第15話美味しい料理とお酒がたまりません!
今日は日曜日。
私は今ショッピングの最中だ。
次向こうの世界に行った時に持っていくものを買うためである。
まずはホームセンターでアイズさんに持っていくための調理器具を買った。
ここでは大体八千円くらいの会計。
それからスーパーにも寄った。
ここではルイーダさんに頼まれた珍しい食べ物を調達しよう。
でも何にしようかしら。
これってつまり向こうの世界にはなさそうな食べ物ってことよね。
むー、どうしようか。
何かあるかな。
ああ、それに金曜までに保存の効くものじゃないとダメだわ。
持っていくまでに腐らせてはもったいない。
ってことは変わった食べ物でかつ保存しやすいもの。
あ、冷凍食品なんてどうだろうか。
それなら保存もできるし、向こうにも持っていきやすいわ。
それに会社の給湯室に冷蔵庫があったはず。
そこに出社した時に、朝一でそのまま冷凍庫に置いておけば、溶けなくて済むから大丈夫でしょう。
で、あっちに行くときにそれをリュックに入れて持って行けば良いだけだ。
じゃあ、そうと決まればあとは何を持っていくかね。
まずは定番のから揚げでしょう。
それに餃子とか。
枝豆も良いなあ。これをお酒のつまみにしたらもう止まらん。
アンドラさんお酒が欲しいっていってたし、その酒の肴にはこれがピッタリでしょ。
あー、どれにしようかなあ。
ええい、いっそのこともう全部買っちゃえ。
買い物かごに諸々入れてっと。
あとはお酒を買おう。アンドラさんの好みの味ってなんだろうな。
聞いておけば良かった。
ま、いっか。
とりあえず今日は定番のビールで良いかな。
どこかの国では、神獣扱いされている生き物がラベルのものを今回は買った。
それと辛い食べ物も欲しいって言ってたな。
うーん、柿の種とかでいいか。
と、あとは砂糖もいるんだった。
これもかごに入れてと。
どうせならついでに甘いお菓子とかも買っておいて良いかも。
クッキーにチョコ。
あ、飴なんかも良いかな。個人的には果物の味が好き。
こういう小さい物ならいつでも持ち運びしやすいから色々丁度いい。
よしこれでおっけーかな。
あとはレジに持っていって会計するだけ。
全部で七全円くらいのお買い上げになった。
最終的に今日だけで一万五千円くらいの出費。
結構痛い……。
でもみんなの笑顔のためなら、これくらいのお金どうってことないわ。
でも帰りの歩き道では袋がさすがにちょっと重く感じた……。
自宅についた時にはもうくたくたよ。
まあ、でもあとは金曜日になるのは待つだけだわ。
――――
金曜日のオフィス。
「じずくさん、今日もあっちに行くの?」
カタカタとパソコン作業中の私に優斗先輩が話しかけてきた。
「はい、勿論。でも今日は向こうに持っていくものが多いので少し大変かもです」
「ああじゃあ、僕の出番だね。荷物持ちのお役目なら任せてよ」
「すみません、お願いします」
「いやいや、全然良いんだよ。そういえばそろそろ異世界のゲートが開く時間だね」
「そうですね。そろそろ準備しちゃいましょうか」
私たちは用意していた品々をリュックに詰め、そのまま背負った。
丁度その支度が終わったころに光り輝くゲートが出現。
「じゃ、行こうか」
「はい、行きましょう」
私たち二人はゲートを潜る。
―――
異世界の街にきた。
よし、今日も無事到着っと。
優斗さんも無事一緒に着いた。
「優斗さん、とりあえず今日もベルンさんのお店に行きましょう」
「そうだね。行こっか」
私たちはしばらく歩くと、ベルンさんのお店に着いたので、そのまま店内に入った。
「ああ、二人ともいらっしゃい」
「こんにちはベルンさん」
「どうも」
「今日はもうみんな来てるよ。ほら」ベルンさんがそう言いながら指し示す先には、いつものメンバーがきていた。
「あははっ……、なんかいつもすみません。ベルンさんのお店にたむろしているようなことになってしまって」
「いやいや、全然。むしろお店が賑やかになって良いなあってくらいに思っているよ」
「そうですか。なら良かった」
「あ、そこのお二人さーん。こっちこっち」快活な声でそう言ったのはルイーダさんだった。
その隣の席にはロン君とアンドラさんも座っている。
「はーい、ちょっとまっててください。あ、そうだベルンさん今日も厨房お借りしても良いですか?」
「うん、良いよ。今日はそれほど他のお客さんも多くないしね」
「ありがとうございます」
「しずくさん、僕も何か手伝うよ。こう見えて一応自炊とかしてる身だから」
「ありがとうございます、優斗さん。じゃあ、お願いしますね」
「うん」
――私と優斗さんの二人で冷凍食品を調理した。
フライパンに油を入れて、冷凍から揚げをさくっと揚げてお皿に盛りつけてっと。
そしてその後餃子も焼いた。これもお皿に並べる。
あと、餃子用のタレも用意。
これも予め持ってきたものだ。
枝豆はお湯を沸かして茹でた。
このほうが湯煎するよりも早い。
出来たものを、私と優斗さんで手分けしてみんなのいるところまで運ぶ。
「ゴクッ……。何コレ。超絶美味しそうなんですけどっ!」ルイーダさんのはしゃぎ様。なんだか子供みたいね。
「おおー、これはこれは……。これまたどうして美味そうじゃのう」アンドラさんめっちゃ尻尾振ってる。イケおじドラゴンさん可愛い。
「もう早く食べようぜ!」ロン君の食いしん坊っぷりにはある意味関心するわ。その小柄な体系に似合わず大食いとはね。
「じゃあ、みんなで食べましょうか」
「そうだね」
私と優斗さんが席についてから、みんで「頂きまーす!」と一斉に声を上げた。
まずはから揚げからいこうかな。
パク、熱っ!
