023 次元魔法
TIPS:イベント開始用起点キャラクター
例えるならば、遊園地に入るための入場チケット。
各種イベントを開始するための起点。またはイベントが発生したことを知らせる警笛。イベント地帯に侵入するための許可証。
成長のためのアイテムが入手困難な中、なぜこんな枷があるかと言えばそれは各転生者ごとに進行度が違うためである。
ソーシャルゲームである『カオスオーダー』の中には開始直後のプレイヤーでは遭遇しただけで即死するような難敵も用意されていた。
各地に点在する転生者が思い思いにイベントを発生させまくった場合、生まれるのは混沌以上の大混乱である。
誰でも挑戦できてしまえば、生き残れる者が非常に限られてしまうのである。
とはいえ、イベントに参加できねば強化は滞る。
そのうえ起点となりうるキャラクターは限られているため、各自他プレイヤーと交渉するなりしてイベントに参加させてもらうべし、というのが彼らを転生させた者たちの方針のようだ。
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ステータス
名前:セイメイ・ゴトウ
年齢:9
レベル:41
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◆ステータス(ポイント残:0 使用済み:290 初期:10 獲得:280)
力:10 体:10 器:10 速:15 命:1(+1) 神:5(+5) =60
知:30(+10) 魔:20(+50) 精:20 感:20 運:10 魅:60 =230
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◆魔法刻印【テイム】 深度【Ⅲ】
▽第一セットスキル:『
参照ステータス:【魔力】【魅力】 消費コスト:【魔力】
・『隷属魔法』――対象を魔力で隷属させる。
テイム1:太陽の聖女アレクサンドラ『好感度【誓約】』『状態:親愛Ⅴ』
テイム2:血影の幼姫クリスタル・ブラッドプール『好感度【100】』『状態:親愛Ⅳ』
テイム3:次元精霊シリウス『好感度【100】』『状態:親愛Ⅳ』
テイム4:【なし】
テイム5:【なし】
▽第二セットスキル:『
・『知力強化【Ⅲ】』――知力ステータスを中上昇させる。
・『知識リンク』――『図書館』の知識を自身の他スキルとリンクする。
参照ステータス:【知力】 消費コスト:【なし】
▽第三セットスキル:『次元魔法』
・『魔力強化【Ⅲ】』――魔力ステータスを中上昇させる。
・『次元感知』――次元の流れや歪みを感知可能。
・『次元操作』――次元を操作可能。
参照ステータス:【知力】【魔力】【感覚】 消費コスト:【魔力】
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◆スキル構造:
▽『
――スキル特性1『好感度設定』
・隷属対象に好感度数値を付与する。【好感度上限100】
・一日に一度、対象の好感度を上昇させる。
――スキル特性2『感覚共有』
・隷属対象の五感を共有する。
・隷属対象が別種族の場合、人間向けに五感を調整する。
・好感度が低すぎる場合は(マイナス値など)対象から共有を拒否されることがある。
――スキル特性3『生命強化』
・隷属対象の最大HPを+100%する。
・隷属対象の命ステータスに+1する。
▽『
――スキル特性1『魔物知識』
・
――スキル特性2『魔法刻印知識』
・魔法刻印に関する詳しい知識を得る。
▽『次元魔法』
――スキル特性1『
・空間の座標を認識・固定・登録を可能とする。
・『次元魔法』を魔法刻印の機能や他スキルとリンクする。
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◆称号(最大セット数5)
『精霊の親愛』:精霊種から好かれるようになる。魔法耐性Ⅰを獲得。
『空き缶拾いマスター』:レアドロップ率3%上昇
『太陽の聖女の寵愛』:ステータス【神】に+5 ステータスポイントに(現在レベル-1)×2のボーナスを得る。
『血影の幼姫の寵愛』:ステータス【命】に+1 ステータス【魔】に(現在レベル-1)のボーナスを得る。
『サバイバー』:環境耐性Ⅰ ストレス耐性Ⅰ
――控え称号
『孤児』:効果なし
