第8話:意外ね、カップラーメン。

大学から帰ってきた悠生君。


悠生君が大学に入ってる間どうやらワインはおとなしくしていたようだ。

目を覚ましたワインは早速悠生君にセックスを迫った。


「なんだよ、また裸になってるのかよ」

「頼むからさ、服着ろよ・・・ねえ・・・着てくれる?服、頼むから」


「何もないほうが解放的でいいんだもん」


「俺のためだと思って服は着て・・・ね」


「ねえそれより・・・セックスしません?」


「そればっかだな?・・・なんかさ、他のこと言えないか?」


「セックス・・・」


「・・・わざと言ってるだろ・・・」


ワインはイタヅラそうにクスクス笑った。


「ったく・・・ほら・・・食べ物買ってきたけど・・・食べるか?」


「セックスもしたいですけど、お腹もペコペコです」


「精霊も何か食べないとお腹空くんだな・・・食べなくても大丈夫なのかと・・・」


「食べなくてもなんとかなりますけどね・・・セックスさえしてれば」

「悠生君がセック・・・・させてくれないから私、干からびちゃうかもですね」


「ごめんな、それは無理だから・・・」

「なに食べる?おにぎり?・・・・・・それともカップラーメンでも作って

やろうか?」


「カップラーメン?・・・それなんです?」


「食べてみたら分かるよ」

「ちょっと待って、お湯沸かすから・・・」


しばらくしたら台所からカップラーメンを二個持って悠生君が現れた。


「3分待って」


「待ってる間にセックス・・・」


「黙れ・・・」


悠生君は自分のクチに人差し指を当てて、しゃべるなってジェスチャーを

してみせた。


「3分でイケるわけないだろ、俺はそこまで早漏じゃないよ」


「私の知ってる牧神は3分どころか、する前にイっちゃった人、何人もいますよ」


「それはきっとワインが魅力的だからだよ」


「え?本当ですか?」


「でも俺は、そこまでは速くない・・・とは思うけど・・・」


「したことないから、分かんないんでしょ」


「試しに、してみます?」


「その手には乗らないよ」


「ふん、つまんない」

「冗談でも、ノッてほしかったんですけど・・・」

「あ〜あ、私はたぶんセッ・・・しかできないよう神様が作ったんですね」

「神様は自分たちの欲求を満たすためだけに私たちを作ったんでしょうからね」


「気の毒だよな・・・」


心無い返事だった。

そんなこと言ってるうちに、とっくに3分過ぎていた。


はじめてカップラーメンなる食物を口にしたワインは目を丸くした。

美味しかったのだ。

今まで食べた、どんなモノよりも・・・。


「こんな美味しいもの、はじめて食べました・・・すごいです〜」


「よかったな、口にあって・・・」

「欲しかったら、俺の分も食べていいよ」


(昔はさぞかし、ろくなもの食ってなかったんだろうな・・・)


と悠生君は思った。


ワインは悠生君のカップラーメンの汁まで平らげた。


でも、驚くことにカップラーメンはことの外ワインには合ったようで

カップラーメンを食べたあとは、あれだけセックス、セックスって口グセ

みたいに言っていたのに、セックスって言葉を言わなくなった。


つづく。


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