第3話

「さ〜なたんっ!今日は放課後デートだね!」

「いちいち騒がないでください。あと近いです」


 今日は断る理由も見つからなかったので誘いを受けることにしましたが、早速受けたことを後悔しそうです。


 今日はカフェに行く!と言ってはいましたが目的地はよく知りません。なので彼女についていくだけなのですが、彼女は私にくっつこうとするばかりで歩みが遅いのです。


「はぁ…今日はどこに行くんですか?」

「は!そうだった!今日は駅前のカフェに行くよんっ!紗奈ちゃんの好きなチョコ系の飲み物もあるんだって!」


 そういって彼女は私にキラキラとした目を向けてきます。


「えへ、ちゃんと事前に調べてたんだよ!えらいでしょ」


 このギャルは子犬かなにかなのでしょうか?超絶澄んだ目をしているのであしらうにもあしらえません。


「はいはい、いいこいいこ」

「あぎゃ!さ、紗奈ちゃんのいいこいいこ?!?!幸せすぎて死ぬるぅ…」


 やっぱりしなければよかった……




「あ!ここだよ〜、おしゃれっしょ!」

「た、たしかにおしゃれですけど私みたいな陰キャには入りづらいっていうか…」

「?とりま、は〜いろっ」


 というわけでギャルに押し込まれてやたらおしゃれなカフェに来てしまいました。店内は案外広く、間接照明がおしゃれだなぁというような幼稚な感想しか出てきません。


「えー私何にしよっかなぁ〜…紗奈ちゃんは?」

「わ、私は…えとチョコスムージーかな」

「あ!やっぱり?ソレ選ぶと思った!じゃあ〜…私はストロベリーで!」


 注文してまもなく注文したスムージーがやってくる。初めてこういうカフェで飲み物頼んだかもしれない……!

 早速飲もうとすると彼女に止められてしまいます。


「あ〜!せっかくなら写真撮ろうよ!」


 ということらしいので写真を撮ることになりました。写真は得意ではないのですが雰囲気に飲まれて思わず頷いてしまいました。


「はい!そう!そのポーズ!あふっ!その上目遣いぎゃわいいぃ!」


 無事に写真も撮れたので改めてスムージを飲みます。ていうかこういうのって飲み物単体を撮るんじゃないんですかね?

 スムージーはなんだかシャリシャリとしていて冷たく、暑くなってきたこの時期にはぴったりです。甘めだけど少しビターな感じもあって美味しいです。


「へへ、美味しいね…」

「そうですね。案外悪くないかもです」

「ねね、そっちのもひとくちちょうだいよ」


 これはいわゆる間接キスになってしまうのでは?でもギャルは距離感が近いですからね。あまり気にせず言っているのでしょう。


「ん、いいですよ」

「ふ、ふへ…じゃあいただきま〜す」


 ストローを咥え、スムージーが少しずつ減っていきます。ちょっと飲む時間長くないですかね?いや、飲んでる量はそこまででもないんですけど……


「ん、んむ…じゅる……んはぁ、さんきゅー!あっ!どうせなら紗奈ちゃんも飲む?」

「ん、じゃあ飲みます」


 お礼にひとくちこちらも貰うことにしました。やはり間接キスは気になってしまいますがこちらも同様、美味しかったです。


「ん、こっちもいいですね」

「でしょでしょ?また一緒に来よー!」


 他にも多くの種類のスムージーがあったのでこれは他のお味も気になってしまいますね。これはリピものですね。


「…んはぁ…紗奈ちゃんの唾液やばっ…合法間接キスサイコー…」


…やはりこのギャルと行くのは危険かもしれません。


「はぁはぁ…甘っ…」

「聞こえてますよ?息づかい荒すぎてキモいんですけど」

「あひっ♡冷たい目もさいこぉ…♡」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る