第2話 チップペーパー
目を覚ました。
慌てて首元を触るが、切れているわけでもなく血も出ていない
あの時誰かに首を切られたような夢を見た気がした、いや、夢だったのか?あんなにリアルなものが夢?
確かあの時誰かがいたような、名前が思い出せない、姿はぼんやり思い出せるのにその他のことが思い出せない、周りを見渡してみると銀行、カラオケ、ショッピングモール、どこかで見たような光景が目に映る。
よく見ると前方は少し霧が薄いが、後方を見ると霧が厚く3~5M先すら見えない霧ではなく煙の壁のようなものだった。
煙の壁を触ってみれば入れはするがこの先に行ってはいけないような気がする、本能が全身の危険察知能力が警告を鳴らしているようだった。
煙の壁から手を引きぬくと、後ろから肩を叩かれる。
{ビクッ}ふと恐怖が走る、今さっき起きたこと、首を切られ視界が暗転したあの瞬間を
???「すいません、ここどこかわかりませんか?」
後ろを振り返るとあの長身の男性ではなく自分より少し背の高い男性だった、今さっきの恐怖が消え身震いも冷や汗も消えていた。
(え、えっとあなた誰ですか?)
「あ、自己紹介がまだでしたね、僕の名前は伊馬奈 金治(いまな きんじ)って言うんですけど記憶が混濁してて、ここに来た時の記憶もあいまいで、出来る事なら教えてくださると助かるんですが」
(ここは倦厭町っていうんです、日本の中で一番犯罪率が多くて物騒な所ではあるんですけど、いつもはこんなに霧が出るような感じじゃなくて私も不思議に思ってるんです)
「倦厭町、この霧って有害なものなんですかね」
(わからないんですけどあまり吸わないほうがいいかもしれません、この霧を吸うと最初は気分がいいんですけど、途中からきつくなるんですよね)
「この霧、いや煙は、たぶんですけど、これたばこの煙かもです。」
(え?たばこ?)
「はい、自分喫煙者なのでわかるんですけどこの感じは100%じゃなくても煙草に近い成分を含んでると思います」
そっかこの感じ、昔、嗅いだことのある懐かしい匂いだと思ったらたばこだったんだ、お父さんや居酒屋で嗅いだことのある匂い。
(て、事はこれ全部たばこの煙ってことですか。)
「そうですね、少し吸うくらいなら命に別状はないかもですけど、未成年が多量に吸ったら体を壊しかねないかもしれません。
どこか建物内に避難した方がいいですね、どうします?近くには病院とかもありますけど」
(病院に行きましょう、少しは情報が欲しいですし)
そして私たちは病院に向かう事にした
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