魔法研究の為の基盤作り
第1話
そろばんもどきを作ってから1ヶ月経った。
そんな俺は今、帝都で馬車に揺られていた。
馬車には父上アレクサンダーとサリア母上、
緑髪のネラ義母上と義兄カインと俺ことケビンの5人で乗っている。
今日は全世界の5歳児の不安感とワクワク感と親が期待感が
入り交じってお祭り騒ぎになっている日だ。
そう、【洗礼式】この世界の最初で最大の1つのイベント。
教会又は祈りを捧げて(村や少数民族では教会や神像がない為)神様の前で5歳を報告し、
貴方にはこんなことが向いてますよーと教えて貰う日になっている。
神様に才能を教えて貰い、才能を潤沢に深堀するも良し。
はたまた欲しい技能を勝ち取る為にその技能を訓練して
才能を横に広げるも良しという人生の指針が判明する日だ。
帝都に居る貴族や領地を運営する高位貴族は帝都にある大聖堂で【洗礼式】を受けなければならない。
まぁ、派閥争いやどの貴族に着くのかみたいな面倒な権力闘争もあるよねー。
それとカーステッド帝国、これがこの国の名前だ。
何でも、初代皇帝は英雄皇帝と呼ばれており戦場に立てば鬼神の如く強く
政治の側に立てば水の様な自由自在な政治をして1代で
今の帝国の領土をほぼ全てを作ったと言われている。
最早それ人間? と言いたいね。
そして15歳で成人を迎えると今度は【祝福】を受け取る。
15歳までの努力や才能に応じてスキルが貰えるらしい。
父さんは武官らしく戦闘系統のスキルを貰い
母さんや義母上は魔法と文官系統のスキルを持っているらしい。
基本的に家族でもスキル構成を聞くのはマナー違反と言われており
全てを知っているのは神と本人だけと言われている。
まぁ、系統だけは伝えなきゃならないらしいけどね。
カインは先程から忙しない。
あっちへこっちへと視線が外へ内へと動きっぱなしだ。
そんな様子を3人は微笑ましく見ている。
俺? 普通に魔法書と戦闘指南書を読んでるよ?
これが魔法を扱う才能を伸ばす結果となるなら5歳以前からバリバリ読みまっせ!
前世には無い魔法には魅力が最大限にあるんだよ!
ふふふ、今の状態では指先から1ミリ程の光の玉しか出せないけどな!
理由は子供の頃に魔力切れになると苦痛のあまりショック死するらしい。
それを見兼ねた神様が魔力を洗礼式を終えるまでは扱えない様にしてると言われている。
しかし、この世界には魔物が居る結構危ない世界だ。
体の中で魔力を循環させて身体強化の魔法というより魔力操作の派生技は扱える。
練度次第では子供でも身体能力が5倍程伸びた(実験体自分)。
多分、確実に逃げる方法だけは神も封じなかったのだろうと推測してる。
この世界の戦闘技能の基本は4つ
・身体操作
・体力
・魔力操作
・魔力変質
この4つは基礎であり尚且つ奥義であると家にあった本の
戦闘指南書には書かれていたし俺もそう思った。
身体操作は体を如何に把握して自分のギリギリ限界の力を行使することで壁を乗り越えられる。
体力は全ての戦闘に置いての基本事項だ。
逃げる為にも、戦闘をする為にもまずは体力と体作りが基本であり
身体強化の倍率は変われど身体操作が出来なければ自滅するし
体力や基礎値が低ければ強化してもあまり意味は無い。
魔力操作は操作出来ればできる程自由度が上がる。
子供の内でも放出は出来ないけど、循環や自分の体の周りで操作することは出来る。
そしてこれが最近俺が最もハマっている魔力変質だ。
これを扱える様になる事で魔法の属性変化が出来る筈。
今、出来る事は爪の先に尖った爪風の魔力を硬質化してどれ位の
硬度があって切れ味があるのか検証したのだが……石割れちゃったんだよねー。
あれにはビビったわ、研ぐ様に研ぐ様にと常に硬質化と魔力操作で
流れを作ってたら何かやばい技出来ちった。
さながら超振動武器か高圧水みたいな切れ味になってもうた。
だからこそ無限の可能性を感じたって訳だけどね。
あ、訓練内容と検証結果はもちろん秘密だ。
良い様にこき使われ成果を奪われ搾り取られるか
やりたくもない当主に祭り上げられるのが落ちだからな!
