第16話シメラーと甘い物、そしてあなたは誰ですか?

ズルルルルっーと、シメのラーメンを食している大人四人組。そこにシメでもなんでもなくラーメンを食べているロン君。




「ぷはー、染みるわー!」ラーメン大好きルイーダさん。




「酒のあとのラーメンも良いのう!」流し込むようにラーメンを貪っているアンドラさん。




「本当何杯でもいけるぜ」どんだけ食べるんだってくらいに、猛烈な勢いでラーメンを食べるロン君。




「ほっとするねえ」シメのラーメンにほっこり顔の優斗さん。




「最近、飲む機会がなかったから、シメのラーメンがこんなに美味しいってこと忘れかけてましたよ」




あー、幸せー。


こっちの世界で食べるラーメンがこんなに美味しいとはね。


それに日本に比べたら、物価も安いから、価格のことを気にせずとも気軽に食べられるし。


こっちの世界にこれるようになって本当に良かったわー。


でも欲を言えば、毎週金曜日以外にもこっちにこれるようになったらなー。


なんなら異世界と日本を自由に行き来出来たら便利なのよねー。


なんて思ってしまう。


まあ、贅沢は言わないでおきましょうか。


こっちに来られるだけでも充分良い思いをしているわけだし。




「ねえ、ラーメン食べるのは良いんだけどさ、しょっぱいもの食べた後ってなんかこう甘い物食べたくならないかしら?」




「ああ、その気持ち分かりますよ。ってルイーダさんこれ以上にまだ食べるつもりですか?」




「当たり前じゃない」




いやいや、そんな訳ありませんよ……。




「ルイーダさん、あんまりこんなこと言うのもなんでけど、その太る……」




「シズク、それ以上は言わないお約束でしょ?」




ぐ、ルイーダさんの口は笑っているのはずなのに、目だけがめっちゃヤバい……。


その視線だけで釘を差してきてるみたいだ。




「すみません……」




「うんうん、シズクは良い子ね」




「人間というのは面倒な生き物じゃのう。己の体重などを一々気にしおって」




あ、アンドラさん今この流れでそれを言うのは……。




「アンドラちゃん……。あたし聞こえなかったんだけどさ、今なんて言ったの? もしかして体重がどうのとか言ってなかった?」ルイーダさん圧が凄いですって。




「……すまぬ。我は何も言ってはおらぬぞい……」


ルイーダさんのオーラに気圧されるドラゴンの姿。


なんか随分と親近感の沸くドラゴンよね。




あ、そうだった。


そういえばリュックの中にチョコとクッキーと飴が入ってたんだ。




「私一応甘い物持ってきているんですよ」




私はリュックから甘いお菓子を取り出した。




「なになに、今度はどんなご馳走なの?」ロン君がとてもはしゃいでいる。




「この黒いのがチョコ。でこれががクッキーよ。でこの丸い形のものが飴ね。全部甘い味のするお菓子よ」




「へえ、食べても良いの?」




「勿論」




「じゃあ、あたしも一つ」




「我も頂こう」




「あ、僕も頂きます」




「どうぞどうぞみなさん」




まずはチョコとクッキーをみんなで食べた。




「! パリパリのこの食感。それにこの丁度いい甘さ。ううーん、どれもとっても美味しいわー!」ルイーダさんが別腹デザートに、ほっぺた落ちちゃいそうと言わんばかりの表情をしている。




「これは実に美味いのう。甘い物なんぞ久しく口にしておらなんだが、これはいくらでもいけるのう!」例の如く、美味しい物を食べたことで尻尾をブンブン振っているアンドラさん。




「なにこれすげえうめえー!」バリバリと何枚もチョコとクッキーを食べているロン君。




「あー、甘い物を食べると本当に元気がでるよ」ほっぺたとろけちゃいそうと言わんばかりの優斗さん。




ふふ、みんな本当に食べるのが好きよね。


私も食べようっと。


パクっと。




「ううーん、脳に染みるわー。甘い物を食べると、思考に活力がみなぎるって感じがするのよねー」




心身の疲労にはやっぱり甘い物だわー。


パクパクと、みんなで甘いお菓子を囲んで食べる。


私たちはあっという間にチョコとクッキーを食べつくしてしまった。


さすがにもうみんな食べられないといった様子。




「ふぁー、なんかあたし眠くなってきちゃったわー」目をとろんとさせているルイーダさん。




「うむ。我も眠くなってきたぞい」気だるげにテーブルの上に頭を乗せているアンドラさん。




「俺もなんか急に眠くなってきたぜー」既にグスーと軽い寝息を立て始めたロン君。




「僕もなんかもう……ダメかも」優斗さんがガクンと首を落とし眠りに入った。




「私も眠くなってきた。ああ、もうだめ。おやすみ……なさい」




みんなテーブルの上に頭を乗せてそのまま目を閉じてしまった――。




「――やあ、中々楽しんでいるようじゃないか」




目の前に急に現れた女の人。


わあ、凄く綺麗な女性だ。


ってそれより……。


ここどこ?


辺りには一面真っ白い景色の空間が広がっていた。


これは夢かしら……?

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