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◆備考
・この情報を閲覧するには権限が必要です。貴方は権限を保持していません。
『転生者Ⅰ』 Ⅰの特典は一つのみです。
・特典『前世記憶の継承』
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レベルを41に上げ、知ステータスを補正値を含んで40まで、精神ステータスを20まで上げた。あとは次元魔法用に感ステータスを20まで上昇。端数で速度を15にする。
次元魔法の取得ステータスが知40魔40精20。よし、これで達成だ。
なお俺とシリウスは次元魔法を取得しているが、この次元魔法、少しだけ分類が違っている。
たぶん、みかんとオレンジぐらいには違うかもしれない。
なぜ違うのかと言えば、人間用とモンスター用ではスキルの取得に必要なステータスが違うというか、シリウスの次元魔法は進化特典で取得しているスキルだからである。
「……これで、いいか」
レベルアップを終えた俺は息をふぅ、と吐いた。やはりレベルアップは取り返しがつかない作業なので神経を使う。
さて、次元鎌鼬の狩りを行い始めてから数日、ようやく魔石が規定の数まで揃い、レベルアップで得られたポイントを次元魔法の取得可能ステータスに割り振ることで、俺は次元魔法を取得できたのだ。
(疲れたな。まぁここからが更に面倒なんだが)
口には出さずに脳内に魔法刻印の
なおこの操作、地味に役にたたないと言われている知力ステータスが役に立つ。
魔法刻印知識を使って魔法刻印を
今の俺は人間コンピューターってぐらいには頭が回っていた。
なお頭が回るのに生存に必要なレベルを一気に上げて戦力を上げたがらないのはレベルアップ時の取り返しがつかない感がメンタル的にきついからである。
――さぁ楽しい楽しい、魔法刻印の
これは正規の手段ではない。違法な改造である。
スキル『図書館』の特性『魔法刻印知識』を所持し、知能ステータスを相応に上げると可能になる裏技みたいなものだ。
もちろん誰かに教わった技術ではない、自分で思いついたのだ。
切っ掛けは魔法刻印知識で得た、魔法刻印のスキル詳細の内部データが前世のプログラミングに似ていたこと。
加えて俺が持っている前世知識。かつて見た映画やアメリカドラマとかのスーパーハッカーたち。
ああいうのを思い出し、ステータスの補強で人外状態の自分ならスーパーハッカーみたいなことがやれるかもと考えたのだ。
なお自分で考えたことなので刻印改造をやってる奴が他にいるとかは知らない。
このあたりはスキルというより
さて俺は早速、魔法刻印知識内の魔法刻印の根幹に関わる知識を参照しながらステータスをいじっていく。
このときに使う開発ツールは以前からコツコツと作って魔法刻印内に用意していたものを使う。
このツールは魔法刻印知識とリンクしているので、俺が刻印の情報を改造したら、自動的に魔法刻印知識を参照して、改造した刻印が正常に稼働するかのチェックも行ってくれる優れものである。
(さすがにエラーチェックもなしに改造はできないからな)
なおステータスをいじれると言ってもステータスの内部値は変えられない。
これらの数値はリソースを消費して上げているからだ。もちろん数値を改ざんすることができるが、それは表面上にとどまり、本当の数値は変わらないし、変に弄ると戻せなくなるし、上げた数値に従って勝手にレベルアップ時のポイントが割り振られたりと誤作動を起こすようになると魔法刻印知識では警告がある。
リスクがでかすぎるのだ。
特に、改ざんをした際に勝手にポイント割り振りが行われる程度なら良いものの、最悪、寿命や最大HP、最大MP、才能なんかを対価にしてステータス値が上がってしまうようになるので、ここの部分の改造は本当に厳禁だった。
もちろん相応のリソースを用意すれば改ざんした情報通りにステータスを上げられるんだろうが……どのみち魔法刻印が使用者に与えられるステータスには限界があるのだ。強くなりたいだけなら変に改ざんなんかせずレベルを上げた方が安全である。
後々を考えれば、ここでリスクをとってステータスを改造したところであまり意味はないのだ。
(ま、ポイントの振り直しぐらいはできるかもだが……)
魔法刻印知識を持っていても、それを扱うのは俺である。失敗してなにか副作用があるかもと考えればやりたい手段ではない。
