第7話ジャパニーズソウルフードのラーメンが食べたい
今私は自分の部屋でパソコン作業中である。
先日、異世界のグルメ雑誌を作った時の要領で、今度は魔法の教科書を作ることにしたのだ。
写真を画像編集ソフトで加工する。
その写真は、予めロン君に協力して貰って、彼が魔法を使っているところの写真を撮っておいたものだ。
えっと、確かまずは魔力が身体を流れているようなイメージをして……それからは……。
私はロン君に教わったことを写真とともに文章で添える。
イメージは図解っぽいような感じで。
――その後、数時間くらいをかけて完成。
よし出来た!
いい感じだわ。
内容は私がみても中々参考になるような出来になったんじゃないかな。
とりあえす私、お疲れ様。
ふう、後は次むこうに行く時にこれを持っていくだけ。
次行くときが楽しみだわ。
――――
……いつもの要領で異世界に到着っと。
ひとまずはベルンさんのお店に向かおう。
そこにロン君もいるはずだから。
あれからロン君とは金曜にまた会う約束をした。
ロン君に魔法を教えて貰うのと、そのお礼でベルンさんの料理を奢るために。
ちなみに、私が金曜の夜にこっちにくると、大抵こっちでは金曜の昼くらいの時間である。
帰ったタイミングだと元の世界では土曜の朝くらいになっている。
まあ、割とざっくばらんな時間の流れなような気がする。
時間の流れに関しては私はあまり気にしていない。
しばらく歩きベルンさんのお店に到着。
「こんにちはー!」
「いっらしゃい、シズク」厨房のほうからベルンさんが顔を出していた。
「シズクさん遅いよー。俺もう腹減って死にそうだぜ」
ロン君が急かすように私にそう言う。
「ごめんごめん。じゃ早速、ベルンさんのごはんいただきましょうか。ベルンさんお願いします」
「はーい、ちょっと待っててね」
料理を待っている間、私はロン君に例のものを見て貰った。
「わあー、すごいよ! これ全部シズクさんが作ったの? すげえー!」
「まあね。で、どうかなロン先生からみて、これで良いと思う?」
「うん。良いと思うよ。ていうか俺からみてもすげえ分かりやすく出来てると思う」
「本当! 良かった!」
「うん。それで、これをどうするの?」
あ……。
そうよ。
作ったは良いけど、これを果たしてどうするんだって話しよね……。
……もしかしてこれ、売れたりしないかな?
きっとどこかには需要があるんじゃないかしら。
「えっと……。売ろうかなって考えてるよ」
「ああ、確かにこれなら結構売れそうだな」
「ね、でしょでしょ!」
「でもどこで売って貰うの?」
あ、ああ……。
そうだよね。
これを売って貰えそうなところって思い付かな……。
そうだわ!
「アイズさんのお店に売って貰いましょう!」
「アイズさん?」
「ええ。私の知り合いの商人の人なの」
「そっか。ならその人のところで売って貰えるならいいね」
「ええ」
「お持ちどうさまー! 味噌豚のシャキシャキ野菜炒めだよー」そのベルンさんの声と共に美味しそうな料理が運ばれてきた。
「わあー、美味しそう!」
私の隣では既にロン君が、料理を貪るように食べ始めており「うんめえー!」と声を発していた。
「いっただっきまーす!」
まずはやっぱりお肉から。
パクっと……。
「ん~、美味しい! この少し甘じょっぱい感じの味噌のお味に、このジューシーなお肉がよく合うわー。それにこのお野菜も本当にシャキシャキで、すごく新鮮なのがわかる食感だわー。もうこれならいくらでもバクバクいけちゃう!」
「ふふっ。やっぱりシズクの感想が一番嬉しいよ」
「あははっ……」
……やっぱりあれが欲しくなってきた!
