五 トリのペック

 トリの群を率いたペックが訊いた。

「異星体はどこですか?」

「異星体が宇宙艦から出てきたら、異星体の間近を飛んでくれ。俺とアンマンが異星体の宇宙服に狙撃銃で穴を開ける」

「ぼくたちが穴を開けるんじゃないのか?」

 ペックは自分たちの能力を見くびられたと思ってむくれている。


「異星体の宇宙服が防弾素材なら、メタルジャケット弾かフルメタル弾で穴を開けられる。すまないが、ここから俺たちが異星体を撃ちやすいように、ペックは異星体の近くを飛んで欲しいんだ」

 ペックは納得した。

「それなら異星体の肩より上を飛んで異星体を威嚇するよ」


「異星体はあらゆる生物を捕獲してる。アンマンと交信して危険を回避してくれ。

 アンマン、それでいいな?」

「いいですよ。ペックと交信して狙撃のタイミングを計ります。

 ペックは何があっても、肩から上を飛んでください」


「わかったよ。急降下穿孔できないとは残念だ。嘴が宇宙服に刺さったままなら自滅だからしかたない。

 じゃあ、発進するよ!」

 ペックは納得して群ととともに飛び立とうとした。


「待て!情報確認が先だ!発進は異星体が外に出てからだ。むやみに飛びまわったら疲れるだけだ」

 俺はペックを引き止めた。俺は情報を我家の納屋で暮すラットのラスティから得ている。彼らは我家の監視員だ。


 俺はラスティに交信した。

「ラスティ。聞こえるか?斥候に出た従弟のダスティから連絡はあったか?」


「トラ。異星体は朝から外に出てない。外に出る必要が無くなったのかも知れない」

「なぜそう思う?」

「異星体はこの辺りのあらゆる生物を捕獲した。土壌も大気も採取した。

 あらゆる動物を捕獲したのは食糧にするためだ。

 異星体は調査を終えてる。宇宙艦の外には出ないと思う」


「異星体が外に出るには何があればいいと考える?」

「異星体は地上の生物だけ捕獲してトリを捕獲してない。トリが飛べばビーム捕獲のために外に出る。トリを狙ってビームが放たれたら、トリは逃げられない」

「なんだって?」

 アンマンは驚いてる。つまり統制理事会は異星体の情報を得ていないのだ。

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