最終話

 突如キスをされてからというものの学校ではなんだがよそよそしいです。ギャルさんたちから揶揄われた時はまだ反応があるのですが一緒に帰るなんてことは無くなってしまいました。ストーキングはされてますけどね。


 さすがにこんな調子が続くとなると私も耐えられません。なので休日に呼び出しました。目の前にはとても気まずそうな彼女がおり、彼女にしては珍しく目が合いません。


「あの、とりあえずはどうして突然キスしてきたのか説明してもらってもいいですか?」

「はい…」


 しおらしくなった彼女はぼそぼそとあの時について話していきます。


 要約するとギャルさんたちとべたべたしている様子に嫉妬してしまったようです。


「私のほうが親密なのにーとか、私のほうが好きなのにーとか…そう思ってたら段々グルグルしちゃって…気づいたらチューしちゃってたっていうか…」

「……」

「ていうか、紗奈ちゃんもひどいよ!恋人の前で堂々と浮気だなんて!」


 ついに彼女は開き直ってきました。確かに私と彼女は去年の冬に彼女に告白されて付き合っています。ですが女の子同士であればあれぐらいの距離感は普通なのではないでしょうか?


 しかしこれを言っても彼女は納得しないでしょう。


「浮気って…そんなつもりはないんですけど」

「うぅ~…ていうか最近は名前さえ呼んでくれないじゃん!私だって恋人らしいこともっとしたい!付き合ってもう半年だよ?!」


 思い返せば確かに最近彼女の名前を呼んでいないような気がします。


「はぁ…」

「…っ」


 私がため息をつくと彼女は肩をびくっと跳ねさせます。


「伊月」

「っ!なぁに?」

「伊月は恋人として私と何がしたいんですか?」


 名前を呼ぶだけで頬を赤らめて嬉しそうに微笑みます。ちょっと…というか大分ちょろいですがそんなところもかわいいなと思ってしまいます。


「えへ…えへへへ」

「な、なんですか…変なお願いはやめてくださいよ」

「んふ、えっとね…まずはタメで喋って欲しいなぁ…」


 そんな…私の敬語キャラを?…でもこれも伊月のためです。やむを得ません。


「…はい…じゃないや。うん、わかったよ」

「えへへ…えっとね、次はね…ふふ」

「まだあるんでs…まだあるの?」

「うん!たくさんあるよぉ」


 なんだか伊月は今までにないぐらいとろけた表情です。なんだかとても恥ずかしいことをしているような気分になって顔が熱くなってしまいます。


「ねね、キスしようよ」

「え?そ、それは…まだ早い気が…」

「えー!もう付き合って半年だよ?いーじゃんいーじゃん!」

「えぇ…」


 確かに半年も経てば普通は身体も重ねている頃でしょう。しかし、私は小心者なのでまだキスは恥ずかしいのです。


「ねぇ~…お願い♡」

「うぅ…」


 伊月は私よりも身長が高いため普段は見ることのない上目遣いは刺さります。


「む~…小心者!引っ込み思案!人見知り!オタク!陰キャ!」

「あ~もう!わかりました!わかりましたよ!」


 ついに我慢の限界がきた彼女は私の悪口を言い始めます。ていうかサラっと私が気にしてることまで言ってません?!


「あ、あの…せめて、その…伊月からキス、して?」

「!!!!!」

「き、気が変わらないうちにしてよね」

「え、えっと…じゃあするね」


 私は目をつぶって来たる唇を待ちます。しばらくして彼女は私の肩をつかんで近づいてきます。


「っ!」


 次の瞬間、唇に柔らかい感触が伝わってきます。前回よりも優しく包み込むようなキスです。


 唇を重ねて長く感じるほどの数秒間。唇を離す頃には私の息は上がってしまいました。顔はもう湯気が出ているのではないかというほど熱くなってしまっています。


「か、かわいい…」

「っ!も、もういいよね?」

「ん、もう一回したいなぁ」


 私はもう息が上がってしまっていますが、伊月はまだまだ元気いっぱいです。


 伊月に再びキスをされます。今度はより深く、より長く感じます。しばらくキスをしていると身体をまさぐられているような感触がします。

 シャツをめくられ、お腹に冷たい手の感触がします。


「ちょ、ちょっと待って…」

「待てない」


 どんどんヒートアップしていき、服が脱がされていきます。


「こ、この…変態!」

「あふっ♡」


 やはりギャルは恐ろしいです!オタクで陰キャな私のペースを全く考えられてないです!自分勝手!横暴!


「そ、その…こういうのはもっと段階を踏んでじゃないとダメです!」

「段階を踏んだらいいってコト?!」

「がっつかないでください!」

「は、はぁい♡」


 本当に油断ならないんだから…!!!!!

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オタクに優しいギャルは気持ち悪い! ゆー。 @yu-maru

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