第42話


 帝都の商業ギルドへ着くと……


「あら?ケビン様お久しぶりですね?」


 アレンサリーナさんが居た。

 何で?


「アレンサリーナさんはどうしてここに?」


「時流を読む為には実際に街へ出て情報を確認したりしなきゃいけないのですよ?

 人を伴ってケビン様がいらしたということは何か新しい風が起こりそうな予感がするのですが?」



 目が怖いぞ……


「あ、そうなんですよ。こちらのリッカさんとサイネ、ミクロ、カレンの3人が新しい物を作ったので保証契約の審査をしに来たんです!

 それで女性物関係なので帝都支部には審査員に女性居ます?」


 アレンサリーナさんの目が光ったのを感じた。


「居ないので私がやりましょう!」


 すると受付に向かいさっさと会議室をとってしまった。


 15分後、お買い上げとなったのは聞くまでも無いだろう。

 どうしてそんな他人事何だって?


 下着ということとリッカさんと3人が実際に着用していると話を聞いてアレンサリーナさんは着けてる姿をみたいと俺を外に出したからだ。


 まぁ、4人ともホクホク顔で出てきたから概ね大成功なのだろう。

 まぁ実際に場所と売れる物は用意したので後は3人がどうするかを聞いて調整するだけなので俺は余り立ち入らないつもりだった。


 これからの方針は

 ・商業ギルドから冒険者ギルドへフロッグ系の素材確保依頼

 ・リッカさんが作ったボタンはマイクに営業の練習で服飾関係や雑貨屋で販売して貰う様に交渉する。

 ・製造はどうするのか?サイネ、ミクロ、カレンで決めて行動すること。

 人に任せるか自分達で作るかを話し合って貰う。


 結果、最初は受注生産でするということだったので俺はこれから先必ず、パンクすると分かっていたので口を出す事にした。


「うーん。それでもし注文が沢山来て受付停止になったらどうするんだ?」


 3人がピタッと止まった。

 この世界の不思議な所が、何故か1つの店で1つの商品を作ろうとする所だ。

儲けを考えたら増やした方が良いと思うんだけどな?


 既に情報とやり方を見せているので答えは言わない。


 アレンサリーナさんも後ろでニコニコ笑顔で見守ってる。

 リッカさんは呆れた様に3人を見ていて口を開いた。


「なぁ3人は私が作ったボタン作れるか?」


 3人は首を横に振る。


「なら分解して頼めば良いじゃないか?」


 あ!という声が誰かから漏れた。


「リッカさんは優し過ぎますよ。

 3人に今、必要な事はそれだよ?リッカさんやアレンサリーナさんの反応を見れば売れる事は確定してる。

 なら次は分解して魔物の素材はどこかのお店に。

 布の加工は協力してくれる服飾店にと目星を着けて置くか最初から商業ギルドに頼むかだよ。

 技術はあるのに知名度が無い若い職人さんを振り分けてくれるよ?

 そしてこれは3人の為でもある。

 サイネなら分かるんじゃない?売れ過ぎた商人は?」


 サイネがシュンと肩を落とす。


「妬まれ、恨まれ厄介事が来たりする」


 俺は頷き3人を見る。


「3人も授業で多少の戦闘技術を学んでるとはいえ戦闘特化の俺みたいな人間からすれば瞬殺出来る」


 え?リッカさん何で顔を引き攣らせるの?

 俺は首からタグを取り出すとリッカさんは更に驚いた表情をした。


「俺、これでも一応Dランク冒険者ですよ?

 もしもの時にこの3人を守る位ならできますよ。

 まぁその内訓練の1つとして他の子に任せますけどね」


 そう言うと大層驚かれたが納得はして貰えた。

 そしてまずは3人のギルド登録をして早速発注がされた。

 その数を見て俺は顔が引き攣った。


「あ、アレンサリーナさん?この数はやばくないですか?」


「いえいえー後ろ盾にケビン様が居るのですよ?いい加減貯め込んだお金を使ってもらわないと困ります?」


 そうニコやかな笑みを浮かべる。

 えぇ……俺工房買ったりと結構金使ってると思うんだけどなぁ?


「それは良いんですけどね?素材が集まり次第って。

 一応、学生ですからね?結構時間がかかりますよ?」


「えぇ売り出す時にある程度の大きさと数が無いと売り出せないので何か策があったりしません?」


 アレンサリーナさんはそう言うと俺をみる。



「うーん。策というのは無いですけど帝都に女性のみのパーティーや女性が多いクランって有ります?」


「えぇ2つか3つ有りますよ、特に1つは女性がトップのクランが有ります」


 俺はニヤリと笑い


「ならそこのクランリーダーに下着を作って有用性を確かめて貰えば素材調達も楽になるんじゃ無いですかね?

 素材を調達を任せてこっちは加工して商品を贈ってみるのは?」


「それで行ってみましょうか? あ!でもこれ大きさの問題もありますね。

 そちらは私が少し調べてカレンさんに情報をお渡ししましょう。

 ここで転けたら私が困りますからね?」


 そうしてサイネ、ミクロ、カレンの3人は3人の頭文字を取って

『ミサカ商会』を立ち上げた。



 工房はいつか俺から買い取ると息巻いて居たがすぐに出来るだろうなぁと3人を見ていた。

 最初に俺の名前も入れると言っていたが拒否した。


 俺は3人が楽しめれば良いと思ったからだった。

 利益が出たら家賃を払って貰えば俺の利益にはなると伝えて今日は終わりにした。


 その足でハンナに下着を渡したが凄い喜ばれた。

 その1週間後俺の元に手紙が届きムゥ、メロ、サツキからサイズ指定付きの注文が来るとは思っても無かった。


 ぬっ!?ムゥ、メロのサイズが大きい!?

 と1人ドギマギしたのは秘密だ。


 この世界の人達は常に危険が身近にある為か子供の体の成長が早い。

 そして歳を取っても若々しい人が多い。


 どこかの戦闘民族みたいな特徴がある。

 これも細胞の適応という生物の神秘を垣間見た瞬間でもあった。

 実際に父上や母上は10代?と言われても納得出来る若々しさがある。

 動けなくなり始める60を超えた辺りから急激に老け込むらしい。

 それまでは実年齢から-10歳位の見た目と動きをしている。


 そんな不思議を考えてるうちに俺は眠りに着いた。

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