第4話 #異世界#悪役令嬢#チート

 その日から私は伯爵家の図書館にこもり、この国の歴史本と魔法に関する書物を読みあさった。

 何故って? それはいざという時の為。

 どこの神の仕業かは知らないがオタクの転生者をなめるなよ。

 ぶっちゃけ死神将軍だろうが、悪役令嬢だろうが、この転生は私には嬉しい出来事だ。

 前世が不幸だったのは私だって努力をしていなかったからだと思う。

 もう少し考えてよくする努力をすればよかったのかもしれない。

 そうすれば過労死なんかしなくて良かったのかも。

 でも終わった事は仕方がない。

 ここでの生活をよりよくする努力をしよう。

 その為には万が一死神将軍とうまくいかなかったとして、どうする?

 考えて自分の部屋にある金目の物は荷物にしてある。

 売っぱらえばしばらくは生活費になるだろう。

 そしてリリアンは使おうともしなかった聖女に匹敵するほどの魔力。

 これを上手に使えば侯爵家から離縁されたとしてもいけるんじゃないか?

 伯爵家へ戻らないで自力で冒険者とかなれないかな?

 というわけで、自分がどんな魔法を使えるかを勉強中だ。

 

「ヒールは怪我を治す。解毒と……体力回復。さらに上級魔法……無詠唱……バリア? 付与魔法? たくさんあるなぁ。使えるのは治癒魔法……ええと、ステータスオープン!」

 ぐわわっわっと何かが私の中を走り抜けた。

「だ、だるい……」

 一気に力が抜けて、私は図書室のソファにへたりこんだ。

 これは多分、リリアンが初めて魔力を開放したんじゃないのか。

 そんなに興味なかったのぉ?

 魔法だよ? 

 聖女に匹敵するほどの魔力って設定だったはずなのに、本人は興味なかったのか。

 ステータス画面にはリリアンのレベル、使える魔法、装備、アイテムなんかが記されてある。

「いろんな異世界の本を読んだ、悪役令嬢も読んだ。欲しいのはネットショップ、無限アイテムボックスはせめて欲しい! あと無限ガチャとか!」

 せめてとか言ってるところでもう贅沢というか身の程知らすというか、厚かましいというか。

 でも出てきた画面にはネットショップも無限ガチャもアイテムボックスもなかった。

「ぬぬぬ……残念、まあ、この美貌で魔法が使えるってだけで十分チートだしな。贅沢は言わない。HP150で村人並の体力なんだけど、全魔法属性でMPが9999だけでありがたい、ありがたい、これで侯爵家から離縁されてものたれ死ぬ事なく生きていけるでしょう」

 そして私は前世でたくさんの#異世界#悪役令嬢#チートを読んで来たから、この魔力が凄い物で国家機密扱いになるんじゃないかって危機感もある。

 だから誰にも内緒で生きていこう。

 うん、それがいい。

 この魔力がバレたら、きっと主人公に祭り上げられるに違いない。

 だから私はモブで行こう。

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