第10話【美食家大魔術師のルイーダ】さん

「ハーイ! あたしルイーダっていいまーす! よろしくねー!」軽めのテンションの自己紹介。




「ルイーダ先生、今までどこほっつき歩いてたんだよ!? 先生のことだから大丈夫だろうとは思ってたけどさ」




「ごめんごめん。ロンちゃんには本当迷惑かけたはね」




「まあ、別に良いけどさ。いつものことだから」




「あのー、二人はどういったご関係なの?」随分と仲が良さそうに見えるけど。




「あー、この人は俺の魔法の師匠なんだ。その名も【美食家大魔術師のルイーダ】って通り名があって。なんつうか、かなりの偏食持ちなんだよこの人」




「もう失礼ね。私はただ美味しいものを飽きるまでたらふく食べたいだけなの。気に入った食べ物は毎日でも食べて、飽きたら別な食べ物を食べたいだけなの! 別に偏食なわけじゃないんだけど!」




「な? 偏食だろ?」ズバッと言い放つロン君。




「あはは。まあ、美味しいものをたくさん食べたいって気持ちは分かりますけど」




「あら、あなたとは気が合いそうね。あなたお名前は?」




「私はシズクと言います」




「そう。じゃあ、これからよろしく。見たところうちのロンちゃんがお世話になっているみたいね」




「いえいえ、むしろ私のほうがお世話になってますよ。ロン君には魔法を教わっていますし」




「あらそうなの? ロンちゃんあたしがいない間に弟子なんてとってたの。まさかあたしの弟子が弟子をとるとはね。なんだか感慨深いわね」




「まあ、俺も生きるのに必死だったってことだよ」魔法の授業のあとは、ロン君にはいつもご飯を奢らせて貰ってるからね。




「それでさ、このお店にラーメンっていう美味しい料理があるって聞いたんだけど本当?」




「これのことですね」ベルンさんがルイーダさんにラーメンを運んできた。


既にラーメンの準備をしていたのね。




「まあ、これがあのラーメンっていう料理なの! なんて魅惑的な一品なのー!」ラーメンを一目見るなりテンションが上がっているルイーダさん。




「いっただっきまーす!」フォークでチュルチュルしているルイーダさん。




「こ、これは……ううーうんんまーい!!! 本当に絶品じゃなーい!」ほっぺた落ちちゃいそうって感じの顔。すごい勢いで食べていらっしゃる。




「それは良かったです」ベルンさんが嬉しそうにしてから、「でもラーメンのレシピを教えてくれたのはシズクなんですよ」と言った。




「そうなのシズク!?」モグモグしているルイーダさん。




「そうなんですけど……、モグモグしながら喋るのやめましょうよ。喉詰まらせちゃいますよ」




「ごめんごめん。あ、お代わり貰えるかしら?」もう食べ終わったんだこの人。




「はーい、ただ今ー」




「相変わらずだな先生は。本当食に関しては人一倍がめついんだから」




「えへへ。そう褒めるなよロンちゃん」




「いや、別に褒めてねえし」




「はい、お待ちどうさま」お代わりのラーメンが届く。




「わーい! いっただきー」これまたすごい勢いで食べるルイーダさん。「本当めちゃくちゃ美味しいわねー!」と言ってあっという間に食べ終わった。




「あはは、ルイーダさんの食べっぷりみてるとなんだかお腹が空いてきますね。本当に美味しそうに食べるから」




「それよく言わるれるわー。なんか照れるわねー。あ、もう一杯お願いします」またお代わりしちゃったよ。




「あ、私もラーメンお願いします」食べたくなってきてしまった。




「あ、俺もお願いします」ロン君まで。




「はーい待っててねー」






――その後は三人でこれでもかというほどラーメンを食べた。




うう、もう食べられない……。




「ねえ、シズク。良かったらあたしと一緒に冒険者やらない?」




藪から棒にルイーダさんがそう言ってきた……。

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