第4話:逆療法

「なんで?・・・女性がダメって?・・・どうしてですか?」


「俺さ、女性アレルギーなの・・・触れただけで発作がおきるんだよ」

「セックスなんかしたらアナフィラキシーショックで死んじゃうよ」


「面倒くさいんですね・・・って言いますか、可哀想〜」


「自分でもどうにかしたいって思ってるよ・・・でもどうにもならないんだ」

「でもさ、ひとつ疑問なんだけど・・・」


「まだ、なにかあるんですか?」


「ワインちゃんは男なしじゃ干からびちゃうって言ってたけど、指輪の中に

長くいて大丈夫 だったの?」

「その干からびてないみたいだしさ・・・」


「ちゃんはいらなくてぇ・・・ワインでいいです」


「あ〜じゃ〜ワ、ワイン」


「大丈夫ですよ、指輪の中は時間が止まってるんです」

「それに私、指輪の中では水と同化してますし・・・普通の水は腐りますけど

指輪の中では水は永久に腐りませんからね」


「あ、なるほど、それもご都合主義ってやつね」


「ですね」


さて、悠生君の部屋に突然現れたニンフのワイン。


(どうしたもんかな・・・追い出すわけにもいかないしな・・・)

(たぶん行くところもないだろうし・・・追い出したらそれこそ

干からびて野垂れ死だよな)


ワインは行くところもないんだから、とうぜん悠生君が彼女の面倒を

見るって必然的にそういう形になるんだな。


ってことで、こうして女性アレルギー男と男がいないと生きていけない

ニンフとの生活がはじまった訳なんだけど・・・。


「あのさ、シャツのボタンしてくれないと、君が動くたび、ちらちら

見えてるんだけど・・・その・・・おっぱいが・・・」


「ん?、ボタン?」


「そ、ボタン・・・そこ、ついてるだろ、丸いの・・・」


「これ、どうするんですか?」


「片方に開いた穴に入れるの」


「えっ、穴に入れるんですか?」


「あのね、そんな言い方したらエロく聞こえてちゃうだろ?」

「だから〜・・・あ〜もう・・・こうするんだよ」


悠生君はパンの肌に触れないようシャツのボタンをしてやろうとした。

ワインはいじわるして悠生君の指が自分の肌に触れるよう体をプイッと

前に突き出した。

ワインの肌に指が触れた悠生君は、飛び上がって驚いてシャツから手を離した。


「あ〜びっくりした」

「何してんだよ、じっとしてろよ」


「でへへ・・・」


「でへへじゃないわ・・・まったく」


「ごめんなさい、本当にダメなんですね・・・ウソじゃないんだ」


「まじでさ、ダメなんだって・・・少しでも女性に触れたらジンマシン

でるから・・・」

「こんなこと嘘ついて俺になんの得があるんだよ」


「がんばってやってみます・・・ボタン?」


「ボタンとやらが穴に入ったら、私にも入れてみません?」


「どさくさに紛れて、よくそんなことが思いつくよな」


「冗談ですよ・・・半分だけね・・・」


そう言うとワインは以外と器用にボタンをとめていった。


「あのさ、君ってもう指輪には戻れないの?」


「一度出たら戻れないです」

「赤ちゃんだって一度お母さんのお腹から出たら戻れないでしょ?」


「そりゃま〜そうだけど・・・たとえがおかしいけど反論できないような

ことを言うんだな」


「たとえ戻れたとしても戻るつもりはありませんからね」

「だから戻そうと企んでも無理ですから・・・」


「企んでなんかないけど・・・」


「けど、なんです?」

「戻れるのか?って聞いたってことは戻れるものなら戻ってほしいって

考えてるんでしょ?」

「ほら、そのスケベそうな顔に戻ってほしいって書いてありますよ」


「誰がスケベそうな顔なんだよ!!」

「さっきも言ったけど俺、女性苦手だから・・・トラウマになってるんだから

さっきみたいな体が触れるようなことやめてくれる?」


「トラウマですか?」


「そうだよ・・・」

「だからね、でて行けとは言わないけど、ある程度距離保ってくれると

ありがたいんだよ?」


「じゃ〜なおさら、くっつかなきゃ」


「なんでだよ」


「逆療法って言うでしょ」


「女性アレルギーには女性のフェロモン・・・エロいフェロモンに限ります」

「そんなトラウマ私が払拭して差し上げます」


「ええ?、いいよ」


「なに言ってるんですか・・・そんなことじゃ、いつまで経っても私とセックス

できないじゃないですか?」

「私、できないと困るんです」

「それにアレルギー克服しないと悠生が将来、彼女ができても即、フラれますよ」

「万が一結婚できたとしてもレス男なんか即、離婚ですよ」


「そんな役立たず、どこの誰が相手してくれるんですか、そんな役立たず」


「二回も言わなくてもいいだろ・・・役立たずって」


つづく。








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