九 追跡か待機か
「追うか?」
ペッグが空を睨んだ。異性体の脱出ポッドが空の彼方へ消えようとしている。
「追うな。脱出ポッドもビーム兵器を搭載してるはずだ。危険だ。
宇宙艦の残骸を確認しよう。生存者がいるかも知れない。皆、気を抜くな!」
アンマンとペックたちに指示しているとラスティが交信してきた。
「待てっ!儂らがスコープで確認する。トラたちがいるそこからより、ここの屋根裏の監視棟から詳しく監視できる」
今まで、納屋の地下シェルターで監視スコープを使い、トウモロコシ畑を確認していたラスティは、納屋の屋根裏の監視棟へエレベーターで昇る気だ。
「電力を使えるか?」
「昨夜復旧したが、電力は使わずにおこう。電流が流れれば磁場が発生する。異星体は高度の技術を持ってる。誰もいないはずのこの納屋に磁場が発生すれば、他の異星体に気づかれる。梯子を登る」
交信が途絶えた。
しばらくするとラスティから交信が来た。
「監視棟についた。高感度スコープで見てる。宇宙艦は黒焦げだ。跡形もない。見事に燃えつきてる。アルミとマグネシウムの艦体なら燃えつきて当然だな。
チョット待て!何か動いたぞ!もう少しスコープで監視するから待機してくれ」
「了解した!」
そう伝えるとアンマンもペックたちも納得して頷いている。
まもなく交信が再会した。
「安心していい!捕獲されてた儂らの仲間だ。防護耐火スーツを着た戦闘機のパイロットだ。アンマンの知り合いだと言ってる。ウオルターを知ってるか?」
「はい!知ってます。空軍パイロットです。無事ですか?」
アンマンの声がうわずってる。
「無事だ!異星体は逃げた者を除き全員焼死した、と言ってる。ウオルターの言い分だけだから、実態はわからんぞ」
「了解した。焼死した異星体を確認できるか?ウオルターがパイロットなら、装備のカメラで、異星体を撮せるだろう?ラスティ経由で異星体の映像を送ってくれ」
そう指示するとパイロットのウオルターの映像と、異星体の映像がスカウターに送られてきた。ウオルターはアンマンに酷似していた。そして焼死した異星体は我々とは違う姿のディノス、ディノサウルスが収斂進化したディノサウロイドだった。
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