むむむ、これは……。
「うまっ! 外はカリッカリの中ジューシー。それでいてサクサクと何個でも食べらると思えちゃうこの美味しさ」
と食リポ。
「本当美味しいわー! あたしこれ好きだわー。なんかもう最高にお肉を食べてるって感じるわー!」ルイーダさんのテンション上がっている声。
「なんと美味であるのかっ!? このような食感の料理は初めてであるぞ! このような歯ごたえを感じる肉がかつてあっただろうか。いつもは野生の獣の肉を食っておったが、これを食べてしまったからにはもうそのようなものは到底食えんわい」アンドラさんそこまで言いますか。
「あつっ、うま! あつっあつっ、うま!」ロン君がやけどしそうな勢いで何個も食べまくっている。
「最近の冷凍食品って本当に美味しいよね」優斗さんが口をモグモグさせながら一言そう言った。なんか愛らしい光景ね。
みんで餃子も食べる。
これも当たり前のように「うんまーい!」ということで一致した。
「ああ、これはビールが進みそうですね。アンドラさんもこれどうぞ」私はそう言いながら、持ってきたビールの缶をリュックから取り出した。
「む! それはもしや酒であるな!?」
「そうですよ。アンドラさんに頼まれていたものです」
アンドラさんにビール缶を渡した。
「これをどうやって飲むのじゃ?」
「こうですよ」私がビールの缶の蓋を開けているところを、アンドラさんに見せた。
「ふむ、なるほど。そうやるのじゃな」アンドラさんが太い指先を器用に使ってカチっと開封。
プシューと中身が吹き出したが、そのまま口を付けゴクゴクと喉にシュワシュワを流し込んでいる。
「おお!? な、なんということじゃ! 我はこれほど美味い酒を飲むのは初めてじゃ。なんとのど越し愉快な酒であろうか。それにこの美味い飯に酒。これはどんどん進みそうじゃわい。シズクよもっとこれをくれ!」もう飲んじゃったんですか……。
「はいはい、どうぞどうぞ」のど越し爽やか酒を、飲んべのドラゴンに手渡す。
彼が飲みながら「おおー、この辛い菓子も実に美味であるのう、それにこの緑色の豆もクセになるわい」と言っていた。
なんかこの勢いだとあっという間に料理が無くなっちゃいそう……。
「ずるーい、あたしにもそれ頂戴!」
「え、ルイーダさんもですか。まあ、良いですけど」ルイーダさんにビールを手渡した。
彼女はそれを受け取ると、手早く蓋を開けてから口を付け、ゴクンゴクンと良い飲みっぷりを見せた。
「ぷっはっー! 何よ何よ、このお酒めちゃめちゃ美味いじゃないのよっ! この料理にも合うし、いくらでも飲めちゃうわー。シズク、これお代わり!」
「ルイーダさんまで飲むの早いですね。どうぞ飲んじゃってください」ビールを彼女に渡す。
「ねえ、僕の分まであるかなしずくさん?」
「優斗さんも飲むんですね?」
「うん。僕も結構お酒は好きだよ」
「そうなんですね。じゃあ、今日は日頃の労いの意味を込めて慰労祝賀会ということで」
「そういうことで」
ということで私と優斗さんもアルコールを注入。
二人して喉からゴクゴクと音を鳴らしているのが聞こえてきた。
「良いなー、大人は。俺も早くお酒が飲めるようになりたいぜ」ロン君が残念そうにしてそう言った。
「まあ、そうよね。こればっかりは大人の特権だからね」
「ひっく、あたしロンちゃんが大人になったら一緒にたくさんお酒飲むのが楽しみなんらぁー、ひっく!」
「ルイーダさんもしかして酔ってます?」
「がははははっ! そんらぁわけないれしょ、ひっくひっく!」いやいや、完全に酔ってますやん。
「がががががっ! ルイーダよお主もまだまだよのう。この程度で酔ってしまうとは情けないのう、ヒック!」
アンドラさんがそう言いながら、誰もいないほうに向かって話しかけたいた。いやいや、あなたも相当酔っているんじゃありませんか。っていうか怖いからやめてくださいよ。誰もいないところに向かって話すの。
――気付けば美味しい料理を囲んでのどんちゃん騒ぎとなっていった。
「あはははははっ!」「がはははははっ!」と笑い合っている笑い上戸な二人。
その二人の賑やかな声。
それと美味しい料理の良い匂いが、その空間を包み込んだのだった。
私も良い具合で酔いが回ってきたころ。
「そろそろシメの一杯と行きたくないですか優斗先輩?」と聞いた。
「そうだね。シメたいところだね……」
そんな私たちの会話をよそに、ルイーダさんとアンドラさんがキョトンとした顔をしていた……。
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