第7話:退屈を持て余すワイン。

「ねえ、学校なんて行ったってつまんないでしょ」

「今日はお休みして私とニャンニャンしましょうよ」


ワインは甘くてエロい声を出して悠生君に近寄って来た。


「だから、迫ってくるなって・・・」


ワインは嫌がってる悠生君の顔に強烈な媚薬フェロモンを吹きかけました。

そんなのを吹きかけられたら普通の男なら、もう下半身はとっくに爆発してる

わけで・・・悠生君は女がダメだから、なんとか抑えていた。

エロい気分になってもできないんだから・・・蛇の生殺しですね。


「やめろよ〜・・・だから〜もう勘弁してくれ」


「とことん女性アレルギーなんですね」


そうなるとワインはニンフとしてのプライドが許さない。

眉を細めて、悠生君を睨んだ。

世の中は皮肉なもんだ・・・。

エロい娘に女性アレルギーの男。

ふたりは相容れない最悪の組み合わせだったわけで、でも世の中は得てして

そう言うもんでしょ。


悠生君はワインに外に出ないよう、再度クギをさして大学にでかけて行った。


ようやくワインから解放された訳だが、これからのことを考えるとウンザリ

する悠生君だった。


ひとり部屋に残されたワインはとうぜん暇を持て余す。


「退屈くつくつ・・・」

「体が火照ってきちゃった・・・ああセックスしたい」

「潤いがほしい」」


「ひとりでやっちゃおうかな・・・」

「悠生君が帰ってくるまでたっぷり時間あるしね」


って思ってみたがそれじゃ意味がないんだ。

ワインはとにかく男と定期的にセックスしないとだめな体なのだ。

正確にはセックスした相手のエキスを吸い取って生きてるわけで

下手すると相手の命を奪ってしまう可能性だってあるのだ。


だから、ひとりでやっても、その時、気持ちがよくなるだけで、あまり

効果的ではなかった。



結局なにもしにあままアインは眠ってしまった。


さてパンが指輪に閉じ込められる前の世界では、たくさんの精霊や妖精が

住んでいた。

精霊は基本的には女神アルタリスに従って山野に遊び暮らしていて、

主にゼヌスやアへロン、ヘルトスなどの有力な神々の寵愛を受ける一方、

スケベな 牧神たちとも戯れ、人間の美青年ともセックスに明け暮れていた。


またワインの属性以外にも川の精(ナイアデス)、木一般の精(ドリアデス)、

トネリコの精(メリアイ)、山の精(オレイアデス)、森の精(アルセイデス)、

牧場の精(レイモニアデス)などがいた。

このほかアケロオス川の精(アケロイデス)、ニサ山の精(ニシアデス)と、

さまざまな精霊がいて、いずれも定期的にセックスをしないと自らの身を滅ぼす

運命を背負っていたのだ。

ワインのいた世界は酒池肉林の世界だったんですね。

うらやましい限りです。


一方、授業を終えた悠生君はアパートに帰るのが憂鬱でしかたなかった。

帰ったら淫乱女が待ち構えてると思うと・・・


(ワインはいつまで俺のところにいるつもりだろう?・・・

行くところもないだろうし、俺はあのニンフに一生付きまとわれるのかな・・・)


(ワインは俺が女性アレルギーを克服するまで諦めないって言ってたし・・・

この女性アレルギーを克服しないかぎりワインからは解放されないという

ことか・・・)


(いやいや、俺がワインを受け入れたらワインはさらに味をしめて俺から

離れなくなる可能性の方が高いな・・・)

(どっちみち今のままじゃセックスなんてできないし・・・)


ワインとセックスができるようになった時が俺が女性アレルギーを克服できた時

なんだろうなって悠生君は思った。


それにしても女性とセックスができないなんて、なんて情けないんだ。

実にもったいないじゃないか。


さて、大学を出た悠生君は、とりあえずそのままバイトに向かった。


「そうだワインは朝から、なにも食ってないんだよな・・・」

「精霊だからって腹くらい減るだろ」

「帰りにコンビニでおにぎりとカップラーメンでも買って帰るか・・・」


ワインに迷惑をこうむってる悠生君だったが一応は彼女のことを心配はしていた。

バイトを終えた悠生君はコンビニに寄っておにぎりやらカップラーメンに

スイーツなんか買ってアパートに帰った。


ワインはいいつけを守って、寝息をたてて眠っていた。


「おとなしくしてたんだな・・・よかった」


「あ・・・お帰り・・・悠生」

「悠生・・・帰って早々ですけどセックスしましょうよ」


「もうそれ、口癖になってるだろ・・・」


つづく。


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