第12話ドラゴンってカップラーメン食べるんですね

突如として私たちの前に現れた竜。


フハーと鼻息を荒くしている。




「我は古代より生き永らえてきた竜。古代竜アンティークドラゴンである。我の眠りの邪魔をしたのはお前たちか?」




威圧的で威厳のある声で私たちに話しけてきた。


その場にいたみんながガクガクぶるぶるとたじろいでいた。




けど、ルイーダさんだけは「あらー、アンドラちゃんじゃない!」と明るい声を出していた。




「おおー!? その声といで立ちからみて、お主美食家大魔術師のルイーダではないか?」




「そうよ。久しぶりね。元気だったー?」




「うむ。我はこうして元気一杯の絶好調である。なんともここで会うとは奇遇じゃのう」




まさかのルイーダさんのお知り合いの竜さんみたい。




「あのお二人はどういったご関係なのですか?」




「そうねえ、アンドラちゃんと初めて会ったのは500年前くらいかしらね。その時私は冒険者として彼を討伐するために戦ったんだけど、これがめちゃめちゃ強くてね。でね、戦っている最中二人してお腹空いちゃったの。一旦ごはんタイムにしようってことで、私が持ってきたお弁当を食べていたら、アンドラちゃんが分けてくれって言う訳。そしたら私のお弁当をいたく気に入ってね。それでお互い食べるのが好きってことがわかってからは、アンドラちゃんとはお友達になったのよね」




「うむ。懐かしき話じゃな」




「え? 500年前って……。それに竜さんとお友達って……」




「気にしないほうが良いよシズクさん。師匠は色々規格外な人だから。それにこの人500年どころか本当はもっと歳くったババァ……っていてっ!」ロン君がルイーダさんのチョップを受けていた。




「それ以上は言っちゃダメよ」




「はい、すみませんでした師匠……」




「ところでアンドラさんは僕たちにどういったご用件だったのでしょうか?」」優斗さん普通に話しかけてる。勇気あるなあ。




「うむ。我がこの山で眠っていたら、お主たちのほうから何やら美味そうな匂いがしてきてな。その匂いを辿ってみたら、お主たちがいたという訳である。お主たちひょっとして何か美味な食事をしていたのではないか?」




ああ、私たちがカップラーメンを食べていた時の匂いつられてやってきたということね。




「ああ、その匂いなら多分これです」リュックからカップラーメンを取り出す。




「ほう。中々変わった容器に入っておるな。さっきの匂いは確かにそれであるな。のう、お主名前は?」




「しずくです」




「うむ。ではシズクよ、その飯を我に食わせてはくれないかのう?」




「ええ、良いですよ。ではちょっと待っててください」




「うむ」




鍋でお湯を沸かし、カップラーメンに注ぐ。


三分待って出来上がり。




「どうぞ」




「うむ、すまぬな。では頂こう」




大きな手で器用に掴む。


アンドラさんの小指にも満たない大きさのカップラーメン。


こうしてみるとアンドラさんちょっとデカすぎないかしら。


ペロリと一口で飲み干した。「むっ!? なんだこれは素晴らしく美味であるぞ!! こんなもの初めて食べるぞい。もっと寄越してくれ」




「え、ええ、はい、ただ今ー」




私がカップラーメンを作って、アンドラさんが食べて。


作っては食べて。


その繰り返し。 


このままだと無限に食べるんじゃないかってくらいの食べっぷり。




「あ、あのー、もうカップラーメンがなくなってしまったのですが……」




「むむ! なんじゃと!?」アンドラさんが厳つい顔をした。怖い……。




「す、すみません」




「いやそうか、そういうことならば仕方がない」




「今度来るときにでもカップラーメン持ってきましょうか?」




「なぬ!? ぜひとも頼むぞい!」ブンブン尻尾振ってる。案外可愛い。




「あははっ。ああ、そうだわ、ベルンさんのお店に行けばこれより美味しいラーメンが食べられますよ」




「なんじゃとー! では今すぐにでも行こう! じゃがこの姿ではちと不便であるな」




そう言うとアンドラさんからピカーンという光が放たれた。


するとどんどん姿形が変わっていく。


そしてあっという間に、頭から角の生えた、人型で白髪のイケおじ様な感じの姿に変わったのでした……。




「わははー、我こそは古代竜アンティークドラゴンのアンドラである! さあ、この美味なるラーメンを求めていざ行こうか!」

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