変なところ弄ってしまって魔法刻印が機能停止したら怖いしな。
このあたりの成功率は魔法刻印知識や知力ステータスの高さよりも、どれだけ魔法刻印をいじってきたかの慣れの分野だろう。
慣れるために自分の刻印をいじるのは怖いので魔物の刻印をいじって経験を積めば――と考え、そういうのは後でいいかと思い直す。
(まずは、ええと、あれをつくりたいんだよな、俺は)
次元魔法が必要だったのは、サーシャの召喚以外にもこの魔法刻印改造のためでもあった。
ダメージソースになる矢系魔法ではなく、単体ではほとんどなんの意味もない、熟練度も稼ぎにくい
とはいえ、この時空錨、ワープ特性を使いこなすのに必須の特性でもあるのだが……。
(ワープって普通に使ったら漂流したり、ワープ先間違えて岩の中にいる、みたいな感じらしいからな)
当たり前だが、ウェブ小説にたくさん出てくる、なんの補正もない脳みそのイメージ情報だけでワープなんかできるわけがない。
(そもそも脳みその情報ってだいぶ主観での補正が入ってるしな。イメージだけだと普通に似た候補が大量に出てくるだろ)
ただしステータスが高かったり、マップスキルなんかで代替できるなら問題ない――場合もある。
知ステータスは記憶力の向上を助けるから、ステータスが高ければそのあたりも補正してくれるのかもしれなかった。
反面、ステータスが低かったり、代替スキルを持ってない場合は事故が多発する――らしい。
ワープなんかが便利そうで物流革命できそうなのにこの世界ではあまり使われないのはそのため――と俺は魔法刻印の知識から情報を得ている。
そもそもレベル40超えの魔法使いを運送トラック代わりには使えない。
(時空魔法が取得できるぐらいレベルが高いとなぁ……だいたい、こういうのって自分で取ろうとか考えないんだよな)
俺みたいな変な方法で運良く刻印深度を上げられたならともかく、冒険者平均を超えるレベル40を突破できるということはそれなりに修羅場をくぐり抜けてきたということだ。
そういった努力の人が第三スキルにめちゃくちゃ便利とはいえ、ほとんど自身の成長に寄与しない時空魔法を選んでワープ特性を取る理由がない。
(取得できる刻印もそこそこレアな部類に入るしな)
というか次元魔法の正規取得に必要な、知力ステータス40というのが地味にきついと思う。
俺みたいに戦闘を完全に捨ててるテイム使いかつ、称号で余分にポイントが得られるならともかく、普通の刻印持ちだったら知40とか完全に地雷だ。
――知力ステータスはこの世界では不遇だ。
魔法スキルの威力補正に関わるといっても、知ステータスよりも魔ステータス上げた方が最大MPも上がって弾数が増えてお得だと考えられているし、何より魔法使いは速ステータスも重要だからだ。
速が低いと魔法の早撃ち勝負で負けて敵の魔法ユーザーに開幕壊滅的な打撃を与えられることも多いのである。
加えて、命数は最低でも1は欲しいし、可能ならば生存力のための体や命中率上昇の器なんかのステータスも欲しくなる。
もちろん知ステータスを上げなければ取得できないスキル特性はあることにはあるが、そういうものだってせいぜい20とか25ぐらいのものだ。取得段階で40も求められるスキルは稀だった。
ま、それはそれとしてだ。
「シリウス、抵抗するなよ」
クーが整備して木や石やゴミなどが撤去された広場のような場所で俺は、クーが作った椅子に座りながら今日のためにいつもの狩りに行かせず傍においている次元精霊のシリウスに俺は命令した。
使うのは次元魔法の時空錨だ。シリウスに使用し、次元精霊の現在座標を俺の刻印に登録する。
(で、えーと)
シリウスに指示を出し、移動して貰えば登録した座標が細かく変化していく。よしよし、時空錨はちゃんと機能しているな。
ちなみにクーでやらないのは俺が今から何をやるか知られると困るからである。
そのあとはシリウスを傍らに置きつつ、本格的なプログラミングを始める。完成予定のアプリには俺の持ついくつかのスキルを噛ませる予定なので結構複雑かもしれないが、魔法刻印知識があるのに加え、知ステータスが40もあれば半日もかからず終了するだろう。
(さぁ、がんばるぞ)
完成予定のアプリを楽しみに、俺は作業を続けるのだった。
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