「あ、あのお米も欲しいなって……」
「ん? お米?」ロン君が隣で訝し気な顔をしている。
「ああ、そうだね。今持ってくるね」
「すみません」
ほどなくしてベルンさんがお米を持ってきてくれた。
そのお米を口に運んでからお肉も頬張る。
「んんんっー、美味い! お味噌のソースが絡まったこのお肉が、お米に合わないわけないわよ! これはもう止まらないわー!」
そんな私を隣で見ていたロン君がゴクっと、喉を鳴らす。
「な、なあ。シズクさん、俺も米頼んでいいかな?」
「どうぞどうぞ」
「じゃ、じゃあベルンさん、俺にも米ちょうだい!」
「はーい! ちょっと待っててね」
「ふふふっ」
「な、なんだよシズクさん!」
「いやー、別にー、何もー」
「なんだよそれ!」
ロン君はなんだか照れているようだった。
ふふっ、可愛いわね。
「はい、どうぞお米だよ」
運ばれてきたお米を、ロン君がさっきの私と同じような食べ方で、さらに貪るように食べる。
「う、うめえー!」
「でしょでしょ!」
「うん! これならいくらでも食える」
あはは、本当に食欲旺盛な子だな。
「にしても、こっちにも味噌があるなんて感激だわー」
「へえ、シズクの故郷にも味噌があるのかい?」
ベルンさんにそう質問される。
「ええ、そうなんです。あ、もしかして味噌があるなら醤油とかもあったりしますか?」
「あるよ。ほら」ベルンさんが黒い液体が入った瓶をみせてくる。
確かに、みるからに醤油だわ。
「本当だ!」
こんなに色々な調味料が存在していたり、さらには美味しい料理もたくさんあるしで、
もしかするとこっちの世界って、かなり食文化が発展しているのかもね。
味噌に醤油、と言えば……。
……ああ、なんかラーメンが食べたくなってきちゃった。
けど、今のラーメンってお店で食べると一杯千円以上はかかるのよね。
実は結構な高級料理である。
はぁ、物価の安いこっちの世界でもラーメンが食べられたらなー。
「あの、ベルンさん」
「ん? なんだい?」
「もしやラーメンっていう料理ってあったりします?」
「ラーメン……?」
「えと。こうなんかスープがあって、その中に色んな具とか麺が入ってるみたいな。そんな料理のことです」
「うーん……。ごめんねうちの店ではそういう料理はないし、それにそんな料理僕は聞いたことないな」
「そうですか……」
うう、ガックシ……。
そっかないか。
でも待って。
それか、ないなら作れば良いじゃない!
こっちにも麺類の料理があるみたいだし。
なにか異世界ならではの食材とかを使ったラーメンとか。
そういうのもアリだよね。
考えただけで溜まらん!
よし、次回来た時にはラーメン食べるぞー。
ああ、久しぶりのラーメン。
仕事が忙しくて食べられていなかったからね。
うう、楽しみー!
――――
今は食後の運動がてら、魔法の特訓をロン君としているところ。
場所はこの前と同じあたり一面草だけのとこ。
魔法を発動させて、それを発射。
と、数十分ほどかけて一連の動作を何度か繰り返す。
「ファイアーボール!」
その詠唱と共に、お手玉くらいのサイズの火の玉が、手から放出。
この前よりも火の玉がちょっと大きくなっている。
「すごいよシズクさん! こんなに短時間で火の大きさが変わるなんて」
「えへへ、先生の教え方が上手なんですよ」
「へへ、ありがとう。今のシズクさんだったら、六級魔術師にならすぐになれるよ」
「本当! でもそこは六級なんだね……」
「そればっかりは仕方ないよ。五級以上に上がりたかったら、実践でなにか活躍しないと昇級できないことになっているんだ」
「そうなの? じゃ、ロン君って実はかなり凄いんじゃない?」
「まあね。俺、一応魔法職の冒険者やってるし」
冒険者ってあの異世界ものでよくある、モンスター退治とかを生業にするやつかな。
「へえ、そうなんだ。って冒険者!? ってことはなにかモンスターとかと戦ったりするの?」
「当然。冒険者だからね」
すごいわね。
まだ子供といえど、やっていることは立派な冒険者。
なんというか、ロン君って逞しいわね。
でもそれなら、私が別にごはんを奢らなくともいいはずよね。
冒険者業で稼ぎはあるはずだから。
まあ、冒険者っていくら稼げるのか分からないからね。
それにロン君にも何か事情があるかもしれないし。
「今日はこの辺にしておこうか。魔力切れも怖いし」
「そうね。そうしましょう」
――その後はベルンさんのお店に足を運び、ロン君と晩御飯を食べた。
食べ終わるとお店でロン君と別れ、私も元の世界に戻るために眠りについた。
……。
「ふぁー」
いつものようにデスクから身を起こす。
肩をグリグリ回して伸びをする。
ふうー、やっぱり異世界ライフ楽しいなー。
また次行ける時が楽しみだなー。
よーし。
また一週間頑張るぞ!
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