピーを取りこちらに持参して来ました」
椋鳥は首相に小さな紙片を手渡した。大泉首相は眉間に皺を寄せて出席者を身渡した。
「またペリー来航か。1853年、嘉永6年、アメリカ東インド艦隊司令長官ペリーが来て以来の国難になるやも知れない。あの時、老中首席阿部正弘はアメリカを優遇しすぎた条件で日米和親条約を締結し、その後不利な通商に見舞われることになったのは諸君も日本史で学んだとおりである。
今回はもっと厳しく制限し、当分の間は2名の火星人を代表として取り扱い、その他は受け入れないことを二人を通してペリー大統領に伝えるということにしたい、それでいいですか」
出席者は全て「異議なし」と同意した。
つづく
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