第3話危機…!
「どうぞ。入ってください」
シルビアに連れられて彼女の自宅に入ると部屋の広さに驚いていた。
「随分大きな家に住んでいるんだね」
正直な感想を口にしてリビングに案内される。
案内されるまでにいくつもの扉を見た。
ここに一人で住んでいるとは思いにくいほどの部屋の多さに僕は少しの疑問をいだいていた。
「こんなに部屋があって…家族と住んでいるの?」
質問攻めになってしまいシルビアには申し訳ないのだが、彼女の身の上をもう少し知りたいと思っていた。
「一人で住んでいますよ。寝室と作業部屋と衣装部屋とトイレとお風呂場…もう一つは空き部屋と言うか…趣味の部屋です」
彼女は簡単に間取りを説明するとなんでも無いように落ち着いた雰囲気のまま数回頷く。
「作業部屋?仕事は何しているか聞いても良い?」
「う〜ん。言えないんですけど…目立つ仕事をしています。流石に家まで案内して無職と嘘を吐くのは無理があるので…。でもこの話に関しては答えられるのはここまでです」
「そっか。じゃあもう詮索しないでおくね」
シルビアはシンクで手を洗うとそのまま鍋の支度へと取り掛かっていた。
野菜を洗って食材を一口大に切るとボウルへ移していた。
鍋のスープは昆布と鰹節で出汁を取っているようだった。
その後も丁寧に味付けをしているようで集中した表情を浮かべていた。
「聞きたいんだけど…趣味って何なの?」
料理の手を止めないシルビアは日常会話をするように平気な顔をして答える。
「写真ですよ。さっきも撮っていたので分かると思いますが…写真が好きなんです。いつでも思い出に浸ることが出来て。何だか美しいじゃないですか。その一瞬の景色や人物を確実に切り取るって素晴らしいことだと思うんです」
シルビアの言葉にウンウンと相槌を打っていると僕は彼女がどの様な写真が好きなのか気になっていた。
「その写真って見せてもらえるの?」
「ダメです。今はまだ…」
きっぱりと拒絶の言葉を口にするシルビアに少し驚いてしまうが、それも当然かも知れない。
完全に個人の趣味を覗き見るのは例え恋人でも嫌かもしれない。
そんなことを思うと僕は納得したように頷いた。
「でも…いつか見てほしいとも思いますよ」
シルビアはそんな言葉を口にすると鍋の準備が終わったようでテーブルに運んでいた。
「さぁ。食べましょう」
そこから僕らは寒いホワイト・クリスマスの夜に鍋を囲むのである。
趣味を尋ねられて私は全てをぶち撒けてしまおうかと軽く想像した。
だがまだ早い気がした。
彼をストーキングして様々な角度から盗撮した写真を見せたらどの様な表情を浮かべるだろうか。
そんなことを想像するだけで脳内からイケナイ分泌物が流れ出しそうだった。
しかし今は堪えるべきだ。
堪えた先で彼に真実を知ってもらい…。
その時の彼の絶望的な表情を眺めたい。
そんな欲情が胸を占めると夕食どころではない。
このまま彼を襲ってしまいたい。
そんな性欲が食欲に増して脳内を占めていた。
鍋を囲んで一時間以上が経過してお腹も膨らんできていた。
食休みに少し寛いでいるとシルビアは片付けを始めていた。
「お風呂沸かしたので入って行ってください。まだ外は寒いですから」
完全に警戒心を解いていた僕は彼女の言葉に従って風呂場まで案内してもらう。
「何から何までありがとうね」
お礼を口にして脱衣所に入ると服を脱いで風呂場に向かった。
全身を洗って正味三十分ほどで風呂を出ると着替えを済ませて脱衣所を出た。
だが廊下が曲がりくねっており僕はどの扉がリビングに続くものか理解できないでいた。
仕方なく手当たり次第にドアを開けていくと…。
この部屋は間違いなく趣味の部屋だと理解できた。
何故なら壁一面に写真が貼ってあるからだ。
だが室内が暗くてよく見えない。
いけないことだとは分かっているのだが目を細めてしっかりと捉えようとしていると…。
「何しているんですか…?もしかして…見ちゃいました…?」
集中して目を凝らしていた僕の背後にはシルビアが立っている。
後ろを振り向いて必死で首を左右に振って応えるが彼女は妖しい笑みを浮かべて僕を室内へと押し入れていく。
そして室内の電気を付けて…。
ピカッと電気がつくと壁一面にはあらゆる角度から僕を盗撮した写真がいくつも存在している。
あまりの光景に言葉を失っていると彼女は僕の表情を目にして恍惚の笑みを浮かべていた。
そのまま部屋の机に置いてあった手錠を取り出すと彼女は慣れた手付きで僕を拘束した。
「このままお楽しみといきましょう…♡」
このまま僕は…。
どうにか逃げ切ることは出来るのか…。
見られてしまったものは仕方がない。
私は割り切ると彼の身体の全てをどうしようもなく味わいたくなる。
もう我慢はしていられない。
手錠をかけて…。
いざ…!
真田真央の好感度
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