馬車に乗って30分程の所にある大聖堂ウェスタリア神の神像の前で止まった。
何せ城と貴族街は北側寄りにあるが大聖堂は城と大聖堂
2つの地点を結び結界を張ってる為、逆側の南側の商業区にあるのだ。
領地持ちの貴族が来たがらないのも頷ける、必ずトラブルが起きるからだ。
しかも常に低位貴族は高位貴族よりも
先に会場入りしなければいけない暗黙のルールがある。
俺からしたらなんそれ? 何だけどな。
まぁ、混雑を避ける為とプライドの問題を解決する為の案なのだろうけどな。
御者の横にいた家老のハビスがドアを開けて
「皆様、到着と順番が来ました」
と、知らせてくれたので
俺が先に飛び出しジャンプ、カインは貴族らしく優雅に降りた。
父上は俺を睨んでは居るが怒りはしないし、
俺は既にカインを当主に据えることを理解しているのだが体裁を気にしてるのだろうなぁ。
とそんな父上を無視して、目の前の大聖堂を見やると
それはそれは綺麗な煉瓦? 風の建物と石造りの混合建造物だった。
中心部分は白の石の柱が目立ち荘厳とした雰囲気で待合室や、
教会関係者の立ち入るスペースは煉瓦造りで
祈りの間やウェスタリア神の御座す、建物は特別ですよ!と主張しているのがよくわかった。
「ケビンが先でカインは後だ。意味は分かるな?」
俺は後ろから投げかけられた言葉に振り返り
「父上理解しておりますよ? 次男の私が先。
嫡男のカインが後ですよね?」
カイン? お前は理解しろよ!さっきからキョロキョロしてるけど俺は既に降りたんだからさ!
サリア母上は少しムスッとしてるが俺の人生は俺の
ネラ義母上は満面の笑みだ。
あれ? 2人って仲悪いのかな? 接点があまり無いから興味無いけど。
貴族の子供と親何て幼少期程、接点が無い。
世話は乳母やメイドだからね。ご飯の時に顔を合わせるかお叱りを受ける時位なもんだ。
5人で受付に行き代表して父上が受付に声をかける。
「クロス伯爵家、2名洗礼式への参加だ。順番はケビンが先、カインが後だ」
そして父上は受付に小袋を渡した。
これあれだね、寄進ってやつで寄付だね。
貴族の意地や見栄の張り合いが十数年前に起こって
それ以来、爵位によって上限が皇帝から設けられた。
つまりこの上限すら払えない貴族はケチでみっともないと言われるし
特別な理由、災害等無ければ領地経営の手腕無し
又は過度な生活をしてると判断され舐められる訳だ。
父上はそれに受付にチップも渡す。
これは順番を遵守して欲しい時に行われる行為だ。
順番次第で同い年や同年代の子供を持つ家はどちらが嫡男に近いかを
判断する為、順番の指定又は同時に入る等様々な対応をお願いするのでその分の上乗せとなっている。
父上が渡したのは白金貨1枚。
絶対に順番を守れという圧力に近いなこりゃ。
慌ただしくチップのお金とメモを人に渡して受け取った人が走り去っていく。
「受付完了致しました。それでは案内致しますのでよろしくお願いします」
若いシスターが綺麗なお辞儀をして案内をする。
ふむふむ、この世界のシスター服は随分とぴっちりしておりますな眼福眼福。
シスターのお尻を熱視して父上に怒られてゲンコツを食らったのは言うまでもない。
しかし、なぜバレた? 胸はシスターや他の人にバレると思ってお尻にしたのに!
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