6.仕事の話

「ねぇ、面白い話してよ」


「何だ、いきなり」


「だって、退屈なんだもん」


「そりゃ、見てるだけじゃな」


「ねぇ、雪かきなんかしてて楽しいの?」


「楽しいとか楽しくないとかじゃないんだよ、こういうのは。求められているから、やる。仕事と一緒さ」


「え〜……………そんなんで人生、楽しいの?」


「ほっとけ!お前もいずれは仕事をして、生きていくことになるんだよ」


「そうだけどさ………………どうせだったら、楽しく仕事して生きていきたいじゃん」


「そうだな。それが理想だな」


「私、決めた!将来は絶対、自分の本当にやりたいことを仕事にする!!」


「へ〜……………それはどんな?」


「それは……………まだ決まってないけど」


「あっそ」


「何、その反応!なんか冷たくない?」


「だって、所詮他人の人生だしな」


「あっそ!でもいいもん、別に!ちゃんとした人にそういうことは相談するから」


「そうしろ。こんな外からやってきたよく分からん奴に言うよりはよっぽどいい」


「………………」


「…………一つ言っておくぞ。確かに両親や教師、その他信頼できる人に相談すれば、ちゃんとした意見がもらえて安心するかもしれない。だがな、人間どこまでいっても最終的には自分のことは自分で何とかするしかないんだ」


「自分で…………」


「ああ。自分の人生に責任を持てないような奴にだけはなるなよ?」


「……………」


「まぁ、っつても俺は人生の負け組さ。本来、こんな偉そうなことを言える立場にないんだがな」


「え〜何それ……………ちょっと見直しちゃったのに」


「普段の俺は一体、どんな風に見えてんだよ」


「…………うん。でも、何となく分かったよ」


「そうか」


「手始めに…………これ、借りるね!!」


「おい、馬鹿!そのシャベル、どうする気だ!!」


「あっちの方の雪かき、するんだよ!!任せて!!今の私、超やる気だから!!」


「落ち着け!!そっちは道路で車が……………おい!!」


今後はちゃんと雪の行動に目を配らなければ……………司は心して誓ったのだった。

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