タバコとココアシガレット
@kuonngatari
第1話 巻紙(まきし)
たばこの香り 煙たくて 苦しくて 少し懐かしい そんな香り。
ここは
今日は空に雲がかかって太陽も青空すらも見えないそんな悪天候の中、市ヶ谷 朱莉(いちがや あかり)は目を覚ました。
市ヶ谷朱莉たちはそんな倦厭町で暮らしている、年月としては3年ほどにはなるが3年の中で近所の人たちとは良好な関係を築いていた。
そんな中、市ヶ谷朱莉は夢を見た、自分が獣に首をかみちぎられ出血し死んでいくそんな夢を。
ココアシガレット 甘ったるくて 胸焼けするような でも懐かしい そんな味。
ふと目を開けると街中だった、高層ビルが並び、いたるところに車が道路横に止められている、あたりを見渡せば、コンビニ、銀行、カラオケ、ショッピングモールがある、ただの街中。
1つ違和感を持つところといえば{真っ白である}ということ、建物が白いのではない、10M先を見えないほどに、霧が漂っているのだ、ただ霧にしては濃く、キツイにおいをしているがそれが何の匂いなのか思い出せない。
深く吸い込めば意識がボヤつくようなそんな香り。
?「おいあんた、口元覆っといた方がいいぞ」
私に言っているのだろうか強い口調で長身の男性がそう言ってきた。
(それ自分に言ってますか?)
「あんた以外にだれがいる?この近くにいるのはお前だけだろう、別に吸って死んでもかまわないんだが俺の夢見が悪くなる」
(理不尽すぎる、分かりました口元覆っておけばいいんですよね。)
横暴だし急に話しかけてきて驚いたけどひとまず言う事には従っておこう。
「ここに来るのは始めてか?ここは、(いえ、知ってますここには数年間暮らしてるので、でもこんなに霧がひどくなることなんてなかったんですけど)
この街の名前は倦厭町、犯罪が多発するそんな場所、何年も暮らしてるから知っているはずだけど、こんなに霧は多くないはずだ。
そして一番気がかりなのは自分の記憶がないこと、最近までの記憶はあるが直近の記憶が無い、どうやってここまで来たのかすら覚えていない。
(あなたは?自分の知り合いにあなたみたいな人いないんだけど)
「俺は猪飼、猪飼
(事象?この霧のこと?)
「そうだな、霧のこと、お前以外の人間のこと、そしてお前のこと」
(私?私がなに?)
「何でもない、後からわかる、まぁ次会う時までに俺を覚えてられるかわからんが」
(え?)
私はその時油断してたのかもしれない、口を押え体調がよくなり、知らない私に助言までしてくれたこの状況に、気を抜いてたかもしれない。
私の視界は急に回った回転して{ごとッ}と鈍い何かが落ちた音。
そしてその時見えた光景の中に頭部が無くなり立ったまま血を噴水のように流している、自分の身体だった。
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