第5話 第5城郭、そして金色のパラディン-②
5城郭を出てからしばらく平原を歩いたか、広がる大地に人が人為的に作り出した広い畑が見え始める。<クララ平原>本来ここはモンスターたちが結構いたともいわれる狩場であったが、5城郭建築試行が決定されてから探索者たちによりモンスターたちは駆除されその死骸の栄養のせいかそれとも聖職者たちの祝福のせいかよい作物が育てる環境になっているのであった。森から出てきたラニーがたまに襲ってくるくらいで安全は確報されていた。
広大な大地に広がる作物を人間の手だけで管理するってのはニテには理解できなかったがそれもまた聖職者の大地にかけた祝福のおかげとかなんとか、その祝福により虫や気温による被害がほとんど出なくなったからである。彼がクララ平原の中を歩いてたら人影が見えてきてその人は手を振り大声を叫ぶのであった。
「ニテー来てくれたか!」
ニテはその呼び声にゆっくり走りながら同じく大声で答える。
「朝早く出かけたからお腹すいてるでしょ!?食べもん持ってきたで!」
「おう!ありがとうな!」
父カステトの顔がよく見えてくる距離になってからニテは走るのを止めゆっくりと歩く。
「はぁはぁ、で今日来るというパラディン様って例年通り<エノック>様なの?」
ニテが黒髪の父へ母からの弁当が入っている木箱を渡しながら話すと
「それがな、今年は王国の歴史で女性としては二人目のパラディン様がいらっしゃると聞いたぞ」
「へぇーすごいね。プリストとかビショップは女性でもいけると聞いたけどパラディンは相当努力せんといけないはずなのに」
「そうだね」
(女性のパラディンとかぜってー可愛くないはずよね。クソブスに頭下げないといけないとかだるすぎるだろ)
「とにかくエノック様じゃないからくれぐれも失礼がないようにしなさい」
「わかってるよ」
ニテはカステトが立っていた柵の横に座り腰にぶら下げていた水筒を取り出し水を飲み始める。
(しっかし、女性か…本では読んだことあるけど俺の世代で成し遂げる人がでるとな考えもしなかったな。ってかどんだけ努力したんだよ凄すぎだろ)
ニテは選択されし者がさらに努力までする天才と思っているようであった。世界は広く並みならない努力をする人は天才にも勝てるともいうが才能持つ天才が更に努力を重ねるとあーなるのだろうと思うのであった。
「それがな驚くことにまだ10歳しかなってないとな」
「えっ?まじ?」
(10歳…10歳…天才…女の子、パラディンを輩出する家柄、あ、なるほどね)
ニテが頷きながら理解すると
「その通りだ。クラウディア家のエレニア様だ。お前前に一回会ったことあるだろ?」
「んー王国図書館で少し話しただけ。あの時の彼女は何かに追っかけられて不安そうに見えていたけど。気のせいだったようね」
「そうなのか」
(まあ俺も勉強しようと思って愚痴を言っていたらその棚の上から降りてきてびっくりしたんだよな。確かにドレスとかは来てなかったしちょっと男の子みたいな服着ていたから変な子とか思ってたけど、そのひ案内してくれた司書の話では確か…知識を知恵を求めているとか言ってたな)
「っていうかエレニア様って第1王子ガビル様の婚約者じゃなかったけ?パラディンなってもいいの?」
ニテの質問にカステトもその点については理解できないようで
「ふむ、わからんな。王子が自分の愛しい婚約者が苦痛の訓練を許可するはずがないけど」
(まぁ、成人まで時間があるからやりたいことさせたってことかな?知らんが、まあ来る人がブスじゃないことに喜ぼう)
ニテは昔ほんの少しの時間彼女と会話した記憶を思い出しながら青くて雲一つない空を見上げた。その隣に父カステトが座り弁当を食い始める。
(聖人族か…俺ら堕落人種じゃ13歳の夢で一歩間違ったら廃人になるか犯罪者になるんだよね<7罪の夢>に対策して精神を強く磨かないといけないのに聖人族はその夢見ないし
「おいしい?」
「あーあ、ニアウレの作る料理は世界一だからな」
(一番当たりたくねー夢は<色欲>だよな。男も女もあの夢に殆ど勝てないとか言われてるし。その誘惑に勝てなく破壊神の下部となれば男は犯罪者になって死刑か牢屋送り、女は娼婦…どっちもまともじゃねーよな)
ニテがそう一人で色々考えていた時だった。
「ぶおおおおおんーぶおおおおおんー」
低音だけど広く響くラッパの音がいきなり鳴り始めた。
「何の音?」
「知らん聞いたことない」
親子は立ち上がってその音がした方向へ視線を移した。
「なんか見えるぞ、遠征に出てきた軍隊…ではなさそうだけど。なんだと思う?」
音がしたクララ平原の東側を眺めていたら平原が終わる丘から何か小さい人間みたいな集団が何かに乗ってまた自分の足で走り彼らがいる所へ向かう姿が見えた。その集団が何なのか親子がボーっとして見つめていたら隣の畑で大声が聞こえてくる。
「
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